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「シンプル・シモン」 監督:アンドレアス・エーマン

ふたりドラム缶










  スウェーデン映画です。
  映像について言うと品のいいポップな仕上がり。わかりやすさに気をつかい 遊び心もある その映像は、饒舌と言っていい。
  アスペルガー症候群という あまり知られてない障害を持つ弟シモンと その兄サム、そして弟を好きになる女性ジェニファーの3人が主役だ。障害を持つ本人と家族の苦難、そしてそれを乗り越えようとする前向きな姿勢と挫折を、コミカルなタッチを交え 明るく表現されてるハッピーエンドな映画。北欧っぽいリリカルさも感じるかな。

兄弟654  アスペルガー症候群とは知的障害の少ない「発達障害の一種」らしい。他人の気持ちを普通程度に理解することが大変に難しい。場の空気は読めない。一方、規則性・正確性をとても重視するらしい。
  つまり割り切れない世の中、なんでも起きる世の中に対して、臨機応変な対応が困難。だから激しい不安感が生じる。世の中を一切無視するか、一歩進んで世の中と自分との、不安感のない安定ある接触のために、懸命に考えた末、 論理的な「杓子定規・行動ルール」を作る。方程式。これにのっとって世の中と接しよう、折り合いをつけようとする。だからその人の世界観が露出するが、健常者側はそれを理解しようとしない。すれ違い。

  弟シモンが、この世で思い通りにコミュニケーションできるのは兄サムだけ。両親は、ドラム缶から出てこないシモンと会話しようとするが音信不通。あきらめの境地の両親。私はここで「えっ!」と思う。なに?このあきらめ感、前々からこうだったのかな、この親権放棄は・・・。父親は出てくれば金をあげると言いながら、ドラム缶の穴にお札を入れていくが、金が尽きた時点で去る。

  実家でシモンの面倒をみていた兄サムがフリーダと新居に出てから、残されたシモンの態度はまた硬化してしまった。しかたなくサムは「シモン入りのドラム缶」を新居に引き取る。さて、やはりフリーダとシモンがうまくいかない。ついにフリーダは実家に帰ってしまい、サムとフリーダの愛は破たん。フリーダは言う 私なの?シモンなの?どっちをとるの? 弟をとるのね。

ジェニファーi  兄が大変なことになったのは理解できるシモン。で、考えた。兄が元気になるためには、兄が好む女性が必要だ。そこで兄にインタビューを試みる、どんな彼女がいいですか? さっそくアンケート・シートを作って道で会う女性に片っ端から回答をもらう。受ける女性たちは楽しそう。(まるで健常者のように不特定多数の人々と接触している・・・?)
  そんなある日、シモンはジェニファーに出会う。シモンの多数の調査結果からは、ジェニファーがサムに最適な女性のはずなのだ。でも、シモンにとって最適な女性となってしまう。 今まで出会った事のない変な男子シモン、理解しようにできないシモン、いつのまにか愛していることに気付いたジェニファー自身。

缶ppp  実は、この映画に違和感を感じています。
  アスペルガー症候群を興味本位で取り上げた感じが、どうしても拭えない。不適切に言えば、この病は見せ方で次第で笑いを誘える。そういったシーンは映像化しやすいし、暗くならない範囲で不思議なキャラクター化もできる。
  うん、わかりやすく伝えようとしている事はわかります。コミカル表現があっていいと思うが、映画は先にアスペルガーありきで、無数にある病苦のなかで、なぜアスペルガーという障害をとりあげたのかが、最後までわからいない。医療機関の存在がいっさい出てこないのも不思議。
  社会性や医療的問題など難しいことが多い内容なので取捨選択してわかりやすくしたのだろうが、見方を変えれば、「妙にデフォルメ」されていることになる。ここで、作り手の見識の問題に突き当たる。
  病気や障害を取り上げるときは、やはり当事者の、言うに言えない苦しみを忘れてはならないと思いますよ。

  一歩ひいて寓話として見ようか?
  上に書いたアスペルガーの現実とは次元が違いますが・・・、世の中に対して臨機応変な対応ができない、場の空気が読めない、自分のやり方でしか対応できない。いますよね こんな人。ぐにゅぐにゅ時間かけて考え込むんですが・・・超~不器用な人。えっ、あんたもそうだって? 

  アスペルガーをテーマにしている映画として「音符と昆布」を推薦します。市川由衣、池脇千鶴、宇崎竜童が出演、井上春生が監督です。明るい映画に仕上がっています。
  
ベッドで777

監督・脚本:アンドレアス・エーマン|スウェーデン|2010年|83分|
脚本:ヨナタン・ショーベリ|原題:I rymden finns inga känslor|英題:Simple Simon|
出演:ビル・スカーシュゴード|マッティン・ヴァルストレム|セシリア・フォシュ|ソフィ・ハミルトン




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 日ごろのアクセス、本当にありがとうございます。気づけば、ブログを始めて8年目に入りました。一夜一話に掲載したい映画、まだまだあります。気の向くまま、その時の気分でやってます。遊び半分じゃなく、「全部遊び」です。

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