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映画「流れる」  監督:成瀬巳喜男  出演:山田五十鈴、|高峰秀子、岡田茉莉子。田中絹代

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  立場の違う多くの登場人物の思いを、肩に力を入れず上手に描きわけ、各人が織り成す当時の柳橋の空気を生き生きと映し出している。名画です。

  東京、隅田川沿いにある由緒、格式ある芸者の街、柳橋。
  つた奴(山田五十鈴)は器量・芸・品ともに、この街では名が知れた華やかな芸者だった。旦那ができ娘の勝代(高峰秀子)が生まれ、置屋「つたの家」を営み商売繁盛、しかし旦那は去ってしまった。昭和も30年代に入り花街の景気に、そろそろ影が差し始めていた。
  娘の勝代は幼い頃から芸者になるべく仕込まれてきて一時は座敷に出ていたが、芸者という職業を嫌がるようになる。今、置屋にいる芸者は3人。若くて器量よしは、なゝ子(岡田茉莉子)だけ、なみ江(泉千代)、染香(杉村春子)は売れない。
  置屋「つたの家」の名声も右下がりになってくると先立つ金が回らない。腹違いの姉にすがり、「つたの家」の土地を抵当に入れて、なんとかかんとか、ぎりぎりのところ。こうなってくると、お給料について、もめ事も起こりがち。案の定、なみ江はほかへ出て行っちまった。つた奴は三味線を子供達に教えているが、生来芸者として期待できそうなタマがいない。

ふたりCVVeru  そんな様子を見かねて、姉は旦那になりたい社長を紹介したり、つた奴が現役の頃の女将お浜(栗島すみ子)も、かげからあれこれ面倒をみてやっていた。そんなことを有難く思いつつも、頑固なつた奴は、我を通す。
  悩みぬいた末につた奴は、姉から借りてた金や抵当に入れた土地の負債を、お浜に買ってもらい、心機一転置屋「つたの家」をもう一度始めるのであった。
  そんな事情を、新入り家政婦の山中梨花(田中絹代)の目と、女将お浜(栗島すみ子)の目でつづられていく。

  映画「流れる」は山田五十鈴のための映画です。
  彼女がこの映画の中心にいて、しっくりとリアルな味付けや香り付けをしている。
  なんかで読んだが、彼女の父は新劇の俳優さん、母が芸者さん。幼い頃から芸の仕込があったそうです。このことがまさに芸者のリアリティさを醸し出す。たたずまいが凛としている。三味線は本当に弾いているし、何をするにしても、何気ないその手先の動きが美しい。例えば右手に持ったタバコを、すっと口に持ってくる仕草にご注目を!
  そして忘れてならないのは、女将お浜を演じる栗島すみ子。いいですね! この女優さんがいなかったら、映画に深みが出てこなかったと思う。うる覚えだが、確か監督が栗島すみ子に頼み込んで出演してもらったと聴いたような気がする。山田五十鈴と栗島すみ子が屋台骨の映画です。


柳橋について
  ミドリの山手線と黄色の総武線が交差する駅が秋葉原駅。この総武線で秋葉原駅の次の駅が浅草橋駅。ここに柳橋がある。
  総武線は浅草橋駅を出ると、すぐ隅田川を渡る。川向こうの駅は両国駅。国技館が駅前に。
  浅草寺で有名な浅草は、柳橋があるこの隅田川沿いより少し上流。でも遠くない。

  山田五十鈴の店は置屋。芸者は料亭から呼ばれ派遣される。
  柳橋では料亭は隅田川沿いに並んでいた。現在、もう柳橋には料亭も置屋もないが、かつて料亭だった建物が、ギャラリーとして再生されている。

  ルーサイトギャラリー   台東区柳橋1-28-8
  公式サイト http://lucite-gallery.com/  ← 料亭内部がCGで見れる。お薦め!!

  かつて隅田川の舟から料亭に直接上がれた。江戸時代、川は輸送路、だから柳橋は繁栄した。
  しかし隅田川にコンクリートの堤防ができて、料亭と川は分断されてしまった。


流れる隅田川GDGareru01  監督:成瀬巳喜男|1956年|117分||
  原作:幸田文|脚色: 田中澄江、井手俊郎|撮影:玉井正夫
  出演:田中絹代 (山中梨花(新入り家政婦:つた奴に、愛称お春と呼ばれる))|山田五十鈴 (つた奴(芸妓))|高峰秀子 (勝代(つた奴の娘))|中北千枝子 (米子(つた奴の妹:一人娘を連れて出戻り))|賀原夏子 (おとよ(つた奴の腹違いの姉:つたに金を貸している))|栗島すみ子 (お浜(水野の女将・つた奴が現役時代の女将))
  岡田茉莉子 (なゝ子(芸妓))|泉千代 (なみ江(芸妓))|杉村春子 染香(芸妓)
  松山なつ子 (不二子(米子の娘))宮口精二 (鋸山(なみ江の伯父))|仲谷昇 (佐伯(お浜の甥))|加東大介 (高木(米子の前夫))|竜岡晋 (村松)

柳橋の料亭が川沿いに並ぶ(映画撮影当時)

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 日ごろのアクセス、本当にありがとうございます。気づけば、ブログを始めて8年目に入りました。一夜一話に掲載したい映画、まだまだあります。気の向くまま、その時の気分でやってます。遊び半分じゃなく、「全部遊び」です。

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 1)古今東西の映画を分け隔てなく並べて、気に入った映画を選びます。
     
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 3)「素」な気持ちで、「映画作品そのもの」に向き合うことが、私の遊びです。
 作品自体が語りかけてくること以外の額縁情報、つまり宣伝文句、その受け売り文章、受賞実績、監督発言、出演俳優がどうしたとか、そして映画評論本やらは、はなから無視して、自分の眼で観るようにしています。

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 だから、観たけど掲載しない映画は多いです。巨匠の名作と言われる映画も、気に入らなければ掲載しません。また、名物にうまいモノなし、ということも実感します。

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