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映画「帰って来た若旦那」 監督:青柳信雄  司葉子と鶴田浩二

神保町adanna 今じゃ、もう出来ない喜劇映画です。
 結ばれぬ2組のつらい愛が、めでたく結ばれる物語。

 主な出演者を見れば、観る前から筋は、おおよその見当がつくし、映画が始まると、さらに筋の先が読めてくる。そうして観客はいつのまにか映画と楽しく会話していく。お約束、期待したとおりの展開、そして期待以上のシーンが出てきて観客は喜ぶ。こういった仕掛けを質の高いレベルで余裕ありげに見せてくれる。ゆったりした安楽椅子気分にしてくれる映画。娯楽映画です。

 舞台は、東京、西銀座、昭和30年。
 老舗の和菓子屋・南蛮堂はカステラが有名。間口3軒の店、奥に工場と住まいがある。あるじ(金語楼)は、もう年配で商売に工夫がない。家族は、長男(鶴田浩二)、長女(北川町子)、次女の4人家族。長男はアメリカに留学中で留守、長女は養子。ほかに番頭(森川信)と菓子職人が3人(千秋実)。
 一方、桜ベーカリー。近年大阪から上京してきた女あるじ(清川虹子)が銀座に出店したモダン店。南蛮堂を出し抜こうと策略をたてる。映画冒頭、南蛮堂のカステラ職人を1人引き抜いてしまう。給料2倍!
 実は南蛮堂は店を抵当に入れて借金があり、返済期限は過ぎていた。留学資金だ。その証文を金融業者から一時借り出した銀座の詐欺師、望月は、自分が貸し主だと偽り、桜ベーカリーと結託して南蛮堂を乗っ取ろうと相談しはじめた。望月の本当の狙いは、桜ベーカリーの娘(司葉子)であり、かつ桜ベーカリー、南蛮堂ともども自分のものにしようと企んでいる。・・・・・・

四人 とまあ、ここまでが前半1/3くらいの部分。やっと司葉子が少しシーンに出てくるが、銀座きっての秀才、南蛮堂の長男・鶴田浩二は、ま~だ出てこない。観客をじらす。やっと帰国するがわけあって、すぐには行動しない。だが、その分後半は大きく話が展開し、アクションあり奇策ありと観客は映画に引き込まれていく。

 藤間紫という女優がいい!
 南蛮堂の路地向かいには新橋芸者の置屋がある。
 そこのひとり、夢千代(藤間紫)は南蛮堂の長男・鶴田浩二と幼馴染み。この藤間紫がいい!美味しいところ、独り占めする、少しすねた色気ある演技、新橋芸者のシャッキリさ、やられた!
 鶴田浩二が帰国後も実家・南蛮堂に帰らず、わけあって隣家の置屋に身を隠す。それをいいことに夢千代は鶴田浩二を放さない。置屋の2階にあげる。和服に着替えさせる。寿司の出前を取る。留学中もあんたを想っていたのよ、と。置屋の他の芸者も隙あらばと近寄るが、追い払うその演技! 一方、のらりくらりとあまり反応しない鶴田。
 そのうち、南蛮堂の妹たちも、父親に内緒で置屋にやって来る。そこで夢千代は知る、鶴田の想う人は、桜ベーカリーの司葉子だと。それも結婚が前提だ。正面きってすんなり言われる。  夢千代は、悔しいが諦め・身を引く、その切り替えがはやい。そこんところの演技もうまい! まるでバックコーラス隊の一員だが、2コーラスもソロをもらって歌った感じだ。任されている。こういうサイドの役者の輝きが、この映画を作っている。
 一方、父親役の金語楼、番頭の森川信のベテランの存在感は当然映画を支えるが、今見るとその演技は古臭い。

司葉子って、映画ではとてもいいのに、スチール写真写りがよくない女優だね。(↑上の写真)
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監督:青柳信雄|1955年|91分|
出演:老舗和菓子店南蛮堂(岸本家)・・・・・柳家金語楼(頑固な父親)|鶴田浩二(長男 修一)|北川町子(妹・養子 春江)|宮桂子(末の妹 不二子)|千秋実(菓子職人 五十嵐)|森川信(番頭 堀部)|
桜ベーカリー(菊池家)・・・・・清川虹子(母親 桜子)|司葉子(ひとり娘 杏子)|
藤間紫 (修一と幼馴染の新橋芸者 夢千代)|
この方、脇役と書いたが、実はすごい女優。元日本医科大学学長河野勝斎の長女で、12歳の時、6代藤間勘十郎に入門し、天才少女と言われた。もともとは弁護士を志していた。日本舞踊藤間流紫派家元。夫は三代目市川猿之助。藤間勘十郎(六代目)の元の妻で、藤間勘祖(3世)である高子と俳優文彦の母。弟には六代目中村歌右衛門の芸養子である六代目中村東蔵。(らしい  wikipediaより転載)

司048182   北川wa_2   紫 50056
司葉子           北川町子        藤間紫 
                (この映画では、もっと若いおふたり ↑)


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 日ごろのアクセス、本当にありがとうございます。気づけば、ブログを始めて8年目に入りました。一夜一話に掲載したい映画、まだまだあります。気の向くまま、その時の気分でやってます。遊び半分じゃなく、「全部遊び」です。

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 3)「素」な気持ちで、「映画作品そのもの」に向き合うことが、私の遊びです。
 作品自体が語りかけてくること以外の額縁情報、つまり宣伝文句、その受け売り文章、受賞実績、監督発言、出演俳優がどうしたとか、そして映画評論本やらは、はなから無視して、自分の眼で観るようにしています。

 4)観て気に入らない映画、つまんない映画は、基本掲載しません。
 だから、観たけど掲載しない映画は多いです。巨匠の名作と言われる映画も、気に入らなければ掲載しません。また、名物にうまいモノなし、ということも実感します。

 ただし、まだ観てない映画は、たくさんあります。こんな一夜一話ですが、今後も、見に来てください。   
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