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映画「萌の朱雀」  監督:河瀬直美

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  毎朝、雨戸を開けると座敷から、向こうの山なみが見える。一軒家。
  山で代々林業で生活してきた。岩清水を引いている。台所は土間で、かまどに薪をくべてご飯を炊く。
  山の斜面は段々畑。山を下ると深い渓谷に釣り橋が架かっている。その向こう岸に県道が走っていて路線バスの停留所がある。村唯一の交通機関。
  言葉はわからなくても、映画が映し出すこの風景/風土は、東アジアの人には親近感が持てるんじゃないかな。映画のところどころに、村に実際に住んでいる人々の様子が映し出されリアル感を補完している。(奈良県の旧吉野村、現五條市)

家族imttjs  さてストーリーはどうだろうか。
  映画はとても難解である。2回観ても正直、わからない。このわからないことが、浮遊感ある不思議さを感じさせ観客を引きつけるか、拒否感/眠気を感じさせるか・・・分水嶺。
  まず、セリフの回数が少なく言葉数が少ない、かつ口ごもった発音で聞き取りにくい。DVDで巻き戻してみても何言ってるか判らないこともある。つまり映画に日本語情報が少ない。よって観客は皆、日本語がわからない東アジア人と化す。




歩くKしゃい 廊下28  おばあさんがいて、その息子の孝三(國村隼)。その妻が泰代(神村泰代)。この夫妻に子供二人、妹・みちると兄・栄介がいる、とほぼみんなが思うんじゃないかな。(左写真)
  しかし、あるシーンから突如、みちるは中学生になっていて、栄介は旅館に勤めている。特に孝三がいなくなってから、ほんのわずかなセリフの合間からうっすら見えてくるのは、ひょっとしたら栄介が孝三の妻・泰代にひかれているかもしれない・・・、みちるは栄介を好きになっているような・・・。
  え? そもそも栄介って誰だっけ? 映画を観終えても謎は解けない。
  ネットにある情報から判った。つまり、栄介は「孝三の姉の子」らしい。なるほど・・・。(私は2回観たが判らなかった)

父914  父・孝三は、ある日いなくなった。(写真左・村を出る孝三)
  葬式のシーンがないから、妻子をおいて失踪したのだろう・・・? (死んだのか? 映画はここでも、はっきり言わない)  だったら孝三は何故そんなに悩んでいたのだろうか? 映画からは伝わってこない。大の大人が失踪するくらいな大問題は生活の将来に関してだろう。トンネルがキーワードらしく映画に出てくるし、村人の議論の様子が実写で出てくる。鉄道の計画が中断・廃止になったらしいまでは判る。孝三は村は終わりだと落胆し失踪か?? 孝三の精神があまりにも脆弱で粘りがないのが不自然。強引で粗雑な展開が残念だ。そもそも、この家族に山村の生活臭がない。田舎暮らしをしている都会人にみえる。
  
  この映画、日本語がわからない観客、あるいはビジュアル重視の観客には、受けがいいんじゃないだろうか、と思う。いや待てよ、英語字幕で見た外人の方が理解度が高いかも。 

娘cap監督:河瀬直美|1997年|95分|
脚本:河瀬直美|撮影:田村正毅
出演:國村隼 (田原孝三)|神村泰代 (田原泰代)|尾野真千子 (田原みちる)|柴田浩太郎 (田原栄介)|和泉幸子 (田原幸子)|向平和文 (田原栄介(少年時代))|山口沙也加 (田原みちる(少女時代))|

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 日ごろのアクセス、本当にありがとうございます。気づけば、ブログを始めて8年目に入りました。一夜一話に掲載したい映画、まだまだあります。気の向くまま、その時の気分でやってます。遊び半分じゃなく、「全部遊び」です。

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