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映画「歌っているのはだれ?」 ユーゴスラビア映画   監督:スロボダン・シャン

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ロマ音楽の辻芸人と、おんぼろバス。

男は歌を歌いアコーディオンを弾く。子供はサイドボーカルとマウスハープを担当。
映画冒頭や各章の頭に登場し、シーンに沿った歌詞を歌い、本作の狂言回しを担う。
バスの乗客でもある。

【バスに乗った、そのほかの10人】
 映画はこれらの人物を登場させて、当時のユーゴスラビア王国セルビア地方の多様性と運命を描くのです。

写真
バスのオーナーで車掌
乗客に対し高圧的。
子豚を数頭、バスに乗せベオグ
ラードの市場で売る。バス商売
より豚売買の方が儲かるらしい
写真
バスの運転手
左の男の息子。ちと頭がポン。
目隠し運転をしてみせる。
河岸で王国軍にリクルートされ
意気揚々とバスを離れる。
写真
第一次世界大戦の元兵士
息子に会いに行くらしい頑固、
短気で古風な老人。
財布に金をたんまり持っている
が財布を落とす。
写真
ドイツびいきの紳士
ナチス信奉かは不明だが周囲の
人間を見下している。河に落ち
流されるが誰も助けない。のち
に下流岸に泳ぎ着き皆に加わる。
写真
田舎の猟師
乗客中、一番の喜劇を演じる役。
荒野の中、バス停でない理由で
乗せてもらえなかったり、猟銃
暴発で下車させられたりの男。
写真
肺結核の男
咳が多くハンカチを手放さない
乗客中一番に影が薄い男。
無口な弱者の代表か。
  
写真
駆け出しの歌手
オーディションのためオグラー
ドへ行く。女好きで色男ぶる。
花嫁に露骨にアプローチする。
  
写真
途中乗車の新婚夫婦
式後、白いベールのまま乗り込
んでくる。バス停に向かって荒
野を走る姿はエミール・クスト
リッツァ監督の映画を思い出す。
写真
新婚夫婦に付き添う坊主
セルビア正教会の僧だろう。
セリフは無い。
当地の宗教を考えさせるトリガ
ー役か。


0_20180826084408e00.jpg その日、セルビアの田舎の始発バス停から、7人の人々が、首都ベオグラードへ向かう一台のバスに乗ったのでありました。(よって本作はロードムービーであります)
 時は1941年、映画の舞台はユーゴスラビア王国(1918年~1941年)のセルビア。

 バスの乗客の客層はさまざまで、互いに知り合いはいませんでした。
 また、バスは個人経営のおんぼろバス(木炭ガスを燃料にして走る木炭自動車)で、オグラードへの道筋は、荒涼としたむき出しの大地をのろのろと抜け、次に緑豊かな河岸を走り、そしてベオグラードに近づく所でやっと石畳の舗装道路を走るのでした。
 それは一泊二日の、夕食付のバスの旅。(木炭ガスを作るドラム缶の釜で焼いたステーキと、パンと生のニラの夕食でした)
 映画は、ゆったりとした喜劇を、のろのろ走るバスに乗せて、乗客それぞれの可笑しさを珍道中として描きます。

 しかし、時は第二次世界大戦(1939年~1945年)最中の、1941年4月5日。
 そして、翌日4月6日は、ドイツ、イタリアを中心とする枢軸国軍とユーゴスラビアとの間で行われた戦争(ユーゴスラビア侵攻)が始まります。
 旅の二日目(4月6日)、ベオグラードに近づくころ、バスは避難する一台の馬車とすれ違います。
 その後、バスは何事もなくベオグラードに到着しましたが、その直後、街は激しい空襲を受けます。
 不幸にもバスは銃撃を受け、横転し激しく炎上してしまいます。
 それでも辛うじてロマ音楽の辻芸人2人が這い出してきましたが、ほかはたぶん全員焼死。
 バスの誰もが、セルビアの誰もが、このユーゴスラビア侵攻など思いもよらないことでありました。

 ロマの歌う辻音楽は、こちらから聴けます。
 https://www.youtube.com/watch?v=-CoL3VzunAc

 このふたりは唯一の生存者でありましたが、バス車中で乗客から差別的な扱いを受けました。
 それは第一次世界大戦の元兵士が財布を失くしたのですが、このふたりが盗んだ掏ったと暴行を受けます。
 ですが財布はバス昇降口の地面に落ちていました。これを拾ったのは、猟師でした。

オリジナルタイトル:Ko to Tamopeva|Who's Singin' Over There?|
監督:スロボダン・シャン|ユーゴスラビア|1980年|87分|
脚本:ドゥシャン・コバチェビッチ|撮影:ボジダル・ニコリッチ|音楽:ボイスラブ・コスティッチ|
出演:バスのオーナー(Pavle Vuisić)|駆け出しの歌手(Dragan Nikolić)|ドイツびいきの紳士(Danilo Stojković)|バス運転手(Aleksandar Berček)|花嫁(Neda Arnerić)|第一次世界大戦の元兵士(Mića Tomić)|田舎の猟師(Taško Načić)|結核おじさん(Boro Stjepanović)|花婿(Slavko Štimac)|ほか


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 日ごろのアクセス、本当にありがとうございます。気づけば、ブログを始めてはや9年目に入りました。一夜一話に掲載したい映画、まだまだあります。気の向くまま、その時の気分でやってます。遊び半分じゃなく、「全部遊び」です。

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 1)古今東西の映画を分け隔てなく並べて、気に入った映画を選びます。
     
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 3)「素」な気持ちで、「映画作品そのもの」に向き合うことが、私の遊びです。
 作品自体が語りかけてくること以外の額縁情報、つまり宣伝文句、その受け売り文章、受賞実績、監督発言、出演俳優がどうしたとか、そして映画評論本やらは、はなから無視して、自分の眼で観るようにしています。

 4)観て気に入らない映画、つまんない映画は、基本掲載しません。
 だから、観たけど掲載しない映画は多いです。巨匠の名作と言われる映画も、気に入らなければ掲載しません。また、名物にうまいモノなし、ということも実感します。

 ただし、まだ観てない映画は、たくさんあります。こんな一夜一話ですが、今後も、見に来てください。   
 美術や音楽、書籍や温泉の記事も増やしたいと思っています。よろしく。  

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