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映画「大阪の女」  監督:衣笠貞之助  主演:京マチ子

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  大阪市内の話。
  西成区山王1丁目から3丁目あたり、漫才師をはじめ多くの芸人が、戦前から戦後にかけて、長屋の街に寄り集まって住んでいた。 自らここを天王寺(てんのじ)村と呼んだ。 戦後も空襲にあわなかった長屋に、漫才師、曲芸師、浪曲師ら400人ほどが、1955年ごろにはいたらしい。このうちの一軒の長屋が映画の舞台。

  主人公のお千(京マチ子)は、父親で芸人の鈴乃家半丸(二代目中村鴈治郎)とふたりでこの界隈に住んでいる。鈴乃家半丸は、関西では名が知れた漫才師だったが、今は相方がいない。本人曰く引退ではない、出来のいい相方がおらへんだけや。

お千(手前)と、宗二の妹と姉。長屋の縁側で。
長屋  お千はこの長屋で生まれ育った。夫を亡くし今は父親のめんどうをみながら、手内職をして暮らしている。なにしろ、ここは古い長屋。隣の部屋とは薄い壁一枚。二階は窓越しに、一階は縁側越しに、隣の様子は手に取るように分かる。そして、住んでいる者はみな、家族のようなもの。ずかずか他人の部屋に上がり込む。
  同じくこの長屋に育った宗二(高松英郎)は、お千と幼なじみ。鈴乃家半丸の弟子になり芸人だったが、芸人をやめ堅気になって、ひとり東京で働いていた。その宗二が、ここ大阪で商売を始めるために三年ぶりに帰って来た。あいかわらず口下手な男。お千と宗二、互いに初恋の人。話はここらへんから始まって、こんがらがっていく。

お千  父親の鈴乃家半丸は娘のためを思い、三上米太郎(船越英二)という芸人を探してきた。さっそく見合い。芸の筋はええし、掘り出しもんや。お千は見合いとと知らされず、米太郎と会った次第。
  お千は宗二がはじめる店を見に行った。が、そこには妻と名乗る女がいる。実は、お妙(丹阿弥谷津子)という食わせもんだったが、お千は信じてしまう。悲しい。

米太郎とお千の夫婦。
お千米太郎  そんなことで、父親に言われるままに、お千は三上米太郎とめおとになる。  結婚式とは言っても、この長屋で宴の大宴会。長屋の連中をはじめ関係者が押し寄せて、貧しいながらも食って飲んで歌っての大騒ぎ。三味とギターと、そして最後には鍋や茶碗たたいて、「踊る阿呆に見る阿呆、おなじアホなら踊らにゃソンソン」から「エライヤッチャ、エライヤッチャ、ヨイヨイヨイヨイ」となって宴はクライマックスへ!

  夫婦は仲睦まじく日が過ぎていく。しかし、映画はふたりをほって置かない。  お千の目の前で米太郎が交通事故にあう。病院に担ぎ込まれたが、小康状態ののちこの世を去る。長屋の連中が葬儀の用意をしてくれる。そこへ、米太郎の妻、と名乗る女が子をおぶって現れた。家に上げることに反対する長屋の連中を抑えて、お千はこの女を二階にあげて米太郎に会わす。さて、アホで陽気な芸人たちのこと、通夜ぶるまいは、いつしか、茶碗たたいて、「踊る阿呆に見る阿呆、おなじアホなら踊らにゃソンソン」から「エライヤッチャ、エライヤッチャ、ヨイヨイヨイヨイ」となって宴はクライマックスへ!

