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映画「黒い眼のオペラ」 監督:ツァイ・ミンリャン

メイン101ages  マレーシアのクアラルンプール。脚光を浴びる繁華街の外れ。そこは流れ着いた者たちが淀むスラム街。人通りのない捨てられた町並み。期待を持って南アジア各地から出稼ぎに来た人々が、この街にうずくまる、今や明日もない底辺者。そんな街の一軒の食堂。店内はタイル張りの床、コンクリにペンキを塗った壁、湿った感じ。屋外屋内のあちこちを反響してくる、ややリバーブな喧騒、話し声やエンジン音。こうした音響を背景に沈黙劇がたんたんと続く。背景音であるはずの喧騒が妙にリアルに感じる。ここまでで、もう映画世界が成立している。

  路上のチンピラ、賭博詐欺集団にもてあそばれ、負傷し意識を失ったシャオカン(リー・カンション)を救ったラワン(ノーマン・アトン)。インド人かバングラデシュ人か? 同国人たちが共同生活する廃墟のようなアパートの一室で、看病が続き快方に向かうシャオカン。献身的なラワンは引き続き彼の身の回りの世話をやくのだった。

2     89_17352472  もうひとつのエピソードが並行して進む。
  食堂の女主人(パーリー・チュア)は、植物人間の息子を、つまり重度の意識障害を持つ寝たきりの息子(リー・カンション・二役)を抱えている。店に住み込みのシャンチー(チェン・シャンチー)が、この息子の介護もさせられている。そして、回復したシャオカンとシャンチーが出会う。寝たきりの息子に似たシャオカンに食堂の女主人もいつしか、彼に心ひかれていくようになっていく。
  弱い者が、さらに弱い者への愛を忘れないこともある、ということを「黒い眼のオペラ」は言っているようだ。

  ほとんどセリフがない沈黙劇なので、映画をよーく観てないと?、話のすじが分からなくなるのが難点。(笑)

  同じマレーシア映画でもヤスミン・アフマド監督が描く世界とは、まったく違う世界が「黒い眼のオペラ」では描かれている。ヤスミン・アフマド監督もマレー系、中国系、インド系の人種間の軋轢を描くが、それでも、「黒い眼のオペラ」と比べると明と暗の差がある。
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1     e21bfdf36ffc3dd9 監督:ツァイ・ミンリャン|台湾=フランス=オーストリア|2006年|118分|
 原題:黒眼圏/I DON'T WANT TO SLEEP ALONE
 出演:リー・カンション(Hsiaokang)|チェン・シャンチー(Shiangchyi)|ノーマ・アトン(Rawang)|パーリー・チュア(Lady Boss)|






廃墟ビルの中に溜まって出来た池、好きだなこういう水風景!


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