Home > 邦画評だけ見る 直近50作 > 映画「水の女」   監督:杉森秀則   主演: UA、浅野忠信

映画「水の女」   監督:杉森秀則   主演: UA、浅野忠信

上



森  水。 降りしきる雨。谷あいを走るせせらぎ。沈黙する地下水。そんな自然の中の、水の世界が、涼(UA)のこころに住んでいる。

  彼女の家は昔から続く、銭湯。
  父親は毎日、浴槽を洗い、水を張りマキで湯を沸かす。涼は一人娘、結婚を控えていた。母はいない。
  その日はドシャブリの雨だった。
  父親は風呂の焚き口付近で脳梗塞で倒れ、婚約者は業務中に交通事故に会い、車は崖下に転落。ふたりとも同じ日に他界する。あまりのことに、呆然とする域を超えてしまった涼は、平然としている。銭湯を閉じて、宛もなく出かける。いや、呼び寄せられるようにして、その深い森の入り口に立っていた。


玄関  その間、涼の家に一人の男が勝手に住みついて飯を食っていた。
  帰宅した涼は、一瞬、父親かと錯覚したが、優作(浅野忠信)という見知らぬ男であった。涼は男を追い出した。

坂道  そののち、さほど時をおかずに、涼はその男・優作の後を軽トラで追いかける。
  涼は小さな街をウロウロ捜し、街外れの川の土手道に出る。いた・・・。静かに車を進める。山に入っていく優作。そっと追う涼。ついに大きな洞窟にいる優作と対面した。洞窟には幾体かの地蔵像があってそのひとつにろうそくをささげた。

再開  優作は火が好きで風呂を焚かせてくれと涼に懇願する。己が心が、スースー透かすかの涼は優作を受け入れる。翌日から銭湯は再開。それを待っていた多くの常連客は、何事も無かったかのように銭湯に通い始め、賑わいが戻った。

火の前  涼と優作、自ずとふたりの間に芽生えが始まる。湯船で確かめ合うふたり。涼は、ささやかな心の支えを感じるようになる。でも優作の素性を何も知らない。知りたくもない。知ることが怖いわけでもない。涼にとって、彼の素性は素のままで十分であった。

  しかし、ある時に涼は気付いた。
  優作の首にかかるペンダント、それは涼が婚約者にあげたものと同じだった。
  誰も知らない。知る由もない。実は事故時、婚約者が運転するワゴンに同乗する男がいた。ヒッチハイクだろう。崖に逆さまに落ちたワゴンから、その男は出て来た。そして彼の目に、車の下敷きになった婚約者の腕だけが・・・、その手に握られたペンダントが見えた。男はそれを自分の首にかけた。
  そして、これは涼自身が知ったこと。優作は放火犯として指名手配中だ。涼の銭湯にも手配のポスターが貼ってあった。

絵  風呂屋は、ペンキ絵職人と煙突掃除が欠かせない。専門の掃除屋が手際よく仕事をして帰った。それを見ていた優作は煙突に興味を持った。仕事が一段落したその深夜、優作は煙突の鉄ハシゴを昇り始めた。たぶん、テッペンまで行きたかっただろう。突如、カミナリが煙突の避雷針に落雷し、彼を直撃した。優作は火ダルマになって落下。涼は墜落していく炎の中に、おぼろげながら優作の顔が見えた気がした。
  その直後から、大粒の雨がパラパラ降り始め、そして一気にドシャブリとなった。
仰ぐ
  銭湯というテーマは外人受けしたかもしれない。
  しかし映像先行型で物語が練れてない。
  日本の水や「精」を言うなら、タイ映画「ブンミおじさんの森」のような自然・ファンタジーまで行かなくても、物語として、もう少し踏み込むべきかもしれない。中途半端さがぬぐえない。


銭湯監督・脚本:杉森秀則|2002年|115分|
撮影:町田博|主題歌: UA|
出演:UA (清水涼)|浅野忠信 (宮澤優作)|小川眞由美 (翠)|大久保鷹|江夏豊|ほか


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
タイ映画「ブンミおじさんの森」 ~ 一夜一話から
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

映画「ブンミおじさんの森」 監督:アピチャッポン・ウィーラセタクン 2010年

 いい映画だ。
 ブンミおじさんが住む一軒家は、日がとっぷり暮れると、闇の中に浮かぶ舟のようだ。深い森から夜気がひたひたと伝わってくる。虫の音しか聞こえてこない。
 都市に住む亡妻の妹ジェンを、久方ぶりに呼び寄せて裸電球の下、テラスで食事をしている。そこへ予期しないふたりの訪問者が静かに現れる。ひとりはブンミおじさんの、19年前に亡くした妻の霊。もひとりは、森の精霊と化した息子の霊だ。映画はここから始まる。  ・・・「ブンミおじさんの森」 

洋画の映画評だけ見る  ここから記事を読む 
  題名で探す   こちらから
  国名で探す   こちらから

邦画の映画評だけ見る  ここから記事を読む
  題名で探す   こちらから
  監督で探す   こちらから
観たい映画、気になる映画は、こちらから どうぞ
関連記事
スポンサーサイト

Comments: 0

Comment Form
Only inform the site author.

Trackback+Pingback: 0

TrackBack URL for this entry
http://odakyuensen.blog.fc2.com/tb.php/653-f6536d24
Listed below are links to weblogs that reference
映画「水の女」   監督:杉森秀則   主演: UA、浅野忠信 from 一夜一話

Home > 邦画評だけ見る 直近50作 > 映画「水の女」   監督:杉森秀則   主演: UA、浅野忠信

タグクラウド
プロフィール

やまなか

Author:やまなか
 日ごろのアクセス、本当にありがとうございます。気づけば、ブログを始めて8年目に入りました。一夜一話に掲載したい映画、まだまだあります。気の向くまま、その時の気分でやってます。遊び半分じゃなく、「全部遊び」です。

<一話一夜の方針かな>
 1)古今東西の映画を分け隔てなく並べて、気に入った映画を選びます。
     
 2)以前に観た映画でも、もう一度あらためて観てます。むかし感じた印象と大きく異なることも多いからです。

 3)「素」な気持ちで、「映画作品そのもの」に向き合うことが、私の遊びです。
 作品自体が語りかけてくること以外の額縁情報、つまり宣伝文句、その受け売り文章、受賞実績、監督発言、出演俳優がどうしたとか、そして映画評論本やらは、はなから無視して、自分の眼で観るようにしています。

 4)観て気に入らない映画、つまんない映画は、基本掲載しません。
 だから、観たけど掲載しない映画は多いです。巨匠の名作と言われる映画も、気に入らなければ掲載しません。また、名物にうまいモノなし、ということも実感します。

 ただし、まだ観てない映画は、たくさんあります。こんな一夜一話ですが、今後も、見に来てください。   
 美術や音楽、書籍や温泉の記事も増やしたいと思っています。よろしく。  

RSSリンクの表示
Tree-CATEGORY

Return to page top