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映画「ヒポクラテスたち」   監督:大森一樹

上
がん患者だが、本人に告知していないこの患者に、みんなの研修の協力を願う医師。
左はじが医学生・木村(伊藤蘭)


  京都の医大生たちの青春映画。
  鴨川沿いに京阪電車が三条まで、当りまえに地上を走っていた時代の映画だ。

医師たち  たくさんの登場人物、その人々分のたくさんのエピソードで構成されている。登場人物たちをないがしろにしない、登場人物を尊重した優しい映画ともいえるし、各エピソードに対して、それぞれ細かい配慮がしてある映画とも言える。手を抜かない真面目さに、初々しさを感じる。そこんところを称えたい。
卒業  そして、こんなたくさんを抱えても映画は乱れない。乱れない理由は映画の核に、医療行為って何だ! という強い模索があって、このテーマがバイク事故に遭遇する最初のシーンから最後までを貫いているからだ、と思う。さらには、重いテーマであっても、見え透いた事を言わず、また深刻ぶらず、あるがままを素直に映画に反映させているので、観客は疲れない。要所要所に仕掛けられたコメディに笑いながら、自然に医療の事を考えるようになる。大森一樹監督に、まんまとハメられる。(ハメられた手塚治虫・小児科教授 右上写真)

救急現場  荻野(古尾谷雅人)を主役に、木村(伊藤蘭)など6名の洛北医科大学・医学生がメインの登場人物。この学生らの臨床実習にまつわるアレコレが、基本的なあらすじになる。それに加えて、荻野が住む大学の男子寮の学生たち、荻野の彼女、ヒ素ミルク事件など医療系政治活動、医師たち・医療機関の実情などなど、たくさんのエピソードが満載だ。その中からいくつかをピックアップした。

  ●現役で医学部に合格した優等生の話。
蘭  木村(伊藤蘭)は頭が良かった。理系でいい成績なので本人もまわりも何の反対もなくごく自然に医学部を受験し現役合格し、19歳で医大生になった。1浪~数浪の年上の同期の中で大学の成績もいい。なんの不自由もない木村である。しかし大学の付属病院で研修が進むうちに、がん患者に接し、手術室で治療のかいなく命が消えていく救急医療の現場に接して、「私って医師になるの? なぜ医師になるの?」 という今さらながらの大きな疑問に対峙する。そして「自分って何なの!」 という強い懐疑が真面目な彼女を襲う。
  こんな時、人は変な行動にでる。木村は病院の一室で、人の眼を盗んでは、自分の血を抜いていた。この血は私の体に合わない・・・と思いながら。研修も終盤になり、外科、内科など何科に進むかを決める日が近づいてきた。彼女はどの科にも行きません「医者をやめた!」と宣言し、自分の決心を実行する。

少年2  荻野(古尾谷雅人)の大学寮に新入りで入寮した野口英雄(右写真)も現役合格者だ。笑顔がかわいい。背が低い事もあって寮生から少年と呼ばれる。やはり初心で真面目。寮生から吹き込まれて、京阪三条駅前で森永ヒ素ミルク事件の集会ビラをまいている。そのうち旅に出るといって寮を退寮していった。後日わかることは、政治活動で東京で逮捕されたらしいということ。

  ●荻野(古尾谷雅人)の彼女、中原順子の話。
妊娠かどうか  中原順子は洛北医科大学の図書館で司書をしている。荻野は図書館で彼女と知り合った。寮生の荻野はよく彼女のアパートに行く。ある日、ベッドの上で荻野は「妊娠したかも・・・」と彼女に言われる。
あのう  ちょうどその頃、大学では産婦人科の臨床実習中だった。ある女の子の患者(右写真)が洛北医科大学産婦人科で医師に言った。「堕胎手術」を願う。その場にいた医師、看護師たち、荻野はじめ6名の医学生はビックリ!。特に驚いたのは荻野だ。

  しかし、後日、中原順子の妊娠がはっきりして荻野は彼女を連れて京都市内の森田産婦人科にいき、堕胎手術を受けることになる。
森田産婦人科  あとに新聞報道で知るのだが、彼女の手術をした医師はニセ医師だった。道理で痛みが消えない彼女。今度は荻野の友人の父親のクリニックに入院。舞鶴から彼女の父親が出て来た。荻野も同郷で顔見知りである。それ以来、中原順子は荻野の前に現れることなく舞鶴で生きることになる。ほかに言うことないの

  荻野もこの件で精神的に支障をきたすことになり、自分の大学病院に患者として入院することになる。医大生の同期や寮生たちも、それぞれに自分の道を歩み始める。



監督・脚本:大森一樹|1980年|126分|
撮影:堀田泰寛|
やばいもの出演: 古尾谷雅人 荻野愛作|伊藤蘭 木村みどり|光田昌弘 河本一郎|狩場勉 大島修|柄本明 加藤健二|西塚肇 王龍明|真喜志きさ子 中原順子|小倉一郎 西村英二|阿藤海 神崎靖邦|内藤剛志 南田慎太郎|金子吉延 渡辺大介|斉藤洋介 本田俊平|加納省吾 高木敬三|宮崎雄吾 野口英雄|池内琢磨 中原剛|牟田悌三 中原虎一|草薙幸二郎 内科教授|絵沢萠子 加茂の家の女将|森本レオ 卒業写真の写真屋|村上正次 吉川|角替和枝 妻・直子|高山千草 産婦人科婦長|岩浅豊明 産婦人科教授|松田政男 卒業写真の教授|田山力哉 卒業写真の教授|草壁久四郎 卒業写真の教授|鈴木清順 怪盗|手塚治虫 小児科教授|軒上泊 村中助手|原田芳雄 徳松助教授|渡辺文雄 河本清三郎|北山修 CTスキャン説明助教授|


スキャン  自治医大  ヒポ 三条0
一番奥が北山修                原田芳雄                    京阪電車が地上を走っていた頃の「京阪三条駅」の隅が
                                                      左上に少し見える。写真奥は三条大橋。


怪盗  院内
怪盗 鈴木清順



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やまなか

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 日ごろのアクセス、本当にありがとうございます。気づけば、ブログを始めて8年目に入りました。一夜一話に掲載したい映画、まだまだあります。気の向くまま、その時の気分でやってます。遊び半分じゃなく、「全部遊び」です。

<一話一夜の方針かな>
 1)古今東西の映画を分け隔てなく並べて、気に入った映画を選びます。
     
 2)以前に観た映画でも、もう一度あらためて観てます。むかし感じた印象と大きく異なることも多いからです。

 3)「素」な気持ちで、「映画作品そのもの」に向き合うことが、私の遊びです。
 作品自体が語りかけてくること以外の額縁情報、つまり宣伝文句、その受け売り文章、受賞実績、監督発言、出演俳優がどうしたとか、そして映画評論本やらは、はなから無視して、自分の眼で観るようにしています。

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 だから、観たけど掲載しない映画は多いです。巨匠の名作と言われる映画も、気に入らなければ掲載しません。また、名物にうまいモノなし、ということも実感します。

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