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映画「億万長者」   監督:市川崑  久我美子、山田五十鈴

議事堂シーン
東京は国会議事堂・周辺の風景。(右端が国会議事堂) 
あまりにも何も無い。ゴジラ襲来のせいか・・・。


  極上の喜劇映画です。
  アナーキーでトンガってますが、しっかり娯楽映画です。じっくり観てください。

贋の食事  国会議事堂から左へとずーっとパンし、カメラは上の写真の左端で止まった。
  その端の写真の奥に、白く見えるは米軍のカマボコ兵舎群のようだ。その兵舎手前、写真の左下隅に黒くみえる一軒の家が映画の舞台です。

  二階建てのこの家は、明らかに傾いていて今にも崩れそうである。事もあろうに、この家に税務署がやって来た。税金を滞納している。徴税係の館香六(木村功)も、そりゃそうだろう・・・と思うが職務だ。言いたくない事を言わざるをえない。

贋夫婦  病で働けない主人・贋十二(信欣三)と、その妻・はん(高橋豊子)に子供が18人いる。毎日、食うものにことかき、食える時も、つけ汁なしの茹でたウドンだけ。さあっメシだよ! みなが争って家に走り帰り食うが、ウドン一玉分も口に入らない。家の稼ぎは子達の新聞配達、牛乳配達だ。
久我  そして、二階をひとに貸している。鏡すて(久我美子)という独身女性だ。家賃は払っていない。原子爆弾をひとり独学で開発している、よって二階は研究室兼寝室だ。基礎研究は済んでいて、爆弾製造段階にある。昼間は銀座界隈の路上で、平和のためには原水爆が必要だと辻説法をして寄付を集めている。彼女の両親は広島の原爆で亡くなった。もちろん、大家は一家して彼女を支援している。


主人公 


 
税務署  この独身男が主人公の徴税係・館香六(木村功)。たいへんな無口、自己主張なし。
  職務に対するやる気は、とうの昔にどこかに置き忘れてきている。鶴亀葬儀社の二階を間借りしている。たまに、大家の棺桶大工から声がかかる。「館さん、ちょいと悪いんだけど、また入ってくんないかい?」と言われ棺桶の寸法を確かめるため彼は入る。一階の店先は、棺桶を作る作業場であった。



女将  赤坂じゃ、知らぬ客はいない有名な芸者・花熊(山田五十鈴)とは、この女だ。 「一体全体、赤坂を何だと思ってんだい。あっちもこっちも、お客はヒソヒソと怪しい仕事話ばかり。色気も何もありゃしない。これじゃまるでオフィスみたいだよ。」
赤坂  そう嘆く花熊だが、彼女には13人の子がいて、女手ひとつで養っている。「とっかえひっかえ、次々と旦那を持つのが、もう嫌になったよ。」と、大物代議士の団海老蔵(伊藤雄之助)に食って掛かっている。  団海老蔵、曰く「その13人目が俺の子だ。だが俺も21人の子持ちだ。また、ヨリを戻そうよ。」  花熊 「何言ってんのよ、今さら。あんたが21人、私が13人。どうすんのさ、シメテ34人、まるで学校だよ。」 



脱税  赤坂で毎夜、繰り返されるヒソヒソ話は、大概、脱税の話であった。
  徴税係・館香六の上司である、税務署長・伝三平太(加藤嘉)は、赤坂の常連客だ。企業役員から接待をしばしば受けている。税務署長の家は23人もの子持ちだ。だから賄賂ばんばん受け取り、だからか子だくさん。
  ある事で花熊と徴税係・館香六が知り合う。花熊から言われる。「こんなんじゃ日本は潰れるよ、脱税の内幕を暴いてやれ」 花熊のココロザシに感銘した館香六は、シャカリキになって脱税の実態を調べあげ、一冊のファイルにまとめた。 
  がしかし、花熊の本音は、この「脱税者ファイル」をもとに大企業の役員をゆすろうと考えていた。これを知った館香六は心乱れ意気消沈して深夜を放浪し、ファイルをどこかに置き忘れてしまう。
  これを拾ったのが検事総長。事は、大疑獄事件に発展し、大物代議士や税務署長や館香六も国会の行政監察委員会に喚問されるのであった。水爆マグロ

  さて冒頭、話に出た、崩壊寸前の家に住む、18人の子たちとその親たちは・・・。
  千葉の漁港に水揚げされたマグロが、水爆被ばくしたマグロであった事がわかり、近所の人が土に埋めた。これを掘り出して、ぶつ切りの刺身として、長男(岡田英次)以外、全員が美味しそうに食べてしまった。最後の御馳走を両親が用意したのだ。マグロの頭をにらみ続ける長男。

韋駄天  二階の原爆開発・娘は、原爆を完成させた。これを知った館と、生き残った長男は、韋駄天のごとく脱兎のごとく、超・猛スピードで静岡方面に走り逃げるのであった。逃げる





  長セリフがあちこちのシーンに出てくる。舞台じゃ珍しくないが映画じゃ珍しい。このなが~いセリフをもらった俳優が喜々として演技しているのが、観ているこちらに伝わって来て楽しくなる。山田五十鈴、久我美子、伊藤雄之助、左幸子、多々良純、北林谷栄らである。特に、久我や北林の長セリフ、お見逃しなく!


