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映画「世にも面白い男の一生 桂春団治」   監督:木村恵吾  出演:淡島千景、八千草薫、高峰三枝子

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  大阪の落語家、桂春団治(1878年~1934年)の人生模様を描く映画。
  その生きざまは、天才噺家と言われ一世をふうびする一方、私生活では女道楽の限りを尽くした破滅型天才芸人だった。

  春団治を演じる森繁久彌と、春団治に寄り添う三人の女たち、おたま(淡島千景)、とき(八千草薫)、おりゅう(高峰三枝子)の三女優を楽しむ。
春団治  おたまは法善寺横丁にある呑み屋で働く女。ときは京都の宿屋で働く女。おりゅうは、春団治をひいきにした大店の後家さん。ときはお腹に子を宿し、おたまと同居している春団治の家に現れる。おりゅうは、夫が残した財産を春団治に惜しげもなく使い尽くす。そう、おりゅうも破滅型の女であった。 
  特に淡島千景の演技がいい。森繁との演技の相性がいいとも言える。おたまは、春団治を誰よりも愛しながらも、ときやおりゅうを思い、自ら身を引く。しかし春団治は、あれもこれもである。おたまは、春団治が出す、その手を突っぱねる、だのに次の瞬間には春団治の胸に顔をうずめる・・・といった、しなやかな演技の「あや」と、そこに香るからっとした色気が実にいい。大ぶりでなく細やかで精緻な演技と湿っぽくない色気だ。 その点、高峰三枝子、八千草薫は硬い。
  ストーリー自体は、どういうことはない単純な構造。しかし、芸達者な出演者たちに囲まれて森繁は自由に演技している。各所にあるコメディなシーンも生きている。ラスト近く、春団治がこの世を去ろうとする場面は大衆演劇的な可笑しさを味わえる。お抱えの人力車の車夫・坂井力蔵(田村楽太)がいい味です。

  落語家の話でありながら、寄席のシーンがほぼ無い。また天才とは言え、苦心はあったろうに、落語家だから・・・のシーンがない。つまり主人公が落語家であることが話の中心にないのがどうも大変物足りない。
  機会があれば、マキノ雅弘監督の「色ごと師春団治」1965年、藤山寛美の春団治を観たい。
書籍  富士正晴著「桂春団治」がある。幾多の伝説に埋もれた「真実の春団治」を発掘し書き起こしている。また巻末の桂米朝の文が貴重だ。春団治は異端・邪道だといわれた意味、意外なその人間性、そして上手さ。米朝師匠が古い先輩落語家から聞いたという話。<引用>春団治師匠が楽屋へ「おはよう」と言うてはいってきやはると、もうその「おはよう」がおかしいン。「お茶子はん、茶ア一杯おくれ」というその声でもう笑いとうなって困った・・・。<引用終わり>こういったディティールがこの映画に無い。


八千草監督:木村恵吾|1956年|108分|
原作:長谷川幸延|脚色:木村恵吾、渋谷天外|撮影:三村明|
出演:森繁久彌(桂春団治)|田村楽太(坂井力蔵)|淡島千景(おたま)|高峰三枝子(おりゅう)|八千草薫(とき)|浮世亭歌楽(桂円治郎)|田中春男(立花屋花橘)|西川ヒノデ(浪花屋蝶治)|杉山昌三九(双竜軒梅月)|青山正雄(双竜軒梅丸)|桂春坊(林家染丸)|毬るい子(おてる)|本郷秀雄(桂小春団治)|守住清(桂福団治)|清水元(戎)|松鶴家光晴(加藤)|浮世亭夢若(山口)|加津一(林田)|石田茂樹(東条)|日夏有里(お美代)|森健二(源三)|旗一郎(亀八)|石田守衛(為之助)|楠栄二(伝吉)|丹羽円四郎(仙吉)|大路三千緒(おせん)|藤本幸次郎(伊左吉)|千石規子(おりん)|都家文雄(庄八)|有明月子(おその)|山路義人(野伏)|寺島雄作(伊兵衛)|芝田総二(池田屋)|森川金太郎(斎木)|横山エンタツ(小林)|水代玉(藻南)|浪花千栄子(おあき)|三好栄子(おとり)|有田たね(おさく)|吉川雅恵(おさん)|宇津保千春(金弥)|関根永三郎(善吉)|夏亜矢子(お豊)|翼ひかる(芸者)|汐風享子(二鶴のおかみ)|



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やまなか

Author:やまなか
 日ごろのアクセス、本当にありがとうございます。気づけば、ブログを始めて8年目に入りました。一夜一話に掲載したい映画、まだまだあります。気の向くまま、その時の気分でやってます。遊び半分じゃなく、「全部遊び」です。

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 3)「素」な気持ちで、「映画作品そのもの」に向き合うことが、私の遊びです。
 作品自体が語りかけてくること以外の額縁情報、つまり宣伝文句、その受け売り文章、受賞実績、監督発言、出演俳優がどうしたとか、そして映画評論本やらは、はなから無視して、自分の眼で観るようにしています。

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