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映画「純愛物語」  監督:今井正  主演:中原ひとみ

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孤児00  太平洋戦争が終わっても、戦災孤児の少女ミツ子には、容赦ない仕打ちが待っていた。
  終戦直後、東京・上野駅周辺に、たくさんの戦災孤児や少年少女がいた。すきっ腹をかかえ、寒さに耐え、それでも何とか生き抜く毎日。上野公園あたりには、夜露がしのげる程度の、風が吹けば壊れるテントのような、ねぐらが並ぶ。親とはぐれ、あるいは親が死んで、爆音/熱風の大空襲をかいくぐり、それだけでも精神的ダメージは相当なものだったろう。そして、戦後経験するこれからの事は、さらに彼らに大きな負担となっていく。
  上野公園に、徒党を組まず、ひとりで生きている主人公・ミツ子(中原ひとみ)がいた。売春もやってる、スリもやってる。しかし、持ち前の勝気さで前向きに生きてる。

  そんなミツ子は、少し年上の、地場のやさぐれ・早川貫太郎(江原真二郎)と運命的な出会いをする。
  ここから話がはじまる。組00 浅草のデパートで、ふたりは万引きをする。警戒中ですぐに捕まってしまった。ミツ子は東京家庭裁判所・少年審判部を経由して聖愛学園へ、貫太郎は久里浜少年院へ送られた。
  何が「家庭」裁判所なものか。ミツ子は案の定、女の園の集団生活で、我を張り、孤立して過ごしていた。
横須賀線  一方、貫太郎は護送中に、走る横須賀線の電車の便所の窓から、飛び降り怪我を負う。護送の刑務官たちは、あわてて電車を止め線路を走った。

  時が経ち、ふたりはそれぞれに退院する。
  このころから、元気なミツ子が体調を崩す。医者に診せると、原爆の後遺症らしいとのこと。赤十字病院の「原爆科」の集団検診を受ける。彼女は誰にも黙していたが、広島で被爆していたのだ。
  このころミツ子は中華ソバ屋で住込みをしていたが、医師から仕事は止めるように言われる。
宿  観念した彼女は、上野のドヤ街にある、一泊50円の相模屋という宿に入る。宿とは言え、がらんとしたところに壁も境もなく、板の間にセンベイふとんを敷いただけの所。伏せている時間がだんだんに長くなる。隣の屑屋の爺さん(東野英治郎)が、不憫に思ってくれて、なにかと面倒をみてくれる。もちろん、聞きつけた貫太郎は、あわてて訪れ、これからのふたりが歩む道を語り、彼女を励ますのであった。

  しかし、高熱のため入院を余儀なくされる。運命は残酷だ。貫太郎が再度、見舞いに来たときには、ミツ子の姿は、もうベッドになかった・・・。

ミツ子00  なんと言っても、この映画、中原ひとみが光る。その清涼感、ひとみの輝き、健気さが、本作品の柱になっている。
  あわせて、終戦直後の孤児や家庭の無い青少年、当時なすすべがなかった被ばく後遺症、それぞれを思いながら観て欲しい映画。  お見逃しなく。




  

