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「女と女と井戸の中」   監督:サマンサ・ラング

到着        屋敷
ヘスターと父親が住む館の大きさに驚くキャスリン

 サスペンスやホラーっぽいところもあって、取っつきやすい映画ですが、謎とその答えを映画のアチコチに潜ませているので、謎解きの面白味がある一方、めんどくさい。また、表現の表層を一枚はがすと、人の空しさをとつとつと語っている。

  50歳代だろうヘスターは 偏屈な父と、オーストラリアの辺境の、広大な大地に住んでいる。父娘に共通するのは人嫌い。そしてふたりの間に愛情はなさそう。ヘスターの記憶に母はいない。家庭教師の女性に育てられた。その女性はヘスターが唯一、心を許せる相手だった。
  ある日、ヘスターは街に行って若い女の子、キャスリンを連れて帰ってきた。住込みの家政婦見習い。教会の擁護施設から紹介されたらしい。父:「街に行ったお土産は?」 ヘスター:「キャスリンよ、私のものだけど」
  キャスリンも母を知らず施設で育った。家族の愛を知らない。施設外で働くのは初めてだろう。のちにキャスリンは言う「施設のみんなに、私には田舎に大きな牧場があるの、と言ってたの」

2  ピアノ   ピアノを弾くヘスターのそばにキャスリンが現れた。フレーズに分けて歌を教え、一緒に歌う。ヘスターの脳裏に昔がよみがえる。家庭教師と少女時代の自分の姿が重なる。キャスリンにとっては、こんなコミュニケーションは初めて。ドギマギ恥らっている。

  家政婦の仕事は床の雑巾かけ、銀食器磨きなどと古典的。キャスリンは たまらずこの家を逃げたが、重労働は 通いの家政婦モリーにさせると なだめられ留まった。
  数日後、その日はキャスリンの誕生日だった。ヘスターはケーキを焼きラジカセをプレゼントした。キャスリンはヘスターの頬に軽いキスをし喜びを伝える。ヘスターの表情は戸惑っていた。こんなキスは初めてなんだろう。そんな騒ぎの中、別室で父親が急死した。驚いたことに、表情一つ変えないヘスターは、さらに父が飼っていた犬2匹をモリーに銃殺させた。

ふたり 髪  父が逝って,ふたりは自由を手にいれた。そう、このふたりは雇主と家政婦の関係から、養子のように、おんな友達のように変わっていた。ヘスターもキャスリンも、自分たちの、こういう関係が、母娘なのか、おんな友達なのか、何なのか 理解するに足る経験が無かった。互いが保つ距離感・感覚も持ち合わせていない。それでお互いが不安に思い、のちに安堵し、時に疑心暗鬼になっていく。
  そこへ近隣の一家から、土地を売ってほしいという話が湧いて出た。またして、ヘスターの心が乱れる。育った家、土地への愛着の気持ちと、売って得る自由なお金を持つわくわくの気持ち。家庭教師と欧州旅行に行った楽しい思い出を振り返りながら、キャスリンと旅行したい。
  結局、小さな家が建っている一角を残して土地を売り、ふたりはその家に引っ越しした。つましい生活は続けられる。  
  まもなく現金がやってきた。100ドル紙幣の束がどっさり。現金を持ってきた男が言う「最近、この辺をうろついている男がいる、泥棒にあった家もある。気を付けて」と注意を受けた。
  ふたりは、ウキウキしながら丸いキャンディーの缶ふたつに、お札をぎっしり詰め込んで、それでも余った札束を毛糸の帽子にくるんで、棚の上に上げた。

  地域でダンスパーティーが開催された。今まで避けてきたヘスターだったが、ロックバンドが出演というニュースにキャスリンは有頂天。ふたりは出かけた。会場でヘスターは土地を買ったファミリーと初めて対面。キャスリンのダンスを見ながら言われた。「あの娘を閉じ込めちゃダメよ、若いんだから」
井戸  その帰り、興奮冷めやらずのキャスリンが運転する車が、狭い夜道を抜けていくが、藪の陰から出てきた男を轢いてしまう。途方に暮れるキャスリンをよそに、ヘスターは男の死体の処分を考える。引っ越した家の庭に古井戸がある。あそこへ放り込もう。涸れ井戸だから安心だ。  しかし、その夜から、不気味なことが起きるのであった。さらにはキャスリンは井戸の男は生きていると言い出し食事を井戸に降ろしている。そして、現金がなくなってっていることが発覚。パーティーの夜に盗まれたらしい。井戸の底の男は泥棒か? 生きているのか? 札束は井戸の底にある? キャスリンの顔つきが変わってきた、実はそんなに若くない?
  大雨が降った。涸れ井戸に水が入り、なんと井戸水の水面が手の届く高さに上がってきた。そして最後にはキャスリンが家を去る。追いかけたヘスターが歩き疲れた頃、子沢山な一家のバンに拾われる。車内ではしゃぐ子供たちの様子を見ながらヘスターは、自分の孤独さを噛みしめていた。

  人生の示唆を与えてくれる映画だ。でも後半からは、札束の行方に気を取られてしまう映画でした。

woman-woman well  監督:サマンサ・ラング|オーストラリア|1997年|110分|原題:The Well
  原作:エリザベス・ジョリー|脚本:ラウラ・ジョーンズ|撮影:マンディ・ウォーカー
  出演:パメラ・ラーブ (Hester)|ミランダ・オットー (Katherine)|ポール・チャブ (Harry Bird)

  原題はThe Well(=井戸)だが邦題は悪くない。「猫と庄造と二人のをんな」のモジリかな? 


ヘスターとキャスリンの関係に変化が始まった。
キャスリン横顔   ラスト 標識
キャプチャ男   道
                           追いかけたヘスターが歩き疲れた頃、子沢山な一家のバンに拾われる。

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 日ごろのアクセス、本当にありがとうございます。気づけば、ブログを始めて8年目に入りました。一夜一話に掲載したい映画、まだまだあります。気の向くまま、その時の気分でやってます。遊び半分じゃなく、「全部遊び」です。

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 3)「素」な気持ちで、「映画作品そのもの」に向き合うことが、私の遊びです。
 作品自体が語りかけてくること以外の額縁情報、つまり宣伝文句、その受け売り文章、受賞実績、監督発言、出演俳優がどうしたとか、そして映画評論本やらは、はなから無視して、自分の眼で観るようにしています。

 4)観て気に入らない映画、つまんない映画は、基本掲載しません。
 だから、観たけど掲載しない映画は多いです。巨匠の名作と言われる映画も、気に入らなければ掲載しません。また、名物にうまいモノなし、ということも実感します。

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