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映画「日本の悪霊」  監督:黒木和雄

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 双子のように瓜二つのヤクザと刑事が入れ替わり、終いには同質化して行くお話。
 映画はふたりの登場人物の違いを、徐々に曖昧にしていきます。
 殺伐とした風景のロケ地に、ドキュメンタリー映画風のリアリティを持ち込んだ本作は、今新たな魅力を放っているようにも思えます。
 本作をヤクザ映画だと決めつけず、また、原作は脚本化の素材である位の気持ちで受けて、原作や1960-70年の政治闘争にこだわらずに観ることも一興でしょう。
 
 群馬県のある街での出来事です。地元で古くからあるが弱体化したヤクザ・鬼頭組を、この地に勢力を伸ばす新興勢力の天地組がなきものにしようとしていた。

5_20180606120805fa0.png そんな中、ふたりの男がこの街に現れる。
 そのひとりは、村瀬(佐藤慶)という男。
 村瀬は鬼頭組を傘下に置く組のナンバー2の知的な男で、鬼頭組の偵察に来た。
 鬼頭組は村瀬という大物が助っ人に来てくれると大喜び。

 もうひとりは、落合刑事(佐藤慶・一人二役)。
 県警から派遣されてきた暴力団取り締まりを専任とする刑事だが、県警本部では、いまいちウダツの上がらぬ男であった。
 街に着いた落合刑事は、案の定、鬼頭組から村瀬と間違われる。

 実はその村瀬、この街に過去を持っている。
 そんなことで村瀬は、昔のなじみの女を訪ねるが、女の部屋には先客がいた。落合刑事だ。
 女は落合刑事を村瀬だと思い誘い入れたのだった。

 先客が刑事だと分かった村瀬は、他人とは思えぬ落合刑事に強要した。やくざと刑事、入れ替わろうと。
 落合にとって、これは刑事になりすまして、鬼頭組周辺状況の情報把握もさることながら、実は、この街の過去の真相を探り出そうという思いがあった。
 一方、落合刑事がこれを拒まなかったのは、やくざの世界に以前から魅力を感じていたからであった。
 村瀬は警察署へ、落合刑事は鬼頭組へと潜り込む。そうして、なりすましの男ふたりの、それぞれの物語が街の女たちも交えて、始まる。

 さて、先ほど言った、村瀬はこの街に過去を持っている、の話。
 1955年まで日本共産党は中国共産党の影響を受けていた。例えば農村の地主に対しての武装闘争。(しかし日本共産党は1955年にこの方針の放棄を宣言)
 村瀬の過去とは、若いころ、この群馬の街で仲間とこの闘争に加わり地主を襲い、結果時には村瀬は逃げ来る地主を迎えうち刺し殺し、村瀬はじめ仲間は四散した。
 だがこの事件には謎が残り、ヤクザになった村瀬は今も当事者として、過去の真相を究明したかったのだ。
 かたや、地元警察の署長は、この事件当時からこの事件にかかわっていた。実は謎を作ったのはこの男であった。この署長の一存でこの街でのこの事件は、街の世間体よくうやむやに処理された。
 鬼頭組の組長・鬼頭正之助は、署長の意向で当時、村瀬が犯した殺人の犯人としてムショに入った。当然、見返りは鬼頭組の安泰確保であった。しかし、組長と署長との間に亀裂が生じ始める。

 話が進むうちに、真相はより明らかになっていく。そして、村瀬と落合刑事の意気はいつしか投合していくのであった。

監督:黒木和雄|1970年|96分|ATG|
原作:高橋和巳|脚本:福田善之|撮影:堀田泰寛|音楽:岡林信康 、 早川義夫|
出演:村瀬勝/落合刑事(佐藤慶)|鬼頭正之助(高橋辰夫)|後藤署長(観世栄夫)|川田部長(榎本陽介)|子分甲(蔦森皓祐)|子分乙(深尾諠)|子分丙(鈴木両全)|子分J(土井通肇)|子分戊(倉沢周平)|子分T(坂本長利)|子分A(関口瑛)|県警本部・山口(林昭夫)|天地組・馬場(渡辺文雄)|東(丸茂光紀)|伊三次膳内(成瀬昌彦)|地主襲撃のリーダー(土方巽)|警官(岡村春彦)|パチンコ屋親父(殿山泰司)|少女(高橋美智子)|夏子(堀井永子)|歌手(岡林信康)|鬼頭竜子(奈良あけみ)|

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 3)「素」な気持ちで、「映画作品そのもの」に向き合うことが、私の遊びです。
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