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映画「雲の上」  監督:富田克也 (空族)

トップ  いい映画だ。
  8ミリで撮影された。そのワイルド感と録音ノイズ、その場一発撮り的な、生なライブ感が織りなす映像は観客をとりこにする。
  そしてシラス役の鷹野毅(写真左)が何とも言えず、素晴らしい!! 
  世間からこぼれ落ち、生活力もなく、何をやらせても頼りない、実に弱々しい男シラス。でも切に自分を生きたい、そう願うシラスを深い共感を持って切々と演じている。シラスが主人公とも言える映画。

  舞台になっているこの地域は、霧が深く、滝があり、竜神様が祭ってあって、その傍らに古くから紅雲院という寺が建てられていた。そして伝説が伝わっている。その昔、寺に住み着いた女が周囲の蛇を集め滝壺から一筋の紅の竜雲となって天に昇っていった。そんなわけで、紅雲院はこのあたりじゃ、古刹。

  ま、要するにその寺の長男で悪がきチケンと、親を知らない小柄なシラスは幼なじみ。性格も体格もまるっきり違うが気が合う。子供のころシラスは何もかもが嫌になり、村を出る決意をした。人目を忍んで深夜に歩いて奥深い山を越える、それを聞いたチケンは付き合おうと言って一緒に山を歩いた。しかし、あまりに霧深い夜で、山越えを断念した。

  チケンの寺の本堂の奥、ご本尊の裏に隠れ部屋が昔からある。ここで賭博をやっている。地場のやーさんたちの稼ぎの場を提供しているのだ。そんなこともあってチケンは村では肩で風を切って歩ける。だからか、誰かと喧嘩して刑務所行き。やっと出所して来たところで映画は始まる。

  シラスに久方ぶりにあった。女連れてカッコウだけはチンピラだが、組では下の下。理由なく毎日兄貴分に殴られている。生傷が絶えない。シラスはオドオドとチケンに言う。組を抜けたい。チケンはすぐさま昔、山越えできなかったことが頭を過り、シラスを助けようと決める。

  一方、組の親分からシラスに指示が出る。白い粉の受け取りのための東京行だ。チケンが運転するアメ車でシラスは東京へ向かうことになる。指示された仕事は簡単なはずだったが・・・。さてさてシラスとチケン、それに相手方の怖い組員たち、そして紅雲院伝説も絡んで波乱万丈のストーリーが東京の街で展開する。アクションシーン、笑えるシーン、そして色っぽい幻想シーンありだ。

  そしてラスト。東京から先に町に逃げ帰ったシラス。案の定、縛られ、組の車のトランクに押し込まれて、どこかへ運ばれる。後ろで泣き叫ぶシラスの声がウザったいやーさんは、カーラジオをつけろと言う。と、薬師丸ひろ子が流れ出す。ここでの印象がきっと後に残ります。
  東京で大暴れし辛うじて難を逃れたチケンも町に戻ってきたが、我を失って自暴自棄でいる。
  バイクに乗ったそんなチケンは、シラスを運ぶ車と道で偶然すれ違うんだが・・・・。

  2回観たが、また観たい。奥がある映画だ。
  上映後の富田克也氏と相澤虎之助氏の掛け合いトークショーが面白い。機会があればぜひ見てください。
  かれら空族の生き方に共感をおぼえます。

監督:富田克也|2003年|140分|8mm→DV|
脚本:富田克也、井川拓、高野貴子|撮影:高野貴子|
出演:西村正秀(チケン)|鷹野毅(シラス)|荒木海香|古屋暁美|伊藤仁|相澤虎之助|

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Comments: 1

kayo URL 2012-05-22 Tue 04:05:01

わたしもこれ観たい。

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