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映画「にごりえ」  監督:今井正  主演:淡島千景、丹阿弥谷津子、久我美子

夜道   
  本作は、明治の小説家・樋口一葉の短編小説「十三夜」「大つごもり」「にごりえ」のそれぞれを元にした同名の映画、3作で構成されている。
  さらりとしているが、奥が深い映画。
  出色は、なんといっても「にごりえ」の淡島千景だ。



にごりえ
街  お力(淡島千景)は、本郷丸山下の新開地にある店「菊之井」の酌婦。あいまい宿だ。
  界隈で有名な お力(りき)は、美貌で機転がきいて看板娘だ。だが本人は、この街に我が身が沈んでいくことを諦めつつも、もがいている。そんな彼女の前に結城(山村聡)という客が現れた。羽振りが良く紳士。結城は、この店に足しげく通い、お力も思いを寄せるようになった。しかし、所詮お客でしかない。
  ある夜、団体客のどんちゃん騒ぎの席を抜け出したお力。何もかもが嫌になる。夜店の金魚すくいの灯りの下に佇んでいると、若い二人が楽しそうにしている様子、それをじーっと見ているお力。ぼんやりしてる、そこに結城が通りかかる。「お力じゃないか」、二人肩を並べて店に戻る。
  以前から彼女にまとわりつく男がいる。源七という。貧しい長屋に妻子がいる。その昔、お力と源七はいい関係だったが、彼女の方から振った、が実は、まだお力の心のどこかに未練が残っている。そして・・・。


二人で2  監督:今井正|1953年|62分|原作:樋口一葉・・・小説の原文はこちら
  脚色:水木洋子、井手俊郎|撮影:中尾駿一郎
  出演:淡島千景 (お力)|山村聡 (結城朝之助)|宮口精二 (源七)|
    |杉村春子 (源七の妻・お初)|賀原夏子|南美江 (お八重)|北條真記子 (お高)|文野朋子|十朱久雄 (藤兵衛)|ほか

  ※「菊之井」がある本郷丸山下の新開地は、JR水道橋駅を降りて、東京ドームの裏手の方角にあった。





十三夜
不忍池  上野の新坂下にある齊藤家の娘・せきは、貧しいながら丁寧に育てられた。奉公先は駿河台にある原田家のお屋敷。当時の女性としては第一級の勤め先だ。住込みで武家の家事のお作法を教わり奉公が終われば、嫁入り前にハクがつく。
  主の息子・原田勇も若かった。せきを好きになり、結婚する。シンデレラ。原田勇は明治政府の高級国家公務員。働き、遊び、世間が見えてきた。外に女をつくり、せきに辛く当たる。耐えて耐えて耐えられぬ毎日が続いた。その日、夜がふけてから、人目を忍んで 人力車で実家に帰ってきた。驚きを隠して両親は娘を温かく向かい入れる。その夜は十三夜。  「さあ、月の光が指しこんでいる こっちにお座り」
  このまま帰らず離婚するのも手。ただお屋敷に残した子供はどうする? 子のことを思えば、辛いだろうが戻るのがいいんじゃないか。
御茶ノ水  その日のうちに、せきは人力車に乗った。ちょうど不忍池のほとりにさしかかった時、その車夫が幼なじみであることがわかる。昔、互いに好いた仲。身分の格差のためか、距離を置きながらも、互いに昔を懐かしみ、一時の安堵を得る。上野広小路が見えてきた。ふたりは、それぞれに我が来た道に戻り、別れていった。

  監督:今井正|1953年|29分|原作:樋口一葉・・・原文はこちら
  脚色:水木洋子、井手俊郎|撮影:中尾駿一郎
  出演:丹阿弥谷津子 (原田せき)|田村秋子 (母・齊藤もよ)|三津田健 (父・齊藤主計)|芥川比呂志 (車夫・高坂録之助)|ほか

  ※せきが、駿河台のお屋敷を抜けて、人力車で実家がある上野方面に向かう途中、御茶ノ水の橋を渡るシーン。写真の奥にニコライ堂が見える。橋の向こう岸、左に今のJR御茶ノ水駅がある。


大つごもり
みね  みね(久我美子)は、病に伏せる叔父と叔母から2円の都合がつかないか懇願された。奉公先で、みねは他の女中と一緒に年末の支度に追われていた。昼間、奉公先の主に借金を返しに来た人がいて、その20円を奥の部屋にある小引出しに入れるように、みねは仰せつかった。
  当主の先妻の息子と後妻のおかみさんは、いがみ合っていた。日ごろ寄り付かない その息子が帰ってきた。部屋でしばらく休んで、また出て行った。
  夜になって、おかみさんは「昼に帰ってきた借金を」と、みねに言う。ドキドキしながら、みねは紙で包まれた借金を、おかみさんに渡し部屋を出る。その途端、おかみさんの叫び声、震えるみね。
  みねは、その20円から2円を盗んでいた。そして、その後に当主のドラ息子は18円を盗んで、金を包んでいた紙に「ありがたく拝借します」と書き残していた。

女将と  監督:今井正|1953年|36分|原作:樋口一葉・・・原文はこちら

  脚色:水木洋子、井手俊郎|撮影:中尾駿一郎
  出演:久我美子 (みね)|中村伸郎 (安兵衛)|龍岡晋 (山村嘉兵衛)|長岡輝子 (山村あや)|荒木道子 (しん)|ほか








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やまなか

Author:やまなか
 日ごろのアクセス、本当にありがとうございます。気づけば、ブログを始めて8年目に入りました。一夜一話に掲載したい映画、まだまだあります。気の向くまま、その時の気分でやってます。遊び半分じゃなく、「全部遊び」です。

<一話一夜の方針かな>
 1)古今東西の映画を分け隔てなく並べて、気に入った映画を選びます。
     
 2)以前に観た映画でも、もう一度あらためて観てます。むかし感じた印象と大きく異なることも多いからです。

 3)「素」な気持ちで、「映画作品そのもの」に向き合うことが、私の遊びです。
 作品自体が語りかけてくること以外の額縁情報、つまり宣伝文句、その受け売り文章、受賞実績、監督発言、出演俳優がどうしたとか、そして映画評論本やらは、はなから無視して、自分の眼で観るようにしています。

 4)観て気に入らない映画、つまんない映画は、基本掲載しません。
 だから、観たけど掲載しない映画は多いです。巨匠の名作と言われる映画も、気に入らなければ掲載しません。また、名物にうまいモノなし、ということも実感します。

 ただし、まだ観てない映画は、たくさんあります。こんな一夜一話ですが、今後も、見に来てください。   
 美術や音楽、書籍や温泉の記事も増やしたいと思っています。よろしく。  

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