赤坂の「花熊」ってアタシのことよ。・・・山田五十鈴
下101監督:市川崑|1954年|83分|
脚本:市川崑、安部公房、横山泰三、長谷部慶次、和田夏十|撮影:伊藤武夫|
出演:木村功 (舘香六・税務署徴税係)|山田五十鈴 (花熊・赤坂の売れっ子ベテラン芸者)|久我美子 (鏡すて・孤高の原爆開発娘)|伊藤雄之助 (団海老蔵・大物代議士 花熊の元旦那)|信欣三 (贋十二・18人の子の父)|高橋豊子 (はん・その妻)|岡田英次 (門太・18人の長男)|加藤嘉 (伝三平太・税務署長 館の上司)|左幸子 (麻子・税務署所長の娘 館の同僚)|多々良純 (東太賀吉・洋食器の町工場主 海外視察中に飛行機事故で死亡)|北林谷栄 (その妻・山子)|関京子 (鏡らん)|織田政雄 (袋善助)|薄田つま子 (袋善助の妻)|春日俊二 (重役タイプの男)|織本順吉 (野党代議士)|西村晃 (大阪弁の男)|高原駿雄 (交通巡査)|清村耕次 (タクシー運転手・銀座の大通り交差点でエンコ)|鏡と館







国会議事堂の近くで原子爆弾を、
ひとり自主開発する娘、「鏡すて」ってアタシよ。・・・久我美子
  



洋食器工場を営むあるじ(多々良純)が死亡し、
その葬儀に出くわした徴税係の館。その妻(北林谷栄)は
館に賄賂一万円を渡し、彼は受け取った!          議事堂のそばの、傾いた家の二階で原爆を開発中の娘・久我美子

組メイン  
この一家も18人の子沢山。  おおいに後悔する館。      銀座で演説する久我美子の長セリフ。


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◆ 市川崑監督の映画 ~ 一夜一話より
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紹介「あなたと私の合言葉 さようなら、今日は」

  メガネの、若尾文子の映画です。
  役どころは、和子。大卒で、東京にあるオースチンという外車メーカーのカーデザイナー。
  梅子(京マチ子)は、大阪の老舗小料理屋の女将で(和子の大学先輩だが中退)、東京のデパートに進出中。和子は、キャリア志向で父親(佐分利信)の面倒も見なければならない。なので、幼なじみの半次郎(菅原謙二)が遠回しに結婚を言ってくるのが面倒くさい。半次郎を梅子に譲った。梅子曰く「頂きます。」
  大学の夜間に通っている哲(川口浩)は、ずっと和子に思いを寄せているが片思い。一方、和子の妹・通子(野添ひとみ)は、ある日、自分は哲を愛していることに気付く。
  サバサバしているつもりでも、和子はこころの奥で未だに迷っている。待っている、のかもしれない・・・。
  ◆ 「あなたと私の合言葉 さようなら、今日は」へは、こちらから


紹介 2「暁の追跡」

  そんなに凝った作りの話に観えないんですが、味があります。
  警察側からの話なので、若干引いて観はじめましたが、一巡査の目を通して、1950年昭和25年当時の世間が見え始めると、関心はその方へと移っていきます。
  兵隊から帰って来て警官になった石川巡査(池部良)は、職についてまだ日が浅い。
  東京・新橋駅前のポリスボックスが彼の勤務場所。
  さて、そんな中、ある事件が思いのほかに大きく展開していく・・・。
  ◆ 「暁の追跡」へは、こちらから


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やまなか

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 日ごろのアクセス、本当にありがとうございます。気づけば、ブログを始めて8年目に入りました。一夜一話に掲載したい映画、まだまだあります。気の向くまま、その時の気分でやってます。遊び半分じゃなく、「全部遊び」です。

<一話一夜の方針かな>
 1)古今東西の映画を分け隔てなく並べて、気に入った映画を選びます。
     
 2)以前に観た映画でも、もう一度あらためて観てます。むかし感じた印象と大きく異なることも多いからです。

 3)「素」な気持ちで、「映画作品そのもの」に向き合うことが、私の遊びです。
 作品自体が語りかけてくること以外の額縁情報、つまり宣伝文句、その受け売り文章、受賞実績、監督発言、出演俳優がどうしたとか、そして映画評論本やらは、はなから無視して、自分の眼で観るようにしています。

 4)観て気に入らない映画、つまんない映画は、基本掲載しません。
 だから、観たけど掲載しない映画は多いです。巨匠の名作と言われる映画も、気に入らなければ掲載しません。また、名物にうまいモノなし、ということも実感します。

 ただし、まだ観てない映画は、たくさんあります。こんな一夜一話ですが、今後も、見に来てください。   
 美術や音楽、書籍や温泉の記事も増やしたいと思っています。よろしく。  

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