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映画 牯嶺街少年殺人事件 (クーリンチェ少年殺人事件)  監督:エドワード・ヤン

樹下ages 4時間の大作です。見ごたえがあります。
 殺人事件と言うタイトルですが、アクションもの・刑事ものではありません。
 他で映画評されるほど、殺人事件だけに焦点をあてた映画でもありません。殺人事件は主たるテーマじゃないと思います。もう少し広い視野で観たほうが、映画の魅力に迫れるかも。

 なにしろ4時間映画ですから、物語るその量はとても多いです。
 スー少年とミンに年頃の愛が芽生えます。(右写真→)
 部分的にはラブストーリー青春映画ですし、殺人事件も映画全体の一部分です。時は1950年代末~60年代前半くらいでしょうか、台湾国内がまだ落ち着かない少々荒々しい時代の、老若男女、様々な人生模様が描かれている映画です。いくつもの話を含んだ映画と思ったほうが自然です。
 映画の中では時間がゆったりと、とうとうと流れています。この流れに身をゆだねてみましょう。
教室imgres 
職員室 (Edward Yang, 1991) 02 夜間中学の生徒たちは、若さと悪さの発露を求めて教師に世間に反抗します。
 舞台の台北のこの街には2組のやくざグループがいて、中学校内の2つの悪さ派閥を繰っている。その片方のやくざグループのボスはハニーという、ちょい異端で知的好奇心がある青年、少年スーの尊敬する人物。しかし実はミンの元彼はハニーであり、ずっと年上の町医者からも好意を持たれている、なかなかの少女。
 そして、この街には映画撮影所があり、ミンは偶然にではあるが女優としてスカウトされる。
 ハニー0                            ボスのハニーとスー少年 (→)
tumblr_lc87inEgzy1qzddd1o1_r1_500.png テレビはありませんラジオの時代。アメリカンポップスが輝いていた時代。ロカビリーは若い奴らの血を躍らせる。スーのクラスメイトは歌がうまい。街の公民館で開いたナイト・コンサートは大盛況、これはヤクザ興行、前後にすったもんだがある。
 コンサート開始前に、全員起立姿勢で国歌が流れる。客席で聴くだけ、ダンスはないコンサート。
 まだまだ闇がある台北の街、コンサート会場からもれる明かりは街の闇を感じさせる。停電もよくある。
 スーの家は日本式家屋、ふすまがあり押入れがベッド。スーの友人モーは金持ちの子・軍司令官の子息、彼の家も日本式家屋、日本軍将校の家だったと言っている豪邸。天井裏から日本刀が出てくる。スーの家からは、女持ちの短刀が出てくる。中学生悪さグループ間の抗争がエスカレートした際に、日本刀が使われ人が死ぬ。
 スーの家族もミンの家族も上海からの移民。スーの父はインテリで、中国共産党党員の嫌疑で秘密警察に呼び出され、上海からの人間関係を洗いざらい記述することを強いられる。

 混乱を乗り越えて、新しい時代を築こうとする当時の台湾の人々の苦悩が描かれている映画だと思います。
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少女min 監督:エドワード・ヤン(1947-2007)|1991年|台湾|237分!(完全版) 
 原題:A Brighter Summer Day|
 出演:チャン・チェン(Xiao Sir)|リサ・ヤン(Ming)|チャン・クオチュー(Father)|エイレン・チン(Mother)|ワン・ジュエン(Eldest Sister)ほか
 「少年殺人事件」は少年が死んじゃう事件じゃないです。そういうことで「少女殺人事件」が本当でしょう。

 同監督の「ヤンヤン 夏の想い出」(2000年)はですね、マイ・フェイバリットな映画です。
 今まで何回も観てます。昨年大晦日に書いたブログ「旧友に会うように、馴染みの映画を観る」のリストに入れようと思って入れ忘れた映画。


学校集団228499_2  ふたり野はらBrighterSummer  

ラストghter Summer Day 1991
 1895年■清国から日本に割譲(させられる)以後、日本は台湾を領有
 1945年■第2次世界大戦終結 台湾領有権を放棄し、日本人たちは台湾から引き上げる。連合国側に属した蒋介石が率いる国民党政府が、当時の中国の実効政権として台湾を接收
 1949年■中国共産党との内戦に敗れ、中国を追われた蒋介石・国民党政府幹部や軍関係者、その家族は台湾に逃れ来る。国民党政府とともに、共産主義を嫌い、安定した生活を求めて中国から台湾に逃れ定住した人々は「外省人」と呼ばれた。その数は200万人とも言われる。従来在住の住民である「本省人」(当時600万人)と区別され、社会的権利は著しく制限された
   
