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映画「ヴェルクマイスター・ハーモニー 」 監督:タル・ベーラ

メイン212images 舞台劇、野外劇的な臭みを乗り越えると、その向こうに映画が見えてきた。あらゆるシーンが、そのまんま、一枚のスチール写真になる立派な画面構成。

 大きな長いトレーラーには、どうもクジラの見世物が入っていて、ハンガリーの田舎の街々をめぐっている。
 この見世物が来た街には、必ず暴動が起きるらしいウワサとともに、不気味なトレーラーは、ついにこの街にもやってきた。暴動の規模は200人とも、ある筋のウワサでは、たったの2人とも。そう、実は見世物興行の2人が、行った先の街々の、そこの住人たちを扇動して暴動を起こしている。トレーラーの中では、興行師2人に指示を出している怪しげな権力者ロシア人がいる。こいつは誰?
 この街では、大きな病院が、煽動された地元住民によって襲われ、地元の入院患者全員が標的となり撲殺された。

 主人公の青年(右上の写真)が身の回りの世話をしている老音楽家の妻は、上昇志向の女で、警察署長といった街の権力者に取りいっている。暴動の後、戦車とともに軍隊がこの街に来て調査をするが、この女が案内役をしている。
 殺りく実行部隊である、地元在住の潜在的不満分子?(あるいは政治的地方組織?)、興行師、ロシア人扇動者、地元権力、軍隊。これらの、互いに連携しあった、一連の奇妙な煽動~暴動~収拾そして黙認は、どういう上部組織の、どういった意図なのか?  これが空想的な話であっても、ハンガリーに疎い日本と言う異邦人には全くもって難解だ。作品広報の情報支援が要る感じ。

 そもそも、この映画の視線は、暴動とは関係ない男(右上写真)の視線なので、自ずと観客は暴動が何なのか分からず不安にかられ怖い。製作意図にはまる。扇動者や暴動に走る人が主人公なら、分かりやすい映画になる。
 
 何をどういう表現をするかは監督の自由だが、病院襲撃という設定は、いかがなものか! よりによってもっとも弱い立場の人々を殺していくシーン。事実に則してのことなのか。わからないことだらけの映画です。ただし、全体としては存在感がとてもある映画だ。
 薦めません、観ないほうがいい映画。ただ、同監督の近作「倫敦から来た男」(2007)よりはずっと良い出来だ。


2001年にニューヨーク近代美術館(MOMA)で特集上映が行われたという。37カットで描いたモノクロ作品。
こういった意味不明な映画は「叙事詩」ということで右から左へ片付けられる。

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未知536270 監督:タル・ベーラ|ハンガリー、ドイツ、フランス|2000年|145分|
 原題:WERCKMEISTER HARMONIES
 出演:ラルス・ルドルフ| ペーター・フィッツ|ほか






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