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映画「ROMA/ローマ」 2018年 監督:アルフォンソ・キュアロン

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 いい映画。すごくいい!

 いきなりですが、まず予告編を観て欲しい。
  予告編 https://www.netflix.com/jp/title/80240715

0-1_20190524170934878.jpg このお話の前提。
 舞台はメキシコ、時は1970年~1971年。
 映画の主人公は、クレオという独身の家政婦さん。彼女はメキシカン・ネイティブだ。
 真面目な性格で口数は少ない。
 街中の大きな家に、同僚の女性と一緒に、二人は住み込みで働いている。
 クレオたちの雇い主一家は、元気な4人の子供と両親におばあさん、計7人の白人家族、そして犬。
 子たちは優しいクレオに、とてもなついている。
 

 映画のシーンは総じて、「静」と「動」の、加えて、視界の「狭」と「広」の、それぞれのメリハリが、とても効いていて、物語の振幅のダイナミックさを感じさせ、結果、物語が語る語り口の足腰の確かさを実感させられます。
 それと、観終わったあとに感じる、何とも言えぬすがすがしさが素晴らしい!

0-2_20190524171400d37.jpg まずは「静」の面。(静があっての動です)
 映画はクレオの日常を淡々と、かつ、ていねいに描きます。
 掃除に洗濯、炊事、子たちの世話、そして一家の就寝後のつかの間の自由時間。

 この家は街中にあるのですが、静かです。家の前を通る物売りの笛の音が聞こえてきます。  
 映画冒頭の導入シーンでは、クレオが中庭の床をデッキブラシで水洗いしている、その床に溜まった水たまりに映る「空」、その中を、上空高く飛ぶジェット旅客機の小さな機影が横切っていきます。例えばこんな繊細で静かな映像表現を本作はしています。


0-3_20190524171614bf1.jpg ここまでは、幸せそうなクレオと、その雇い主一家の様子を映画は見せますが、しかし、こんな静かな日々が、内側から崩れようとします。
 この家の夫婦仲は破綻してます。
 子たちの父親には、好きな女がいて、妻には海外出張と偽って家を空けることが多いのです。
 もっとも妻はとうに気づいているのですが、自身の内に静かに留めています。

 一方、クレオが妊娠します。付き合っていた彼は逃げてしまいます。
 クレオはこのことを同僚には打ち明けるのですが、周りにはだんまりを続けます。
 しかし、お腹も出てきます。ついに雇い主の奥さんに意を決して話します。
 なぜなら妊娠したことでクビになると思っているクレオは、クビを承知で自己申告したのです。
 でも、奥さんはクレオに優しくします。ふたりは女の悲しみを共有し合います。
 

0-4.jpg さて、「動」の側面。
 一家の親戚たち一同が大勢、大きな別荘に集まりクリスマスを祝います。クレオも同行しました。
 その夜、別荘付近で大きな山火事が起きます。
 親戚一同、子供までが消火に努めます。この野外シーンは迫力があります。
 話が進んで、もうひとつの動的な野外シーンは、クレオとおばあさんとで、クレオの赤ちゃんのためのベビーベッドを買いに行くのですが、急に街は騒然とします。
 多くの人々のデモ行進が暴動へと発展し、多くの警察、機動隊隊員と戦闘状態になります。
 これも迫力あるシーンです。(どうやって撮ったのでしょうか、いや実際の暴動なのでしょうか)

 そしてもう一つ。
 奥さんは、出て行った夫に見切りをつけ、子たちとの新しい生活へ、一歩踏み出します。
 奥さんは子たちとクレオを連れ、リフレッシュのため海辺へ出かけます。
 しかし、奥さんがちょっと浜辺を離れた隙に、上の子ふたりが溺れてしまいます。
 気づいたクレオは泳げないにも関わらず、我を忘れて二人の子を救いました。(一家がクレオに抱き着くシーンが上の画像です)

 あとは観てのお楽しみですが、エンディングで、また、静的な静かなシーンになります。
 このシーンも、実に味わいのある余韻を残します。 

 言い忘れましたが、クレオが破水し、救急病院に担ぎ込まれます。
 医師たちの慌ただしい救急対応の様子はとても臨場感があって、これも強く印象が残ります。
 

屋上への階段を上って行くクレオ。《エンディング・シーン》
下
オリジナルタイトル:ROMA
監督・脚本・撮影:アルフォンソ・キュアロン|メキシコ=アメリカ|2018年|135分|
出演:クレオ(ヤリッツァ・アパリシオ)|ソフィア(マリーナ・デ・タビラ)|アントニオ(フェルナンド・グレディアガ)|フェルミン(ホルヘ・アントニオ・ゲレーロ)|ペペ(マルコ・グラフ)|ソフィ(ダニエラ・デメサ)|トーニョ(ディエゴ・コルティナ・アウトレイ)|パコ(カルロス・ペラルタ)|アデラ(ナンシー・ガルシア)|テレサ(ヴェロニカ・ガルシア)|ラモン(ホセ・マヌエル・ゲレロ・メンドーサ)|ゾベック教授(ラテン・ラヴァー)

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やまなか
Posted byやまなか

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