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映画「黄金のメロディ マッスル・ショールズ」 ドキュメンタリー映画

上
リック・ホール(中央)と、フェイム・スタジオ専属のスタジオ・ミュージシャンだったバンドメンバー(映画撮影のため集まった。)
★        ★
 アメリカの音楽業界の舞台裏を描くドキュメンタリーです。
4_2019070820380642f.jpg 1959年、アラバマ州フローレンスに設立した、世界的に著名なレコード録音専門スタジオ(FAME Studios)のオーナーで、かつ、音楽プロデューサー&録音エンジニアの男の話。(右画像)
 彼の名はリック・ホール。(1932 - 2018)

7_20190710212418cf9.jpg 映画は、リックが語る自身の人生を描きながら、この「フェイム・スタジオ」がいかにR&B/ソウル歌手や大手レコード会社から、今までにない奇跡のサウンドを生む(ヒットを生む)スタジオとして敬われたかを、多くのミュージシャン(下記出演者)の証言で描いていきます。
 見方を変えれば、ローリングストーンズのメンバーはじめ欧米(日本も)のミュージシャンや、若い音楽ファンが、1960年代当時のアメリカのR&B/ソウルを懸命に聞いて憧れていたということを語っています。(ビートルズのメンバーも)

 ところで、確かに、レコード会社から制作発注を受けたリックがフェイム・スタジオで録音した曲はどれもヒットしたのですが、それは彼の音楽ディレクターとしての冴えた才能と、リックが丹精込めて育て上げたスタジオミュージシャン(上の画像)の腕によるものでしたが、‥
3_20190708203410475.jpg 先に言ってしまうと、リックがせっかく育て上げた4人のスタジオミュージシャンは、結果的には、大手レコード会社アトランティック・レコードの大物プロデューサー、ジェリー・ウェクスラーに奪われてしまいます。(右画像:晩年のジェリー・ウェクスラー)
 プロデューサーで録音エンジニアという同じ職種で、両者とも才能がおおいにある人間、リック・ホールとジェリー・ウェクスラーですが、業界での力(実績と知名度と政治力)が違いました。
 ジェリー・ウェクスラーにすれば、ヒットを生む打ち出の小づちの4人を自由の利く手元に置きたい、4人のミュージシャンからすればジェリー・ウェクスラーに認められ大出世で、自分たちの独自の録音スタジオ「マッスル・ショールズ・サウンド・スタジオ」を持つに至り、R&B/ソウルおよびロックの無数のアルバム制作に寄与し、その名をあげます。(本作中の証言には、こちらの話も多く含まれます)
 ですが、リックも新たな体勢でその後も音楽業界に金字塔を打ち立てます。

1_20190707205717eb1.jpg リック率いるフェイム・スタジオについて、
 アトランティックレコードのビッグスター、ウィルソン・ピケットが1966年に初めてFAME Studiosに入った時の印象を彼は映画の中で、こう言っている。(これが面白いし当時の様子が垣間見れる)
 フェイム・スタジオ制作のこれまでのレコードのバック演奏を聴いて、スタジオ・ミュージシャンは黒人だと思っていたが、みんな白人で、その様相はまるで田舎のスーパーの店員みたいでこんな白人に任せていいのか不安であったと。(右画像)
 スタジオは、テネシー川沿いの片田舎にポツンと建っていて周囲は綿畑が広がる地域でした。
6_20190710212020877.jpg このスタジオの特徴は、歌手とスタジオスタッフ全員協同でアレンジ作業をして録音を行うこと。
 普通、ほかのスタジオでは、スタッフは渡された譜面どおりに事前準備し、録音当日、歌手がスタジオ入りし、何回か歌ってすぐに録音終了する段取り(つまり録音するためだけのスタジオ)であったが、フェイムスタジオでは、歌手含めてまるで一体のバンドのように扱い、リックが満足するまで試行錯誤繰り返しながら一曲一曲を仕上げるのです。
 ウィルソン・ピケットの「ダンス天国」は一日がかりだったそうです。しかし、これが大ヒットした!

