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映画「ゲンスブールと女たち」   監督:ジョアン・スファール

上 
遍歴70
  しっかり作られた、いい映画。
  主人公は、フランスの著名なミュージシャン、セルジュ・ゲンスブール。恋多き波乱万丈の生涯を楽しく描きます。監督はフランスの漫画家で本作の原作者。だから伝記くさくない。娯楽映画に仕上がっています。
  セルジュ・ゲンスブール(1928年-1991年)はソングライターで歌手。その性向は無頼で女好き。多くの曲を女性歌手に提供しフランスのポップスをリードしてきた男。  女性を魅了する歌詞とそのメロディは、ジュリエット・グレコやブリジット・バルドーをも引き寄せる。彼のそんなカリスマ性と幾多の恋の遍歴は生涯続く。

遍歴2メッセージ  その音楽性は、ジャンゴライン的ジャズギター、シャンソンの革新、アグレッシブなジャズピアノ、大衆的なフレンチポップス、コンテンポラリーなメッセージソングまで多岐に変遷した。



少年期  映画は彼の少年期から始まる。
  父親は絵描きで酒場のピアニスト。ユダヤ人一家。家ではクラシックピアノをセルジュ・ゲンスブールに教えた。しかしセルジュは嫌だったしピアノは一向に上達しない。それより絵が好きだった。物語を作って絵を描き、姉たちに披露した。
  「悲しみと苦しみでいっぱいの、不細工なユダヤ人青年は、顔がどんどん膨れ上がる。そして顔が破裂した拍子に別の姿に変わった。(右写真の背後の出現した鼻と耳がでかい男) 彼は何?   グリム童話の悪魔のようなもんさ。 ピアノがうまいしシャンソンを作曲する。  女性にウケる曲、女たらしだからね・・・」
分身00  
  この奇怪な男は、その時から他人には見えないがセルジュの分身となってセルジュの前に現れるようになった。 現れたその日、妙に積極的にセルジュは、家のピアノを弾きはじめた。シャンソン風ジャズピアノだ、抜群にうまい。父親が言う。「今日はやけにうまいな・・・。」 みんなには見えないが、実はセルジュと分身とで連弾している。
  その後大人になってもセルジュの人生に付き添う分身であった。時に励まし、時に悪魔のようにささやきそそのかし、しかし誠実である。そして歳を重ねたある日、セルジュは理容室で自分が分身化した姿になった事を発見する・・・。こんな幻想シーンが違和感なく挿入される。
反体制00

  1928年、パリ。セルジュは、ユダヤ人の両親の元に生まれた。ナチス支配下の、あからさまな人種差別の抑圧、暗い時代をパリで過ごした。 これがセルジュの原点だろう。歌詞において過剰な性的表現にあわせて、後年は反体制的アジテーションを歌にした。

  各場面、印象に残るシーンが多い。
  ダリの愛人をそそのかすシーンではダリの私邸内が見れる。ジュリエット・グレコが自宅にセルジュを招くシーンもいい。また、息子がブリジット・バルドーと関係していることを、セルジュの父親が小躍りして喜ぶシーンが素敵だ。この父親役の人、いい俳優だ。そして、戦後すぐに、ユダヤ人の子供達を保護収容する施設で、セルジュがギターを持って子供たちの合奏に加わるシーン。強制収容所から帰ってくるはずもない親を待っている子供達だ。奏でる音楽は、ユダヤ・ミュージック。これがいいな。
種々00


迫害を受けていた頃は、こんなモノとも付き合っていたセルジュ少年(右)。
下オリジナル・タイトル:Gainsbourg, vie héroïque

監督・原作・脚本:ジョアン・スファール|フランス、アメリカ|2011年|130分|
撮影:ギヨーム・シフマン|
出演:セルジュ・ゲンスブール (エリック・エルモスニーノ)|ジェーン・バーキン (ルーシー・ゴードン)|ブリジット・バルドー (レティシア・カスタ)|ジュリエット・グレコ (アンナ・ムグラリス)|フランス・ギャル (サラ・フォレスティエ)|バンブー(ミレーヌ・ジャンパノイ)|フレエル (ヨランド・モロー)|ケイシー・モッテ=クライン (セルジュ・ゲンスブールの母)|ラズヴァン・ヴァジルスキュ (セルジュ・ゲンスブールの父)|ダグ・ジョーンズ|クロード・シャブロル|


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◆ この映画の男優・エリック・エルモスニーノが主演の映画 ~ 一夜一話より
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セルジュ・ゲンスブール役の男優、エリック・エルモスニーノ。なかなか難しい役をこなしていますね。
彼が出ている映画をご紹介。

「スカイラブ」 Le skylab  2011年  監督・脚本・出演:ジュリー・デルピー

  この映画、まずはブルターニュ地方の澄んだ風を楽しめます。また1979年当時の、フランスの大衆のさまざまな気持ちが読み取れるように、ていねいに作られた映画。
  ジュリー・デルピー監督自身が俳優として出ていますが、その役、自由気ままな妻アンナの夫、さらに自由気ままですが、ジャンを、エリック・エルモスニーノがやっています。


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 日ごろのアクセス、本当にありがとうございます。気づけば、ブログを始めて8年目に入りました。一夜一話に掲載したい映画、まだまだあります。気の向くまま、その時の気分でやってます。遊び半分じゃなく、「全部遊び」です。

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 3)「素」な気持ちで、「映画作品そのもの」に向き合うことが、私の遊びです。
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