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映画「風吹く良き日」 監督:イ・チャンホ

屋台yatai1008993_02 地方じゃ食えない。若者がどんどんソウルに集まって来た時代1980年。地方で漠然と考えていた夢。しかし現実は出世競争の騒音でうなるソウルな毎日。ぽっと出の田舎者たち、圧倒され隅に追いやられながらも、しがみつく男3人。中華料理屋の出前持ちトッペ(写真左端アン・ソンギ)、理髪店の見習いチュンシク(写真右端イ・ヨンホ)、ホテル従業員見習いキルナム(写真中央キム・ソンチャン)  何か好いこと無い? 彼女が欲しい! 金が欲しい・・・出尽くした話題、でも3人は飽きもせずに、屋台で焼酎を酌み交わす。

 チュンシクのいる理髪店に成り上がりの不動産仲介業社長が足しげく通って来る。目当ては、チュンシクの彼女で、店に勤めるミス・ユ。社長はなんとか自分の女にしたい。理髪店のあるじは、それを見越して社長の建てた新築ビルにテナントとして入りたい。当の本人たちをさし置いて、社長と店のあるじ、お互いの利害は一致していた。
 急激な経済発展でソウルの周辺は、畑から市街地に。アクドイことをして成り上がる。されて零落する。チュンシクはそんな成り行きを見ていた。一方、ミス・ユは病弱な父親と幼い兄弟を養う稼ぎ頭。嫌悪感を自分の中に押し込めて社長とベッドまで付き合う。これを知ったチュンシクは、社長に襲い掛かり傷害事件を起こしてしまう。おまけにミス・ユからは、私の家族の生活を台無しにした!と非難される。

 出前の入ったオカモチを下げて、埃っぽい道を歩いていたトッペに、道を聞いてくる女性がいた。実はこの女性はチュンシクの妹、兄とは打って変わって向こう見ず。田舎から出てきて兄の勤める理髪店を探していた。
 ホテル従業員見習いキルナムは、3人の中では一番に機転がきいて世間を知っている。カレの彼女は、韓国より進歩的な社会福祉制度をしいている西欧の国に憧れている。ある日、彼女に預けていたキルナムの全財産、全部彼女に持っていかれてしまう。そのわずかな財産は、将来ホテルを経営するための資金の一部だった。「黒人の方、白人の方、ようこそ。ナカムラさん、オーケー。ワンさん、ウェルカム」キルナムがホテルの夢を語るときの口癖がこれだった。
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 映画ラストは3人が進む道さまざまということで終わる。チュンシクは刑務所、キルナムは召集礼状が来て軍隊に。そのキルナムを駅で見送るトッペとチュンシクの妹。2人の愛はこれから始まるようだ。(写真の左と中央 →)
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監督:イ・チャンホ|韓国|1980年|113分|
出演:アン・ソンギ・・・中華料理店の出前持ちトッペ|イ・ヨンホ・・・理髪店の見習いチュンシク|キム・ソンチャン・・・ホテル従業員見習いキルナム|ユ・ジイン・・・富豪の謎の令嬢|キム・ボヨン・・・理髪店従業員ミス・ユ|

3人20110421_4439473
全財産を彼女に持ち逃げされて落ち込むキルナム(中央)、慰める2人
銭湯smile ふたりkazefuku03
銭湯で気を入れるトッペ    積極的な彼女からプレゼントをもらうトッペ

 映画製作年の前年、1979年、パク・チョンヒ独裁軍事政権崩壊。民主化運動、映画製作の解禁、韓国ニューウェーブ。
 ソウルの人口、映画の中で800万人と言っている。1975年は680万人、1990年には1061万人に。ソウルの市街地はどんどん拡大する。映画の中で、土地を騙し取られた農民が言っている。「昔はこの辺はソウルじゃなかった」現在、韓国全国民のおよそ5分の1がソウル市民。
 映画の中で丘の上からソウル市街を見渡すシーンがある。市の中央を流れる河川・漢江(ハンガン)沿いに高層高級マンションが徐々に建設されているのが分かる。経済発展政策が波に乗り始めソウルは急激に拡大し始めていた。映画の背景にたびたび出てくる発展過程の様子、大きな下水用の土管が並ぶ、舗装前の埃っぽい道路、畑を整地しただけの殺伐とした空き地、工事途中の建物、そして古い家、店。かつて日本にもあった風景だ。
 登場人物のひとり、富豪の令嬢の車が韓国国産車。当時、女性が運転すること、若い人間が自分のマイカーを持っていることが珍しかったようだ。「あの女が(営業車の)運転手?」 「いや、マイカーのドライバーだよ」 「・・・・・・・」

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Author:やまなか
 日ごろのアクセス、本当にありがとうございます。気づけば、ブログを始めて8年目に入りました。一夜一話に掲載したい映画、まだまだあります。気の向くまま、その時の気分でやってます。遊び半分じゃなく、「全部遊び」です。

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 3)「素」な気持ちで、「映画作品そのもの」に向き合うことが、私の遊びです。
 作品自体が語りかけてくること以外の額縁情報、つまり宣伝文句、その受け売り文章、受賞実績、監督発言、出演俳優がどうしたとか、そして映画評論本やらは、はなから無視して、自分の眼で観るようにしています。

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 だから、観たけど掲載しない映画は多いです。巨匠の名作と言われる映画も、気に入らなければ掲載しません。また、名物にうまいモノなし、ということも実感します。

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