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映画「ヘンリー・フール 」    監督:ハル・ハートリー

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  アメリカの下層の青年のサクセス・ストーリー。
  ただし、アメリカ人好きの、ごてごてのサクセス・ストーリーじゃないところがいいんです。

  寡黙な主人公、青年サイモンは母と妹の三人家族。ゴミ処理場に勤めるサイモンの収入だけで、家族は何とか生活している。母は引きこもり、妹は男遊びの自由人。サイモンは家族への眼差しを持ちながらも、ひとり黙々と過ごしている、いや日々が彼の周りを過ぎ去っていく。

上  街を渡り歩き、しばらく滞在し、風が吹く日に旅に立つ。そんあ流浪の魔女ならぬ、男の魔女が、ニューヨーク、クイーンズ地区のサイモンの街に来た。魔法のほうきは持っていないが、カバンがふたつ。サイモン家の地下室に住み着いた。その男の名前はヘンリー。カバンの中は彼が執筆した未完の大著が入っている。数冊に分かれた分厚いノートにびっしり書き込まれている。ヘンリーいわく、思想的、哲学的に驚愕的で、歴史を塗り替える書物らしい。あと少しで完成し、ヘンリーが親しくしている著名な編集長を通じて出版することになっている。(らしい)

階段  ある日、ヘンリーはサイモンに一冊のノートとチビた鉛筆を渡してやる。なんか書いてみな。
  数日後、サイモンが書き込んだノートをみてヘンリーは、驚いた。スペルは滅茶苦茶だが、読む者に、伝わってくる分かりやすいリズム感、力強い命のような包容力。今まで接したことのない異様ともいえる記述だ。サイモンは、まったくもって、そのつもりじゃなかったラクガキが、ヘンリーには驚異的な「詩」として理解した。街の雑貨屋の壁にサイモンの詩篇を張ってみると、店の娘が詩をみてうたい出す。女子高生は学内新聞に掲載したいと言い出した。

雑貨屋  日々が経つうちに、サイモンの記述の量は増していく。嫌がり渋るヘンリーに無理やり、彼が言う著名な編集長とやらを聞き出したサイモンは、ひとりNYの出版社のビルに乗り込んだ。受付に出た編集者女子を通じて、なんとか編集長に会えたが、その場で彼の著述のほんの一部を読んで、編集長に「駄作だ。」と言い捨てられた。何かフォローしてあげたい編集者女子を後にしてサイモンは逃げ帰った。あわせて知ったことはヘンリーはこのビルの清掃員であったことだ。

フェイ  地下室に住みついたヘンリーは、サイモンの妹に手を出した。さらにサイモンの母親にも・・・。ヘンリーの女好きは底が無い。かつて13歳の女の子を手にかけ刑に服していた。現在は仮釈放中であり、彼を見守る保護観察官が他人気づかれないように付きまとっている。そのうち、サイモンの妹フェイに子が宿った。これを機にヘンリー&フェイは結婚式を挙げサイモン家に住みついた。

  一方、サイモンの著述は急進的な一派から支持が得られはじめた。ヘンリーの気づきでWebサイトでサイモンの著述を公開し始めた。思わぬ反響が反響をよび、あの「駄作だ。」と吐き捨てた編集長からサイモンは呼び出されて、出版の打診を受けた。サイモンの回答は意外であった。契約金額の高じゃない。ヘンリーの著述を出版してくれたら・・・あなたの出版社から本を出してもいい。あきれる編集長は、その条件を一旦は飲んだ。帰宅してサイモンは留守中のヘンリーの大著を読み始めた。そしてサイモンは分かった。これはどうみても出版に値するものじゃない。そのことをサイモンはヘンリーに直接話した。ヘンリーは落ち込むと当時に、実は自分でも十分わかっていた事でもあったのだ。

作家  サイモンは家族たちと離れ、事務所を設け本格的に作家として詩人として執筆活動に突進していった。サイモンを全面的にサポートするのは、出版社のあの編集者女子であった。そしてついにサイモンは数年後に、ななんと「ノーベル文学賞」を受賞することになる。フェイいわく、「まるでスーパー・ロッカーみたいね!」

走る  そして時はすすみラストは、「飛んでもない」展開で、サイモンはヘンリーに恩返しをするのであった。 
 
  さり気ない脚本に飾らない演出、技がきく役者たち。ノーベル賞を除けば、地味で滋味な映画ですが、他の誰にこんないい映画できます?  古くならない、いい映画の代表選手です。



ゴミ処理場。寡黙なサイモンと、自転車で遊びに来たヘンリー。
処理場原題:Henry Fool

監督:ハル・ハートリー|アメリカ|1997年|137分|
撮影:マイケル・スピラー
出演:トーマス・ジェイ・ライアン (Henry Fool)|ジェームズ・アーバニアク (Simon Grim)|パーカー・ポージー (Fay)|マリア・ポーター (Mary)|ジェームズ・サイトウ (Mr. Deng)|ケヴィン・コーリガン (Warren)|リーアム・エイケン (Ned)|二階堂美穂 (Gnoc Deng)|ジーン・ラフィーニ (Officer Bunuel)|ニコラス・ホープ (Father Hawkes)|ジャン・レスリー・ハーディング (Vicky)|クリスティ・ロマーノ (Pearl(age 14))|チャック・モンゴメリー (Angus James)|

雑貨屋の娘役の二階堂美穂は監督夫人らしい。

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 日ごろのアクセス、本当にありがとうございます。気づけば、ブログを始めてはや9年目に入りました。一夜一話に掲載したい映画、まだまだあります。気の向くまま、その時の気分でやってます。遊び半分じゃなく、「全部遊び」です。

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 3)「素」な気持ちで、「映画作品そのもの」に向き合うことが、私の遊びです。
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 4)観て気に入らない映画、つまんない映画は、基本掲載しません。
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