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「あにいもうと」   監督:成瀬巳喜男  出演:京マチ子、久我美子

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多摩川00

  東京都と神奈川県の県境を流れる多摩川の、川沿いの話。
  向こう岸は東京だが、昭和28年当時、このあたりは相当な田舎。水田と梨畑と用水路に林、そしてまばらに点在する農家。

  「あに」の伊之吉(森雅之)は、近所の石屋で石工をしている。「いもうと」の もん(京マチ子)は家を出て東京で住込みで働いていた。そして小畑という大学生(船越英二)と恋仲になり、結局妊娠し実家にぽつりと帰って来る。うわさは、近隣にすぐ広がった。
  伊之吉は小さい頃から、ことのほか もんを可愛がってきた。だから、可愛さ余って憎さ百倍。もんに対して辛く当たる。間に入る母(浦辺粂子)と次女のさん(久我美子)。父親(山本礼三郎)は多摩川を見つめて、だんまりだ。この父親は河砂利の採掘屋の親方、母親は土手で茶店を出している。さんも、今じゃ家を出て東京で看護師として働いている。
  兄の執拗な仕打ちに耐えかねて、もんはすぐに東京へ帰って行った。
小畑  その後、大学生の小畑が詫びに来た。見るからにひ弱なボンボン風情な男。父親は簡単に話を聴いて早々に席を立つ。その小畑の帰り道を待ち構えていた伊之吉は、腹いせに小畑をののしり数発殴った。
  さて、妹・さんの話。さんには、幼なじみの恋人がいた。近所の製麺所に養子に入っている鯛一という男だ。だが、ここの親は、さんの事を悪く言う。「ふしだらな姉を持つ娘は、ろくな女じゃない」 と、鯛一を責める。鯛一の結婚相手を親は勝手に決めていて、見合いの段取りも進んでいる。このプレッシャーに耐え兼ねる鯛一はおろおろするばかり。自分で何も決められない。そんな鯛一をさんは冷静にみていた。 

盆  なんやかんやあったが、あっという間に一年が経ち、盆になって、もんとさんのふたりが実家に帰って来た。
  もんは、残念ながら流産してしまった。さんの彼氏は、親が決めた相手と結婚した。兄は相変わらず独身で、石工とばくちで日を送っている。親たちは、静かに年老いていく。そして盆はすぐ終わり、もんとさんは家を後にするのであった。
  なんてことないが、いい映画だ。


もん監督:成瀬巳喜男|1953年|86分|
原作:室生犀星|脚本:水木洋子|撮影:峰重義|
出演:京マチ子 (もん・長女)|久我美子 (さん・次女)|森雅之 (伊之吉・もんの兄)|堀雄二 (鯛一・さんの彼氏・製麺屋の養子・優柔不断な男)|船越英二 (小畑・もんの彼氏・優柔不断な男)|山本礼三郎 (赤座・もん達三人の父)|浦辺粂子 (りき・もん達三人の母)|潮万太郎 (貫一)|宮嶋健一 (喜三)|河原侃二 (坊さん)|山田禅二 (豊五郎)|本間文子 (とき子婆さん)|







実家は、土間や囲炉裏がある。父母。     多摩川の土手にある茶店と母親。かき氷、アイスキャンデー。
実家
茶店で座る、もん。つげ義春の漫画のよう。  父親は今じゃ、細々と砂利採掘業の親方。
                             コンクリート護岸がなかった昔は、河の丸石を大きな竹籠に
                             詰めた「蛇籠」というもので護岸工事をした。
                             父親は、多摩川のこのあたりで工事を仕切る、羽振りのいい大親分だった。



多摩川に沿って神奈川県側を走るJR南武線、この沿線の中野島~登戸~宿河原あたりが映画の舞台のようだ。
新宿発の小田急線と交わるのが登戸。小田急線と沿う世田谷通りが多摩川を渡る橋、多摩水道橋は1953年12月開通。
もんを見て、ひやかす男たち。         もんとさん。手前は用水路。

組00

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 日ごろのアクセス、本当にありがとうございます。気づけば、ブログを始めて8年目に入りました。一夜一話に掲載したい映画、まだまだあります。気の向くまま、その時の気分でやってます。遊び半分じゃなく、「全部遊び」です。

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