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映画「水の中のナイフ」   監督:ロマン・ポランスキー

トップ風




  アンドジェイ36歳と妻クリスチナ。出会ったころはこの国が苦難の渦中、だからこそ熱く燃えた恋だったのかもしれない。アンドジェイは苦学生から成り上がった。今や自家用の高級車とヨットを持っている。そんな上昇気流に乗って妻クリスチナも寄り添ってきた。アンドジェイはワルシャワで記者らしい。

  成りたい富裕階級になって何故か人生に、避けがたい強い憂いを感じている。あるいは綺麗ごとに嫌気がさしたのか。もちろん夫婦の倦怠感もあるだろう。映画は説明しないが、アンドジェイに自暴自虐を感じる。
  週末をヨットで、というレジャーパターン。何回も来てヨットのノウハウは習熟したが、スポーツのウキウキ感はもう擦り切れてる。湖に行く道で19歳のヒッチハイカー男を乗せる。田舎道だが、時速130キロも出して大丈夫?と、この青年に言われる。

食事www
  湖に着いて、アンドジェイは結局この青年をヨットに乗せてしまう。湖上で一泊二日。ヨット初体験の珍客が混じることで楽しめそうだとアンドジェイは踏んだ。
  湖上の気まぐれな気象変化は、陽射しや陰り、好天や雨天、風向きと風力、凪や嵐を繰り出して、ヨットと3人の心理を、もてあそぶ。そして3人は、斜めに捻じれながら、思いのほかに鋭利なスリルと、鈍痛な後悔のはざまで、滲み輝く。

  今日は帰る日。アンドジェイに仕事が待っている。羽目を外し楽しんだ後始末、日常モードに帰る回路が働き始める。ヨットは陸に近づいた。
  青年が所持するナイフの事で他愛無い争いをした。弾みでナイフと青年が湖に落ちる。慌てて彼を探すがついに見つからない。事故だ。妻を船に残し、アンドジェイはなぜか一人陸へ泳いで行った。
船上の  その様子を浮きブイの陰から見ていた青年はクリスチナのいるヨットに戻り、逢瀬を楽しむ。休暇の仕上げだ。青年は途中で陸に上がって何処かへ去っていった。
  妻はヨットハーバーにもどる、ぼんやりしたアンドジェイが待っていた。荷を車に積み込み、夫婦はワルシャワを目指す。アンドジェイは事故の報告のために警察に出向くという。クリスチナは言う。彼は戻ってきて私を抱いたわ。我を苛むアンドジェイは妻の言っていることを、自分への慰めのための嘘と思い込んだ。こんな時は何を言っても聞かないことを知っている妻は黙った。もともと真面目な男だったが、今、アンドジェイが警察署に行こうとしている気持ちは、真面目だけからだけじゃない。今の人生を変えるかもしれない何かを、他力に期待していると言えば言い過ぎか。もちろん、誰も見ていなかった。黙っていれば済む話だが。

警察へ
  車はそこで止まった。
  右に行けば警察署がある。左はワルシャワへの道だ。
  当たり前の事に直面した時、事が単純なほどに、人は思いのほか逡巡する。

  ジャズサックス・ソロのだるい旋律が湖面を流れる映画。美しいモノクロ映像と相まってオシャレ。古さは感じられない。アンドジェイもその遠い昔にナイフを無くしただろう。その時もクリスチナは見守ったのかもしれない。




原題:Noz w Wodzie|英題:A Knife in the Water|
監督:ロマン・ポランスキー|ポーランド|1962年|94分|
脚本:イェジー・スコリモフスキー、ヤクブ・ゴールドベルク、ロマン・ポランスキー|
撮影:イェジー・リップマン|
出演:レオン・ニェムチック (アンドジェイAndrzej)|ヨランタ・ウメッカ (クリスチナChristina)|ズィグムント・マラノウィッチ (The young man)|

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 日ごろのアクセス、本当にありがとうございます。気づけば、ブログを始めてはや9年目に入りました。一夜一話に掲載したい映画、まだまだあります。気の向くまま、その時の気分でやってます。遊び半分じゃなく、「全部遊び」です。

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 3)「素」な気持ちで、「映画作品そのもの」に向き合うことが、私の遊びです。
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