5_2019071015022045f.jpg そして、実はこの時、ジェリー・ウェクスラーは初めてこのスタジオに入り、この様子を見学していました。
 そして何よりも、彼はウィルソン・ピケットと同様に、スタジオミュージシャンのひとり、ドラムのロジャー・ホーキンスのノリに惚れます。

2_201907082001257e5.jpg さて次は、「マッスル・ショールズ・サウンド・スタジオ」のこと。
 1969年、フェイムスタジオのミュージシャン4名(右画像)は、アラバマ州シェフィールドにスタジオを構えた。その名は、これも著名な「マッスル・ショールズ・サウンド・スタジオ」。(シェフィールドは、フェイムスタジオがあるアラバマ州フローレンスと、テネシー川を挟む対岸に位置する。両スタジオがある地域の総称が「マッスル・ショールズ」)
 ここから、4人は、それはそれは飛躍的に活躍するのです。今も活躍中。

 ああ、アレサ・フランクリンの収録シーンや、バンド結成以前のデュアン・オールマンのことなどなど、この映画について書きたいことはたくさんあるのですが、ここまでにしておきます。
 あとは予告編で本作の様子をご覧ください。
  予告編 https://www.youtube.com/watch?v=uaE6Xf91LBU

 たぶん、この両スタジオの活躍を契機に、レコードジャケットにスタジオミュージシャンの名前が記される機運になり始めます。彼らの重要性が注目され始めたのです。 
 また、スタジオミュージシャンがスタジオ内だけでなく、ステージに上がって演奏するようになって行きました。
 それと、本作タイトル「黄金のメロディ マッスル・ショールズ」は間違いですね。黄金の「メロディ」じゃなく黄金の「リズム」です。
 4人のスタジオミュージシャンはリズムセクションを担っているのです。メロディはソングライターや歌手の仕事分野ですから。

 以下、シングル盤ジャケット画像をタッチすると曲が聴けます。(3枚ともアトランティックレーベルです)

10_20190708200752e4f.jpg パーシー・スレッジの「男が女を愛する時」(原題:When a Man Loves a Woman)
 フェイムスタジオ制作の最初の大ヒット作です。これでリック・ホールとスタジオが世に広く知れました。

11_20190710135955bd6.jpg ウィルソン・ピケットの「ダンス天国」(原題:Land Of 1000 Dances)
 クレジットによれば、フェイムスタジオからは、ドラムRoger Hawkins、リズムギターJimmy Johsonn、キーボードSponer Oldmanの3人が参加しています。
 日本ではスパイダーズなどのグループサウンズがカバーしていました。

12_20190708200753a00.jpg アレサ・フランクリンの「貴方だけを愛して」(原題: I Never Loved a Man (The Way I Love You))
 これも映画の中で大きく取り上げられています。「ダンス天国」の翌年1967年の録音。フェイムスタジオの4人が参加。Sponer Oldmanはエレピ、David Hoodはトロンボーンを吹いてます(彼はトロンボーンプレーヤーでもあります)
 プロデュースはもちろんジェリー・ウェクスラー。
8_2019071021303396a.jpg この曲が入ったLPアルバム、最高です!!そのうち、別途取り上げます。
 しっかし、このジャケットひどすぎるな!

オリジナルタイトル:MUSCLE SHOALS
監督:グレッグ・フレディ・キャマリア|アメリカ|2013年|111分|
撮影:アンソニー・アレント|
出演:リック・ホール|アレサ・フランクリン|ウィルソン・ピケット|パーシー・スレッジ|キース・リチャーズ|ミック・ジャガー|ボノ|スティーヴ・ウィンウッド|グレッグ・オールマン|キャンディ・ステイトン|アトランティック・レコードのジェリー・ウェクスラー|ジミー・クリフ|クラレンス・カーター|
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Posted byやまなか