組001001英語タイトル:The Story of Pure Love

監督:今井正|1957年|133分|
脚本:水木洋子|撮影:中尾駿一郎|
出演:江原真二郎 (早川貫太郎)|中原ひとみ (宮内ミツ子)|岡田英次 (下山観察官)|木村功 (瀬川病院の医師)|加藤嘉 (鈴木教官)|宮口精二 (判事)|東野英治郎 (屑屋の爺さん)|楠田薫 (小島教官)|小林トシ子 (裕福な妻)|藤里まゆみ (板谷教官)|戸田春子 (田中の母)|北城真記子 (国立教官)|荒木道子 (瀬川病院看護婦)|岸輝子 (ドヤのかみさん)|長岡輝子 (聖愛女子学園長)|高木二朗 (日赤病院医師)|松本克平 (医務課長)|神田隆 (少年院体育教官)|増田順二 (日赤病院医師)|嵯峨善兵 (中華そばやの主人)|北沢彪 (日赤病院医師)|稲葉義男 (日赤病院医師)|中村是好 (カラフト食堂主人)|外野村晋 (少年院庶務課員)|石島房太郎 (自誠会指導員)|清村耕次 (少年院自動車教官)|織本順吉 (刑事)|成瀬昌彦 (裕福そうな夫)|陶隆 (自誠会指導主任)|曽根秀介 (中年男)|霞涼二 (市ちゃん)|田中邦衛 (里やん)|友野博司 (杉)|植松鉄男 (デンスケ)|三戸部スエ (患者の母)|和田愛子 (聖愛女子学園教官)|不忍郷子 (妾)|桧有子 (マダム)|山本緑 (隣のかみさん)|高橋京子 (病院看護婦)|平岡牧子 (ヨリ子)|正城睦子 (お高)|石橋暁子 (お兼)|小林利江 (時子)|田上和枝 (君江)|大東良 (護送教官)|片山滉 (日赤病院医師)|小瀬朗 (田中)|井川比佐志 (五郎)|高津住男 (自誠会の嘉一)|小塚十紀雄 (守衛)|梅津栄 (刑事)|下








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◆ 今井正監督の映画 ~ 一夜一話より
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紹介「米」 

  ワイルドな映画だ。
  琵琶湖につぎ大きな湖、霞ヶ浦の水郷地帯が舞台。この霞ヶ浦というスケールの大きな自然を相手に、漁業や農業の毎日を送る村人たちの話。主人公の青年(江原真二郎)は農家の次男、だから次男なりの人生設計が必要だった。
  ある日、一枚帆の舟で網を引く「帆引き舟」でシラウオやワカサギの漁をしている漁師(木村功)から誘いがかかった。佃煮工場のあるじが、この漁の胴元で、魚が獲れる時期だけの季節労働である。だから、それなりに大きな現金を手にする。
  青年と運命的な出会いをする娘(中村雅子)の家は貧しい農家、母親(望月優子)と娘で米作り、小舟で水郷に出て、うなぎやエビを獲ってわずかな現金を得る、そんな生活。
  ある朝、青年と友人は帆引き舟で漁に出ていたが、風が予想以上に強かった。竹の帆柱が倒れ、舟は一瞬にして転覆した。友人は死亡し、青年は岸に流れ着いた。これを救ったのが、あの娘だった・・・。
  ◆ 「米」へは、こちらから


紹介2「にごりえ」 

  本作は、明治の小説家・樋口一葉の短編小説「十三夜」「大つごもり」「にごりえ」のそれぞれを元にした同名の映画、3作で構成されている。
  さらりとしているが、奥が深い映画。
  出色は、なんといっても「にごりえ」の淡島千景だ。 
  ◆ 「にごりえ」へは、こちらから。



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やまなか

Author:やまなか
 日ごろのアクセス、本当にありがとうございます。気づけば、ブログを始めて8年目に入りました。一夜一話に掲載したい映画、まだまだあります。気の向くまま、その時の気分でやってます。遊び半分じゃなく、「全部遊び」です。

<一話一夜の方針かな>
 1)古今東西の映画を分け隔てなく並べて、気に入った映画を選びます。
     
 2)以前に観た映画でも、もう一度あらためて観てます。むかし感じた印象と大きく異なることも多いからです。

 3)「素」な気持ちで、「映画作品そのもの」に向き合うことが、私の遊びです。
 作品自体が語りかけてくること以外の額縁情報、つまり宣伝文句、その受け売り文章、受賞実績、監督発言、出演俳優がどうしたとか、そして映画評論本やらは、はなから無視して、自分の眼で観るようにしています。

 4)観て気に入らない映画、つまんない映画は、基本掲載しません。
 だから、観たけど掲載しない映画は多いです。巨匠の名作と言われる映画も、気に入らなければ掲載しません。また、名物にうまいモノなし、ということも実感します。

 ただし、まだ観てない映画は、たくさんあります。こんな一夜一話ですが、今後も、見に来てください。   
 美術や音楽、書籍や温泉の記事も増やしたいと思っています。よろしく。  

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