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コンポージアム2013 「武満徹作曲賞」本選コンサート  ハリソン・バートウィスルを迎えて 

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「武満徹作曲賞」本選コンサート

  毎年開かれる、現代音楽の作曲コンクールの公開コンサート。今年で15年になる。
  東京オペラシティ文化財団が主催し、財団が選んだ現代音楽の作曲家が、ひとりで審査し、ひとりで「武満徹作曲賞」を決める手法の作曲コンクール。審査員は毎年変わる。
  若い作曲家の新しい曲が生まれる瞬間に立ち会える。ワクワクする。

  今年の審査員はイギリスの作曲家ハリソン・バートウィスル。
  世界中から応募があった100近い応募曲の譜面すべてに目を通し、4人まで絞って、コンサートで公開し、コンサート終了直後に会場にて「武満徹作曲賞」が決まる。これが面白い!

  審査員:ハリソン・バートウィスル
  指揮:工藤俊幸  演奏:東京フィルハーモニー交響楽団

  応募者と応募曲
    ・小林純生(日本・1982年生まれ):The Lark in Snow
    ・神山奈々(日本・1986年生まれ):“CLOSE” to you to “OPEN”
    ・ホワン・リュウ(中国・1983年生まれ):Zwei Landschaftsbilder (ふたつの風景画)
    ・マルチン・スタンチク(ポーランド・1977年生まれ):SIGHS ─ hommage à Fryderyk Chopin

  結果は
  1位・・・マルチン・スタンチク
  2位・・・小林純生
  3位・・・ホワン・リュウ/神山奈々
  4位・・・なし
 
  審査員・ハリソン・バートウィスルによる講評は、こちらから。(外部リンクです)
  http://www.operacity.jp/concert/award/result/result2013/


ホール0  1位のマルチン・スタンチクは、聴いていて1位だな、と思えた。
  ヨーロッパでは、現代音楽の作曲の勉強ができる豊かな土壌があるだろうな。他の応募者の中では、歳も重ねていて、しっかりした曲だ。正統派的な印象だった。
  もっとも演奏方法は奇怪で、バイオリンやチェロが打楽器になるし、弓で弦ではなく、楽器のボディを擦って音を出す場面も多々あった。曲は、それぞれの楽器の音色の複合体が、ひとつの楽器になる様子。
  ともに3位の女の子のふたり、中国人のホワン・リュウと神山奈々。
  聴いていて、このふたりは同根だな、と思った。
  勝気な感じのホワン・リュウは、現代音楽をたくさん聴いて学んで、そのエッセンスをうまく自分に取り込み作曲している感じだ。勉強よくできます風の優等生的な現代っ子。中国の画家の作品をモチーフにしている。明るくメリハリある曲想が楽しい。
  今回、私が一番気にいた神山奈々は、現代音楽に行きつくまでに、つまり彼女が幼い頃に聴こえてきた音楽を楽しく蓄積している感じだった。彼女の応募曲“CLOSE” to you to “OPEN”は、キラキラの星くずを後ろに撒き散らせながら、まるで彗星のように高速で疾走する、そのドライブ感が抜群! マリンブルーの海の中を、次の瞬間には暗黒の峡谷の谷間を飛び回り、嵐を切り抜ける。時にサーカスの大テントの中に紛れ込んだりもする、そんな風。新しいカテゴリのポップスだぞ。
  で、何が同根か。現代音楽やポップスなど、どんなジャンルの歌や曲も簡単に聴ける現代、そして聴こえてきてしまう現代。禅修行のように自分を掘り下げて、わずかに湧きあがってくるものに耳を澄ます、といった事をしなくても素材は身の回りに溢れんばかり。音楽的なざわめきの中で育った。そしてふたりともにビジュアル的な曲想。アニメ経験だろう。このあたり、1位のマルチン・スタンチクや2位の小林純生とは一線を画す。
  そして2位の小林純生。曲は、それぞれの楽器の音色の複合体が、ひとつの楽器になる様子。実に繊細で微細な弱音演奏を強いる。深い森林の底で、芽生える芽が人知れず、わずかに微動する。その細胞組織の中の動きを見るようだ。

  そうそう、もひとつ印象に残ったこと。中国人のホワン・リュウが言っていたこと。音楽はどんな曲であれ、政治的な検閲なく、世界万人に伝えられる、と。
  
  
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