  ジャ・ジャンクー監督の「海上伝奇」には、上海から台湾に渡った人の話が出てくる。 
 
11地図




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Comments: 5

やまなか URL 2015-06-09 Tue 19:41:42

とむ様

長年にわたるご愛顧ありがとうございます。
そのようにしていただいて結構です。
これからも、よろしく願います。
一夜一話

やまなか URL 2011-06-09 Thu 21:28:09

ありがとう!引き続き「遊びで楽しんで」書いていきます。あげていただいた映画で観てないもの、是非観てみます。それと、かつて観た映画、時を経って改めて観てみると、以前の印象と違っている場合もあります。これも面白いものです。

もうり URL 2011-06-08 Wed 22:56:12

こんばんわ。その後、同じエドワード・ヤン監督の『カップルズ』と『恐怖分子』、ホウ・シャオシェン監督の『珈琲時光』と『憂鬱な楽園』、トリュフォー監督の『終電車』と『隣の女』、タイのペンエーグ・ラッタナルアーン監督の『地球で最後のふたり』、小津監督の『東京暮色』、相米慎二監督の『台風クラブ』を見直したり『ションベン・ライダー』をみたりしました。 『青春の殺人者』も観終わったときに思いついていたのですが、確かに青春と殺人でテーマは重なるのですが、作風がちょっと違うかなぁと考えていました。私は同じエドワード・ヤン監督作では『カップルズ』、他の監督では『地球で最後のふたり』が心情をうまく描いているんじゃないかなと思いました。これは私からのおすすめです。一夜一話で映画の感想を書かれている姿勢には敬意を感じます。私も映画が好きで、映画のことを誰かに話したいのですが、とても映画ごとに評を書く労力を費やせず、こうしてコメントどまりになっています。また、いい映画があったらと思い、のぞきにこさせてくださいね。

やまなか URL 2011-05-07 Sat 10:16:13

コメントありがとう! そうですね私も思い浮かびません・・・。邦画「青春の殺人者」は実際の事件に取材した芥川賞作家中上健次の小説がもと。ただ主人公はもう青年で大人の年頃。あと青春映画は個人的にちょっと手薄なもんで、推薦作品が浮かびません。どなたか、ヘルプ願います。

もうり URL 2011-05-05 Thu 17:34:08

『クーリンチェ少年殺人事件』今日、みました。青春映画で実話をもとにしていて、殺人事件が起こるまでの少年の葛藤を描いた映画って、青春の時期ならありそうで、でも映画としては他におもいうかびません。他に青春の頃の心情をうまく描いた映画って、どんな映画があるでしょうか?何か思いつく映画ってありませんか???

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 日ごろのアクセス、本当にありがとうございます。気づけば、ブログを始めて8年目に入りました。一夜一話に掲載したい映画、まだまだあります。気の向くまま、その時の気分でやってます。遊び半分じゃなく、「全部遊び」です。

<一話一夜の方針かな>
 1)古今東西の映画を分け隔てなく並べて、気に入った映画を選びます。
     
 2)以前に観た映画でも、もう一度あらためて観てます。むかし感じた印象と大きく異なることも多いからです。

 3)「素」な気持ちで、「映画作品そのもの」に向き合うことが、私の遊びです。
 作品自体が語りかけてくること以外の額縁情報、つまり宣伝文句、その受け売り文章、受賞実績、監督発言、出演俳優がどうしたとか、そして映画評論本やらは、はなから無視して、自分の眼で観るようにしています。

 4)観て気に入らない映画、つまんない映画は、基本掲載しません。
 だから、観たけど掲載しない映画は多いです。巨匠の名作と言われる映画も、気に入らなければ掲載しません。また、名物にうまいモノなし、ということも実感します。

 ただし、まだ観てない映画は、たくさんあります。こんな一夜一話ですが、今後も、見に来てください。   
 美術や音楽、書籍や温泉の記事も増やしたいと思っています。よろしく。  

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