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映画「フランコフォニア ルーヴルの記憶」  監督:アレクサンドル・ソクーロフ

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 この映画は、ルーヴル美術館についての作品ですが、収蔵品に関して芸術うんぬんを語るのではなく、時の王室・政府や第二次世界大戦を主題に据え、ルーヴル美術館の遍歴を(大河小説のように)描こうとします。

 映画は、昔のモノクロ映像や、絵画に描かれた館内のかつての様子、そしてもちろん、「モナ・リザ」、「サモトラケのニケ」やエジプト・コレクションなど著名な絵画彫像の映像を取り入れたドキュメンタリー形式ではありますが、俳優も登場します。

 そのうちの2人は、ヨーロッパやエジプトなど遠征先からの美術品略奪収集が旺盛だったナポレオン一世と、象徴的な位置づけの謎の女。
 ともに、ルーヴル美術館館内に居つく亡霊として、次の幾つかの絵画シーンに現れます。
 彼自身の肖像画や「皇帝ナポレオン一世と后妃ジョセフィーヌの戴冠式」や、フランス革命を描くドラクロワの「民衆を導く自由の女神」など。

2-1_20180910132910db7.png しかし登場人物の主たるは、第二次世界大戦中、ナチスドイツ軍によるパリ侵攻(パリ陥落)ののち、ルーヴル美術で面会する二人の男、ルーヴル美術館館長とナチス高官であります。(実話の再現)
 ちなみにナレーションは全て、アレクサンドル・ソクーロフ監督です。監督の思いがストレートに伝わってきます。


 映画はおおよそ、こんなことを語ります。
 ルーヴル美術館は、歴代フランス王の王宮(ルーヴル宮殿)でしたが、王宮がヴェルサイユ宮殿へ移って後、王室美術品コレクションの収蔵展示場所となった。
 そしてフランス革命後、フランスが有する優れた美術品を展示する美術館として1793年に開館。
 その後、ナポレオン一世によって所蔵点数は一気に増え、そして王政復古、フランス第二帝政時代、フランス第三共和政を経て収蔵点数はさらに増加。
 映画は、これら美術館の遍歴をたどりながら、第二次世界大戦の「直前」に至ります。

3-0_20180910133439c43.jpg 当時この時のルーヴル美術館館長がジャック・ジョジャール。
 彼は自身を役人だと言います。(フランス国立美術館総局副局長)
 第二次世界大戦中の、フランス第三共和政の終末期に、そしてドイツのパリ侵攻を避けフランス南部に構えたヴィシー政権に仕え、目まぐるしい時代を館長として役目を毅然として果たします。(このヴィシー政権はドイツとイタリアに対し休戦を申し入れます。つまりナチスドイツに屈しナチスに寄り添った政権)

 さて大戦の直前、彼は時をみて、「モナ・リザ」など最も重要な絵画多数をシャンボール城へ避難させ、大戦勃発後、「サモトラケのニケ」などこれも最も重要な彫像群をヴァランセ城へ移送しました。
 こうして主要な美術品の大方が ルーヴル美術館を去った後、ナチスドイツの美術品保護の責任者で高官の、メッテルニヒ伯爵がルーヴルに来館します。
 メッテルニヒの任務は、ルーヴル美術館からの略奪でした。所蔵品の中からナチスが欲する作品を選び出し、ナチスの美術館に移送するためでした、が・・。

 ここら辺を含め、観てのお楽しみ。
 ルーヴル美術館館長とナチス高官のこの二人、事実は奇なりであります。
 そして映画の最後のほうで分かるのですが、ジャック・ジョジャールは密かにパルチザンと通じていたそうです。(ヴィシー政権下で館長として仕えたジャック・ジョジャールは戦後、戦犯として裁かれることになりますが、パルチザンであったことが判明し裁かれずに済みました)

 以上をお読みになって、お勉強的な映画に思われるかもしれませんが、さにあらず、最後まできっちり観せます。

                 

 ルーヴル美術館そのものに関心を持たれた方は、下記からルーヴル美術館公式サイト日本語版を見てください。
 https://www.louvre.fr/jp
 このリンク先の上部に、「作品と宮殿」というのがあります。これをクリックし、さらに「ルーヴルの歴史」をクリックすると、美術館のこれまでが分かります。本作「フランコフォニア ルーヴルの記憶」の一番の参考資料になると思います。

 また、ルーヴル美術館の収蔵品の避難大作戦や、ジャック・ジョジャールとメッテルニヒ伯爵について焦点をあてたドキュメンタリーに、NHK BS世界のドキュメンタリー枠で放映された「ルーブル美術館を救った男」(フランス2014年制作)があります。これもなかなか面白いものです。
5 それにしても、長く続くかと思われたドイツのフランス制圧はたった4年で終わります。

 ちなみにヒトラー個人は、ルーヴル美術館やその収蔵品よりも、音楽に関心があったようです。
 フランス・ドイツの休戦開始の1940年6月23日午前0時。その日、ヒトラーは極秘でパリを視察します。
 彼が真っ先に訪れたのはオペラ座でした。オペラ座の中まで入り熱心に見学したそうです。(「国家と音楽家」中川右介著)

オリジナルタイトル:Francofonia
監督とナレーション:アレクサンドル・ソクーロフ|フランス・ドイツ・オランダ|2015年|88分|
撮影:ブリュノ・デルボネル|
出演:ジャック・ジョジャール(ルーヴル美術館長)/ルイ=ド・ドゥ・ランクザン|ヴォルフ・メッテルニヒ伯爵/ベンヤミン・ウッツェラート|ナポレオン1世/ヴィンセント・ネメス|マリアンヌ(フランス共和国の象徴)/ジョアンナ・コータルス・アルテ|アレクサンドル/アレクサンドル・ソクーロフ|

【 アレクサンドル・ソクーロフ監督の映画 】
 これまでに記事にした、アレクサンドル・ソクーロフ監督の作品です。
 画像をクリックしてお付き合い下さい。

写真
「孤独な声」
写真
「日陽はしづかに発酵し・・」
写真
「セカンド・サークル」
写真
「エルミタージュ幻想」
写真
「マリア」


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 3)「素」な気持ちで、「映画作品そのもの」に向き合うことが、私の遊びです。
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 4)観て気に入らない映画、つまんない映画は、基本掲載しません。
 だから、観たけど掲載しない映画は多いです。巨匠の名作と言われる映画も、気に入らなければ掲載しません。また、名物にうまいモノなし、ということも実感します。

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