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シテール島への船出   監督:テオ・アンゲロプロス

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  同監督の「旅芸人の記録」を観てから、この映画を観ないと、よくわからないと思う。
  老人スピロは、たぶん元パルチザン (ゲリラ)で第二次世界大戦時、ギリシャの故郷の村で活動家だったんだろう。政治の勢力図が塗り変わり、パルチザン勢力は劣勢になり山奥へ逃げ、妻子を残してついにロシアへ亡命した。スピロは彼の地で家庭を持ったが、32年経って望郷の念でギリシャに帰国した。その間、妻のカテリーナはひたすら彼の帰りを待っていた。映画はここから始まる。

村の我が家  カテリーナ、息子や娘、そして親戚たちは、スピロの突然の帰国を「一応」歓迎する。しかしそんな歓迎は彼にはどうでもよくて、実は故郷の村にいち早く行きたかった。彼の一徹さは変わらないようだ。スピロとカテリーナは、32年間彼女が守ってきた家に帰ってきた。彼は安堵した。そして一気に老けた。
  村の様子は一変していた。村がスキー場になる計画だ。村民が全員一致して自分たちの土地をリゾート開発企業に売ろうとしていた。1人でも反対があれば計画は成り立たない。村長は周到に準備を進めてきた矢先に、スピロが現れた。彼は反対した。戦争当時もスピロは村の厄介者だった。ギリシャの国籍を無て久しいスピロは滞在許可で帰国している。騒ぎはスピロに分が悪い。

退去  ついに彼に国外退去が命ぜられ、出港するロシア船に乗るよう、急ぎタグボートに乗せられるがスピロはロシアに帰る気は毛頭ない。ロシア船、スピロ互いに乗船拒否。困った当局は、港の沖合いに係留した小さなフロートに彼をひとり乗せた。夜がふける。
ふたり  翌朝カテリーナはスピロを守るべく港に浮かぶフロートに向かった。今となってはカテリーナも精神的な居場所はなくなっていた。乗り移った彼女を抱きしめるスピロ。そして彼はフロートの係留ロープのもやいを解いた。


  舞台演劇的な手法を交えるシーンが冴えている。臭みは全くない。そして映画音楽(ストリングス)が流れるタイミングは絶妙だ。なんでもないシーンが一挙に深みをおびる。
  この作曲家エレニ・カラインドルーが好きだ。本作ではまだ開花の途上だが、以後監督と共同製作のように映画と音楽が寄り添っていく。 

踊る  原題:TAXIDI STA KITHIRA 英題:VOYAGE TO CYTHEREA
  監督:テオ・アンゲロプロス|ギリシャ・イタリア|1984年|140分|
  脚本:テオ・アンゲロプロス、タナシス・ヴァルティノス、トニーノ・グエッラ|
  撮影:ヨルゴス・アルヴァニティス|音楽:エレニ・カラインドルー
  出演:マノス・カトラキス(スピロ)|ドーラ・ヴァラナキ(カテリーナ)|ジュリオ・ブロージ(息子)|マリー・クロノプルー(娘)|ヨルゴス・ネゾス(スピロの同郷の友人)|ほか



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やまなか

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 日ごろのアクセス、本当にありがとうございます。気づけば、ブログを始めて8年目に入りました。一夜一話に掲載したい映画、まだまだあります。気の向くまま、その時の気分でやってます。遊び半分じゃなく、「全部遊び」です。

<一話一夜の方針かな>
 1)古今東西の映画を分け隔てなく並べて、気に入った映画を選びます。
     
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 3)「素」な気持ちで、「映画作品そのもの」に向き合うことが、私の遊びです。
 作品自体が語りかけてくること以外の額縁情報、つまり宣伝文句、その受け売り文章、受賞実績、監督発言、出演俳優がどうしたとか、そして映画評論本やらは、はなから無視して、自分の眼で観るようにしています。

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 だから、観たけど掲載しない映画は多いです。巨匠の名作と言われる映画も、気に入らなければ掲載しません。また、名物にうまいモノなし、ということも実感します。

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