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映画「ル・アーヴルの靴みがき」  監督:アキ・カウリスマキ

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  ル・アーヴルはフランス第2の貿易港。フランス北西部、セーヌの河口にあって大西洋航路のターミナルで工業都市。  だが、映画のル・アーヴルは、素朴な小さな港町に見える。アキ・カウリスマキ風のおとぎが始まる。

夫婦  主人公のマルセル・マルクス(アンドレ・ウィルム)と、その妻アルレッティ(カティ・オウティネン)に子はいない。旦那は街頭の靴磨き。駅の構内や港で、また繁華街にある高級ブランドな店舗の前でも何の遠慮もなく、店を開く。靴磨きの道具は数えるほどもない身軽な商売だ。その道具を肩にかけ今日もル・アーヴルの街を行く。
  夫婦の生活は質素だ。見方によっちゃ、ギリギリの生活水準。だが、この夫婦は不満に思ってない。暗くない。うらぶれてなんかいない。いや幸せそうだ。そんな人々が集まり住む小さな界隈は、みな互いに相手を思い助け合う。

  さて、港のコンテナから赤ん坊の泣き声がした。港湾警備員が発見し警察やマスコミが来る。アフリカからの密入国の企ては後を絶たない。少年がひとり、発見現場から逃げた。警察は、さっそく行方を追う。
  話は回りまわって、マルセル・マルクスが、この少年を自宅にかくまう事になり、町内の人々も協力する。

少年  彼は英国に行きたい。彼の母親がロンドンにいるらしい。そのためにマルセル・マルクスは少年を小さな漁船に乗せて、密かに出国する手配をした。ただし前金として多額に費用がかかる。余裕は無い町内の面々、手にあまる事ではあったが、わずかばかりのお金を出し合った。大金が要る。そしてこんな時こそ人脈だ。活動を止めている名の知れたロック歌手がいる。で、支援コンサートでお金を工面しようとマルセル・マルクスは人を訪ねる。

ベッド  だが、話は良い事づくめではいかない。マルセル・マルクスの妻アルレッティが緊急入院してしまう。病におかされていたとは当の本人も気が付かなかった。診断結果はよくない、妻はそのことを夫に言わない。ただ、一週間後に、あの黄色いワンピースを持ってきて。

警視  警察は少年の行方を依然としてつかめない。しかしほどなくモネ警視(ジャン=ピエール・ダルッサン)は、刑事コロンボ張りにマルセル・マルクスを追い詰め、一騎打ちとなるが・・・。





  少年をめぐるこの騒動は、少年との出会いをきっかけに、めいめいが新たな自分を発見する、そんな人々によって解決されていく。さらには、妻アルレッティの奇蹟のように、ロック歌手とその彼女のよりが戻ったように、少年は人々に幸せをもたらしたようだ。
 
  うーん、アキ・カウリスマキ監督、角が丸くなり過ぎた。  

    
マルセル・マルクス行きつけの小さなバー。この女将が実に良い!
バー
オリジナル・タイトル:LE HAVRE

監督・脚本:アキ・カウリスマキ|フィンランド、フランス、ドイツ|2011年|93分|撮影:ティモ・サルミネン|
出演:アンドレ・ウィルムス (マルセル・マルクス)|カティ・オウティネン (アルレッティ)|ジャン=ピエール・ダルッサン (モネ警視)|ブロンダン・ミゲル (少年イドリッサ)|エリナ・サロ (クレール)|イヴリヌ・ディディ (イヴェット)|ゴック・ユン・グエン (チャング)|フランソワ・モニエ (ジャン=ピエール)|ロベルト・ピアッツァ (リトル・ボブ)|ピエール・エテ (ベッカー医師)|ジャン=ピエール・レオ (密告者)|
ライブ



地図だ00





  少年とその家族は、アフリカのガボンから来たという。
  ガボン共和国は1960年にフランスから独立した。これをさかのぼる事75年前の1885年にフランスはこの地域を占領し、植民地として1910年から1959年にかけてフランス領・赤道アフリカの一部になっていた。
  さて、少年の家族ら、コンテナに潜んでいた人々は、強制送還されるまで、フランス北部の都市、ダンケルク郊外の海岸にある施設に収容される。
  マルセル・マルクスは、ここを訪れ少年の祖父に会って事実を確かめ、ロンドンにいる母のもとへ少年を出国させる事を約束した。




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◆ アキ・カウリスマキ監督の映画 ~ 一夜一話より
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紹介「パラダイスの夕暮れ」

  見た目、大人だが、まるで中学生のような真っ直ぐな恋。
  その落差に、滑稽さと安堵を生み出すアキ・カウリスマキ監督お得意の手法。
  単細胞、たどたどしさで映画は本気で進む。ので、ふと気が付けば、観客は・・・。
  ◆ 「パラダイスの夕暮れ」へは、こちらから


紹介2「カラマリ・ユニオン」

  コメディだ、と言われても笑える映画じゃない。
  学生が撮ったアマチュア映画のように、気まぐれで生意気で自己中だ。
  だからツマラナイと言うもヨシだが、ちょっと待って。
  とにかく絵が、かっこいい。
  フィンランド風味ある街をベースに、ムサイ男たちがアメリカン味に浸っている。このズレがいい。  ◆ 「カラマリ・ユニオン」へは、こちらから


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 日ごろのアクセス、本当にありがとうございます。気づけば、ブログを始めて8年目に入りました。一夜一話に掲載したい映画、まだまだあります。気の向くまま、その時の気分でやってます。遊び半分じゃなく、「全部遊び」です。

<一話一夜の方針かな>
 1)古今東西の映画を分け隔てなく並べて、気に入った映画を選びます。
     
 2)以前に観た映画でも、もう一度あらためて観てます。むかし感じた印象と大きく異なることも多いからです。

 3)「素」な気持ちで、「映画作品そのもの」に向き合うことが、私の遊びです。
 作品自体が語りかけてくること以外の額縁情報、つまり宣伝文句、その受け売り文章、受賞実績、監督発言、出演俳優がどうしたとか、そして映画評論本やらは、はなから無視して、自分の眼で観るようにしています。

 4)観て気に入らない映画、つまんない映画は、基本掲載しません。
 だから、観たけど掲載しない映画は多いです。巨匠の名作と言われる映画も、気に入らなければ掲載しません。また、名物にうまいモノなし、ということも実感します。

 ただし、まだ観てない映画は、たくさんあります。こんな一夜一話ですが、今後も、見に来てください。   
 美術や音楽、書籍や温泉の記事も増やしたいと思っています。よろしく。  

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