  さて、30万円という大金が話を切り裂く。米太郎の死亡事故での保険金が、お千におりたのだ。長屋はもとより、ここ天王寺(てんのじ)村で大きな噂になる。お千に金の相談に来る者が現れる。がしかし、お千は、弔問に来た妻と名乗る女に全額くれてやる。おおいに驚く長屋。いつのまにやら新聞記者も取材に来る始末。美談となる。
組00  一方、米太郎を知る芸人たちは、30万円を元手に演芸場を借り切って、故人の追善興行を開こうとしたが、芸人たちのまとめ役の林家文福(中村是好)は、演芸場と話して、ギャラ代相殺で借りれることになった。
  お千は、この公演の宣伝を、サンドイッチマンよろしく背中に背負って、じゃんじゃん横丁の通りに出て、お得意のクラリネットをたからかに吹くのであった。

  

監督:衣笠貞之助|1958年|104分|
原作:八住利雄|脚色:衣笠貞之助 、相良準|撮影:渡辺公夫|
出演:お千 (京マチ子)|鈴乃家半丸 (二代目中村鴈治郎)|三上米太郎 (船越英二)|宗二 (高松英郎)|お妙 (丹阿弥谷津子)|林家文福 (中村是好)|笑亭笑福 (山茶花究)|
◆春廼家助八 (平和ラッパ)|三造 (芦乃家雁玉)|伊賀佑成 (林田十郎)|谷のぼる (浪花家市松)|お登世 (浪花家芳子)|旭秋月 (松鶴家光晴)|おつる (浮世亭夢若)|畑麦太郎 (暁伸)|若子 (ミス・ハワイ)|
お辰 (小夜福子)|染子 (角梨枝子)|末子 (小野道子)|お民 (賀原夏子)|青空ホームラン (小原利之)|お糸 (倉田マユミ)|刑事 (春本富士夫)|銭湯の巡査 (花布辰男)|病院の医師 (丸山修)|看護婦 (目黒幸子)|患者 (早川雄三)|附添人 (花村泰子)|「五六八」の女中 (村田扶実子)|

◆漫才コンビが映画に出ると、大概、劇中で漫才をやるが、この映画では役者に徹しているので、誰と誰がコンビなのか、知らない人は解らない。ので、以下、出演の漫才師たちのご紹介です。

ラッパ師匠                    芦乃屋雁玉 林田十郎00
右が平和ラッパ。                                 芦乃家雁玉(右)、林田十郎(左)                        
映画撮影の頃は、コンビを組まずひとりでやっていたらしい。       雁之助・小雁は弟子。
左は映画に出演していないが、                         戦後のナニワ芸人たちの先輩格。
漫才の相方・四代目日佐丸(夏川左楽)、のちコンビ解消



市松芳子                松鶴家光晴・浮世亭夢若00
浪花家芳子(右奥)、市松(左手前)                      松鶴家光晴(右)、浮世亭夢若(左)
市松がたたくは、ナベ・大根おろしなど台所用品。              昔の形の漫才。(上岡龍太郎曰く)




暁伸、ミスハワイ                 かしまし
ミスハワイ・暁伸。                                かしまし娘。 
映画の各シーンで、流しの役の、暁伸のギターが映える。        正司照江、歌江、花江(次女、長女、三女)



本00「米朝・上岡が語る昭和上方漫才」  
桂 米朝 、上岡 龍太郎 (著)   
出版社:朝日新聞社
楽しい本。










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やまなか

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 日ごろのアクセス、本当にありがとうございます。気づけば、ブログを始めて8年目に入りました。一夜一話に掲載したい映画、まだまだあります。気の向くまま、その時の気分でやってます。遊び半分じゃなく、「全部遊び」です。

<一話一夜の方針かな>
 1)古今東西の映画を分け隔てなく並べて、気に入った映画を選びます。
     
 2)以前に観た映画でも、もう一度あらためて観てます。むかし感じた印象と大きく異なることも多いからです。

 3)「素」な気持ちで、「映画作品そのもの」に向き合うことが、私の遊びです。
 作品自体が語りかけてくること以外の額縁情報、つまり宣伝文句、その受け売り文章、受賞実績、監督発言、出演俳優がどうしたとか、そして映画評論本やらは、はなから無視して、自分の眼で観るようにしています。

 4)観て気に入らない映画、つまんない映画は、基本掲載しません。
 だから、観たけど掲載しない映画は多いです。巨匠の名作と言われる映画も、気に入らなければ掲載しません。また、名物にうまいモノなし、ということも実感します。

 ただし、まだ観てない映画は、たくさんあります。こんな一夜一話ですが、今後も、見に来てください。   
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