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映画「任侠外伝 玄海灘 」    監督:唐十郎

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  唐十郎とは、めくるめくミラクルな物語性を持つ、夢のような詩だと思う。
  長編な物語でありながら、時空を越えた断片的シーンの結晶体でありながら、歌詞のようにリリカルに短い。

3組 00  夢だから・・・、全面的に、その個人に依拠するから、他人から見て、分かりにくい。例えば映画に出てくる真鍮製ネームプレート(兵隊の個人認識番号札)。象徴することは分かるが、これを束にしたものが、ラストシーンまでストーリーに絡み続ける。???だ。そりゃ当然だが、この謎を難なく突破する勢いと幼児性が唐にある。もちろん、本人は承知している。だから時に、唐が舞台でみせた、ま、ま、と取り繕うとする苦笑いがそれを語っていた。

  言うまでもないけれど、芝居は、映画と比べて、舞台という制限された閉じた空間でやる「お約束ごと」だから、逆に、時空の飛躍もできるし、物理的、視覚的な省略も難なくできる便利なものだ。で、だからやはり、唐は芝居だ。芝居だから唐がいきる。
  まして、「テント」という「場」。
  夜、公演中にテントが突然にまくり上げられると、そこに意表をついてに出現する、不忍の池の暗い水が、広大な埋立地の向こうのプラント群のあかりが、鴨川の河原のとても深い闇が、観客の魂を一挙に奪っていった。

  で、映画だ。こういった唐の素敵な面の多くが、マイナスになってしまった。
  公開当時も、たぶん、つまらなかっただろうと思う。芝居に綿密性なんて要らないが、映画は説明に走ってしまうのだ。
  劇場空間で出来なかった事が映画で出来ると考えたのだろうか。状況劇場が劇場空間で出来たことは、映画じゃできない、と思う。さらには、劇場空間でできなかったことは、映画でもできない、とも思う。



根津00  俳優たちの事をいうと、安藤昇や宍戸錠、楽しそうに演技しているが、所詮借り物、お客様だ。働かされているのは、李礼仙に根津甚八だ。で結局、このふたりが主役になっている。ああ、李は女優ですね。この頃の根津甚八は、茶目っ気があって活きがいい。 

監督:唐十郎|1976年|122分|
脚本:石堂淑朗、唐十郎|撮影:瀬川浩|
出演:安藤昇 (近藤)|宍戸錠 (沢木)|李礼仙 (李孝順/李春仙)|根津甚八 (田口)|小松方正 (金春台(金田))|真山知子 (いく子)|天竺五郎 (工場長・天野)|南州太郎 (警察署長)|天津敏 (沢木組組長・久保田)|大前均 (沢木組・村田)|篠原勝之 (沢木組・熊野)|小林薫 (沢木組・林)|金子研三 (沢木組・貝原)|花田達 (沢木組・梅田)|星山龍一 (沢木組・松野)|十貫寺梅軒 (おかまの春ちゃん)|嵐山光三郎 (医者・嵐)|石橋蓮司 (刺青師・松井)|日高久 (刑事)|唐十郎 (謎の男)|奥村公延 (荷主)|常田富士男 (国鉄労組委員長)|三好道明 (国鉄労組・組合員)|都築三郎 (国鉄労組・組合員)|本間光琳 (密航の女)|久迩あき子 (密航の女)|李銀子 (密航の女)|森秀子 (密航の女)|川崎容子 (密航の女)|佐々木るり子 (密航の女)|御旅屋暁美 (釜山の女)|森みつる (釜山の女)|大久保鷹 (殺し屋・田原)|松田修 (シチュー屋)|海江田譲二 (刑事)|田村泰二郎 (刑事)|丹古母鬼馬二 (看守)|

1組 00

2組 00
たしかに、こういうシーンは舞台より映画が得意とする。

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◆ 一夜一話からお薦め映画

  この映画が気に入ったら、林海象監督、唐十郎・原田芳雄が主演の「海ほおずき The Breath 」はいかが?

  映画「海ほおずき The Breath 」 1996年

  唐十郎の脚本。話のどこが頭か尾っぽか、いや、あちこちに頭や尾っぽがあり、そのどれもに、いきなり火がつけられてしまう。そんな奇天烈の中を、客はもてあそばれるのを楽しむのである。唐のストーリーは、例えばそんなだったりする。  
  唐自身が主役だが、原田芳雄の存在がなければ、この映画は成り立たなかっただろう。
  唐に触発されて、原田の演技がいつも以上に自由奔放で無頼。
  楽しめるぞ。(らしい)
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 日ごろのアクセス、本当にありがとうございます。気づけば、ブログを始めて8年目に入りました。一夜一話に掲載したい映画、まだまだあります。気の向くまま、その時の気分でやってます。遊び半分じゃなく、「全部遊び」です。

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 3)「素」な気持ちで、「映画作品そのもの」に向き合うことが、私の遊びです。
 作品自体が語りかけてくること以外の額縁情報、つまり宣伝文句、その受け売り文章、受賞実績、監督発言、出演俳優がどうしたとか、そして映画評論本やらは、はなから無視して、自分の眼で観るようにしています。

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 だから、観たけど掲載しない映画は多いです。巨匠の名作と言われる映画も、気に入らなければ掲載しません。また、名物にうまいモノなし、ということも実感します。

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