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映画「Bubble/バブル」    監督:スティーヴン・ソダーバーグ

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人形工場にて : マーサの左手の横に、人形の眼球が並んでいる。
これを眼孔にグーッと押し込むと眼が入って、人形が笑いかける。
彼女は毎日この作業をしている


路00  かつて、どこの田舎もその狭い世間の中で、噂話に聞き耳たて、クラクラするくらいの嫉妬に振り回され、でも限られた選択肢の中で男女が愛し合い、子供ができ、親を養い、ケンカをし・・・つまりは、そのくらいの「生きるやる気」を皆が当りまえに持ち合わせていた。
  その土地で住人の誰かが、何をしでかそうが、警察や役人や教会なんかに言われなくたって、自分たちで秩序をもってセーフティーネットを運営して来た。これがこの地に住む安心安全の担保だった。

マーサは独身。変化のない日々だが満足だ。
マーサ  だが、そんなかつての「生きるやる気」なんてことは、誰もが失くして久しい。この土地で、頭のいいヤツ・気の利いたヤツは、もうとっくにこの地にいない。離れた彼らは、ここを二度と振り返りもしないだろう。そう、この地は、とっくに捨てられたのだ。
  だが残る者はいる。残った者たちは、みな無気力をきめこんでいる。衣食職住のために最小限の労力で生きてたい。親が子に子が親にする愛情や身の回りの世話も省力でいきたい。互いに交わす口数もわずかにしておきたい。夢も争いも、そんな事は、みなの共有水面を不用意に波立たせるから、互いに言い出さない。
  こうして波風が立ちようもない村になっている、このことが人々にとって、ささやかな幸せなんだ。家族も、職場仲間も、友人も、時に愛し合うふたりも、一定以上深くは関わらない、そんな生き方。


マーサ  マーサの家は2人住まい。年老いた父親の面倒をみながら、フルタイムで人形工場で人形の顔に着色したりしている。ベテランだ。夜は人形の服をつくる内職をしている。
  父親に用意する朝食は、毎日、シリアル食品とドリンク。父親の選択肢は、オレンジジュースかコーヒーか。二人だけで食べる夕食は、ハンバーグとパンと何かが乗っているワンプレート(Mac?)、ソファーでTV見ながらフォークでつついて食っている。食卓が無い。料理をしない。

カイルも何不足なく日々を黙々と過ごしている。
カイル  カイルもマーサが勤める工場で勤務。人形の頭、胴、手足といったゴム部分を成型する機械のオペレーションをしている。この工場で働くのは、マーサ、カイル含め7人くらいだ。建屋は大きく、大半を占める在庫スペースと製造エリア。つまりあまりにもガラーンとしている。
  カイルは母親と二人暮らし。母親はいつもロングソファーでTV。やはりここも食卓が無い。料理をしない。カイルは帰宅すると、母と2口くらいの会話の後に、自分の部屋にこもる。精神障害をもっていて学校など群衆の中にいられない。よって高校中退。勤務の工場は彼的には最高の職場環境なのだ。

カイルの家  マーサは毎日、車で工場に行くが、必ずカイルの家によってカイルを乗せていく。マーサ曰く、カイルとは親友だ。車内で、工場のランチスペースで、口数の少ないカイルが毎日、マーサに何かたわいない話をしている。ふたりはそんな関係だ。
  若くていい男カイルを眺めている時、マーサは気が休まるんです。

ローズには2歳の娘がいる。結婚はしなかった。
何も無い何も起こらない、貧乏なこの土地を離れたい。

ローズ初日  そこへローズという若い女性が職場に雇われてきた。
  朝の朝礼でローズの入職が紹介がされる間、カイルとローズは見つめ合う。その両方を交互に見ているマーサ。3分で三角の関係が出来上がる。

  村にさざ波が立ち始めた・・・。この話は思わぬ展開となります。


  スクリーンの向こうに描写されるアメリカのこの田舎町には、独特の微風が吹いている。終始一貫、その濃度は濃い。この空気感が映画の主役です。スティーヴン・ソダーバーグ監督の魔法です!
  なかなか骨太な映画ですが、決して難解な作品じゃない。暗くもない、重くもない、カラッとした映画。お薦めです!!

下1111オリジナル・タイトル:Bubble

監督・撮影:スティーヴン・ソダーバーグ|アメリカ|2005年|74分|
脚本:コールマン・ハフ|
出演:デビー・ドーブライナー (マーサ)|ダスティン・アシュリー (カイル)|ミスティ・ウィルキンス (ローズ)|

マーサした

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 日ごろのアクセス、本当にありがとうございます。気づけば、ブログを始めて8年目に入りました。一夜一話に掲載したい映画、まだまだあります。気の向くまま、その時の気分でやってます。遊び半分じゃなく、「全部遊び」です。

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