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映画「十九歳の地図 」     監督:柳町光男    沖山秀子、白川和子、柳家小三治

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配達








  昭和54年、主人公・吉岡まさる19歳は、和歌山の新宮から東京に出てきて、代々木ゼミナールに通う浪人生。
  彼は生活のため、東京は北区滝野川・王子あたりの新聞販売店に住みこむ。代ゼミに通うシーンがあるから、それなりに勉強する意志はあるようだ。研究社の辞書を持っている。
30男 けんかのあと  住み込みは相部屋六畳だ。吉岡は30歳過ぎの紺野(蟹江敬三)という男と同じ部屋になる。
  映画は、鬱積した吉岡の青春の日々を追いながら、一方で紺野と紺野の愛人・マリア(沖山秀子)の、大人の愛の物語を語る。このふたりが巻き起こす渦に、うら若き吉岡はのみ込まれ、我を失う。

まち  浪人生は、社会的基盤から外れた風に感じる時期。
  そんな不安から来る吉岡のウップン晴らしは、人気の無い早朝、配達先の街に向けられる。彼が新聞配達する時刻には、すでに牛乳配達が済んでいるらしく、この牛乳を無断で盗み飲む。やったことあります?
  みんながまだ寝ている早朝の街は、彼にとって「何でも自由にできる世界」に見える。だから、いやな配達先には、イタズラをして回る。そして・・・。
  そして新聞料金の集金。だいたい、現金が手元にない時に限って来るような気がする。印象は良くない。だから、吉岡は苦労する。まして滝野川・王子あたりは、支払を渋る人が多すぎる街。
  こんな1対Nの人間関係につかれた吉岡は、配達先のマイナス評価を始める。憎き配達先は×印が付く。困っている人には×が付かない。これが19歳の地図だ。マメと言えばマメ。世論調査か民生委員か。配達先の電話番号も調べ上げている。しかし、気は確かだ。
電話ボックス  一方、吉岡は電話ボックスから配達先に電話を入れ、言いたい放題を一方的に怒鳴る。この快感と事後の空しさ、自慰だ。やめられなくなり、次から次へ電話をかけまくる。そして無計画な、ガスタンク爆破予告電話に進む。
  爆弾を仕掛けた場所は、吉岡が配達する地区にあるガスタンク。
  この地区全部を一挙に破壊する!!
  しかし、その翌朝、吉岡はいつものように販売所で折り込みチラシを新聞に差し入れ、爆破予告地区を配達のために走っている。

  正直、何よりもマリア役の沖山秀子の痛々しい演技が印象に残る。沖山秀子がビル8階からの飛び降り自殺未遂直後の出演であった。(2011年逝去) そして蟹江敬三、白川和子、清川虹子(2002年逝去)、柳家小三治、友部正人らの、個性ある人々の色合いが、いささか単調な映画に賑わいを与えている。
  要するに、幼さと甘えが残るモラトリアムの中での葛藤。で、たぶん、その後、彼は大学生になったんだろう。
  肩に力を入れて感情移入して観るも良し、だが、当時の同時代的空気は拡散してしまった。でも、いま観てみても悪くない。


 昭和54年の空気を味わえる映画 (一夜一話よりピックアップ)
     当時の大学生の生活を描いた映画
     「もう頬づえはつかない 」  監督:東陽一 出演:桃井かおり  こちらからどうぞ

吉岡222英語タイトル:A Nineteen Year-Old's Plan

監督・脚本:柳町光男|1979年|109分|
原作:中上健次|撮影:榊原勝己|
出演:本間優二 (吉岡まさる)|蟹江敬三 (紺野)|沖山秀子 (マリア)|
山谷初男 (新聞販売店店主)|原知佐子 (妻・和子)|西塚肇 (斎藤)|うすみ竜 (小沼)|鈴木弘一 (原)|白川和子 (念仏唱える安田久代)|豊川潤 (森)|友部正人 (他店の配達員・配達スピード競争をする)|津山登志子 (里子)|中島葵 (隣りの文化アパートの女・久美子)|川島めぐ (美智子)|竹田かほり (まゆみ)|中丸忠雄 (紺野が逮捕された警察署取り調べ官)|清川虹子 (「かおる」のママ・野良猫たちに餌与えるおばさん)|柳家小三治 (新聞配達先のタクシー運転手・朝に共同トイレで会う)|楠侑子 (主人公を玄関先でケーキ接待する西村智子)|


111111.png
紺野の愛人・マリア(沖山秀子)は言う。            早朝、マリアの部屋を出ていく客。右は配達中の吉岡。奥は階段を上がるマリア。
ビルの8階から飛び降りても死ねなかった。
実のところ映画より、彼女の痛々しい演技が強く印象に残る。



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吉岡が描いた19才の地図。                   街とガスタンク。



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映画ピックアップ ~ 一夜一話より

紹介0060第6弾のテーマは 「自分を探す旅 (邦画編 その1)」

  誰しも、自分を探す。
  恥ずかしながら、自分を見失う事もある。
  自分の中を見てみる。
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 日ごろのアクセス、本当にありがとうございます。気づけば、ブログを始めて8年目に入りました。一夜一話に掲載したい映画、まだまだあります。気の向くまま、その時の気分でやってます。遊び半分じゃなく、「全部遊び」です。

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 1)古今東西の映画を分け隔てなく並べて、気に入った映画を選びます。
     
 2)以前に観た映画でも、もう一度あらためて観てます。むかし感じた印象と大きく異なることも多いからです。

 3)「素」な気持ちで、「映画作品そのもの」に向き合うことが、私の遊びです。
 作品自体が語りかけてくること以外の額縁情報、つまり宣伝文句、その受け売り文章、受賞実績、監督発言、出演俳優がどうしたとか、そして映画評論本やらは、はなから無視して、自分の眼で観るようにしています。

 4)観て気に入らない映画、つまんない映画は、基本掲載しません。
 だから、観たけど掲載しない映画は多いです。巨匠の名作と言われる映画も、気に入らなければ掲載しません。また、名物にうまいモノなし、ということも実感します。

 ただし、まだ観てない映画は、たくさんあります。こんな一夜一話ですが、今後も、見に来てください。   
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