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映画「この森で、天使はバスを降りた 」  監督:リー・デイヴィッド・ズロートフ

上

  大自然の景観が心を癒やすことを知ったパーシーは、自分が再生する場所に、カナダにほど近い森にある、小さな町を選んだ。そして今夜、パーシーはこのギリアドという町の停留所に降り立った。

グリル  町にはスピットファイア・グリルという名の店がある。なにしろチッポケな町だからめしを食うにも、コーヒー1杯飲むにも、このグリルしか他に店はない。オーナーはミセス・ハナ。ひとりで店をきりもりしている。
  ハナには自慢のひとり息子がいた。人一倍体格がよく運動も得意で町の人気者だった。ベトナム戦争が始まると、息子は志願兵として戦場へ出ていった。しかし、その後、この町で彼を見たものはいない。
  だが、彼は人知れず深い森の中でひとり自然と共の生活を送っていた。それを知っているのは母親のハナだけだった。いろいろな缶詰を大きな袋に入れ、森の入り口に置いておく。母子のコミュニケーションはこれだけで会話すらない、そんな関係が10年、また10年と過ぎて今に至っていた。
  実は、彼はベトナム戦争で精神的な後遺症を患っていた。カナダに近い、この大きな森は彼の痛んだ心を、少しずつ少しずつ癒やしているのだ。

ハナと  さて、ひとつの心のともし火が、もうひとつの心を呼び寄せるように、主人公のパーシーは、このハナの店で働けるようになった。とはいえ、よそ者には誰だって懐疑的な態度をとるものだ。ハナをはじめ店に来る人々は、パーシーが何者で、どうしてこの町にいるのか興味津々である。さらにはパーシーに対して、あからさまな態度をとり続ける男もいた。
  分け隔てなく笑顔で接するパーシーは徐々にハナと、そしてシェルビーという女性には打ち解けた話が出来るようになってきている。朝夕の、森からの風になじめるころに、パーシーは「森の奥に住む心」にも通じるようになっていた。

カウンター  パーシーの発案でハナ、シェルビーで始めたあるプランと、町の人々のパーシーに対する根強いよそ者排斥、そして森に隠れ住むハナの息子の事実、この三つが衝突しあい映画はラストに向かう。

  そもそも、パーシーはなぜこの町に来たのか・・・。
  刑務所を出所し、この町に来たのだ。罪のワケは誰にも言わないが、彼女も大きな苦悩を背負っていた。
  結果的には、閉塞感で満ちていた町がパーシーによって解放され、「森の奥に住む心」をも自由にした。
  パーシーという心は輪廻転生とでもいうべき再生で、この町にまた舞い戻ってくる・・・。こんなとこに不思議さを感じられれば、あなたにとって、いい映画。
  
丘原題:The Spitfire Grill

監督・脚本:リー・デイヴィッド・ズロートフ|アメリカ|1996年|117分|
撮影:ロバート・ドラパー|
出演:パーシー・タルボット (アリソン・エリオット)|スピットファイア・グリルのオーナー・ハナ・ファーガソン (エレン・バースティン)|シェルビー・ゴダード (マーシャ・ゲイ・ハーデン)|ネイハム・ゴダード (ウィル・パットン)|ジョー・スパーリング (キーラン・マローニー)|ゲイリー・ウォルシュ保安官 (ゲイラード・サーテイン)|Johnny B(John M. Jackson)|
丘にて


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 日ごろのアクセス、本当にありがとうございます。気づけば、ブログを始めて8年目に入りました。一夜一話に掲載したい映画、まだまだあります。気の向くまま、その時の気分でやってます。遊び半分じゃなく、「全部遊び」です。

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