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映画「狐と狸」  監督:千葉泰樹

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  時は1959年、昭和の34年。
  泥臭い人情喜劇だが、時々しんみりもさせられる。
  茨城県を中心に千葉県へも続く霞ヶ浦は、当時は、見渡す限りに広がる美しい水郷地帯だった。
  この地に点在する、貧しい農家の軒先を回って、背広や着物を売り歩く行商たちがいた。そんなお話だ。

  映画の舞台は、茨城県江戸崎町。(牛久市の隣にあった町。その後稲敷市に併合)
  貧しくても、晴れの日には背広や着物は必需品だ。そうかといって、土浦の街に出て、洋品店やデパートで、高級品を買うほどのお金は無い。
  映画に登場する怪しげな行商人たちは、そこがねらい目だ。安いけど、品は良い。そう言って村々を一軒一軒、売り歩く。旅慣れているとはいえ、なかなかしんどい商いだ。
 
  行商のリーダー加東大介は、たたき上げだ。以前から馴染みのある商人宿を拠点に、このあたりを巡る。連れの仲間は5人。小林桂樹は大卒で小説家願望だった、この仕事に後ろめたさを感じながらも日々は過ぎる。山茶花究は元浪曲師。男勝りの清川虹子、そして三井弘次。みなベテランだ。それぞれに個性ある売り文句が素晴らしい。さらに、この一団に加わったのが、若き夏木陽介。加東大介の甥だ。このご時世、大学は出たけれど・・・不承不承だが仕方なく参加。この計6人の、おかしくも波乱万丈な珍道中が話の筋だ。
  彼らに加えて、定宿の人々、行きつけの呑み屋の女たち、そして、その昔は加東大介と組んで商いをしていた森繁久彌などを交えて、どうなりますやら。豪華な出演者たちが見ものです。 
   
  なにが、「狐と狸」なのかと・・・。
  純毛の背広だと称して、化繊(化学繊維)の洋服だったり、本絹だと言って人絹(レーヨン)の着物だったり。手の込んだ商品は、縦糸は本物だが、横糸が偽物といった生地で出来ていたりする。
  これをいかに悟られずに売るかが、行商人たちの勝負どころだ。腕がいる。いや、口がいる。
  一方、買い手も黙っちゃいない。品質は判断しにくいが、値切る、値切る。なかには玄人はだしなのがいる。服からはみ出している糸をちぎって、これを燃やしてみる。その臭いをかぎわけて、偽物を見破る。
  ま、しかし大概はだまされる。喜ばれもする。だが、バレもする。


三輪監督:千葉泰樹|1959年|126分|
原作:熊王徳平|脚色:菊島隆三|撮影:西垣六郎|
出演:青島京太 (加東大介)|湯舟吾市 (小林桂樹)|飯塚半五郎 (三井弘次)|天中軒瓢右衛門 (山茶花究)|お玉後家 (清川虹子)|倉掛三郎 (夏木陽介)|ゴンドラのヒロ子 (団令子)|ゴンドラのカヅ子 (草笛光子)|ゴンドラの女将マツ (三好栄子)|ジープの売人浅田 (南道郎)|佐川加代子 (水野久美)|安福秀松 (左卜全)|秀松の息子 (堺左千夫)|百姓中村 (安芸津広)|中村の女房 (中野トシ子)|すぎ (飯田蝶子)|つる子 (中北千枝子)|米田権之助 (中村是好)|息子英夫 (中山豊)|娘はる子 (上野明美)|サダ (本間文子)|高沢太郎兵衛 (谷晃)|女房とみ (千石規子)|深谷 (伊藤久哉)|村山多七 (柳谷寛)|夫人とし子 (若山セツ子)|北浦旅館女房しづ (東郷晴子)|額田丹平 (森繁久彌)|相原てる子 (北川町子)|椿油売りの保江 (塩沢とき)|椿油売りの初子 (木匠マユリ)|土屋 (土屋詩朗)|平手医師 (多々良純)|平手夫人 (三條利喜江)|黒坪正兵衛 (上田吉二郎)|奥村 (佐田豊)|京太の女房常子 (花井蘭子)|カヅ子の亭主梅吉 (織田政雄)|上州屋の女中おきみ (河美智子)|百姓女ヤエ (若水ヤエ子)|漁師仙吉 (広瀬正一)|半五郎の女房みつ (清川玉枝)|郵便配達夫 (瀬良明)|二人組のスリ (有島一郎)|二人組のスリ (三木のり平)|



< 「サギ師・スリ師」 の日本映画たち ~ 一夜一話掲載記事より >

◆ 「白昼堂々」  監督:野村芳太郎  出演:倍賞千恵子、渥美清

白昼堂々  渥美清、倍賞千恵子、藤岡琢也、有島一郎の映画。
  ワタカツ(渥美)はその道では著名なスリ師。よし子(倍賞)は東京で暗躍する美人スリ師。銀三(藤岡)もいいスリ師だったが改心してデパートのスリ防止監視警備員。(たぶん新宿・小田急百貨店)  森沢刑事(有島)は警視庁で永年スリ担当。
  ま、ここまでで、映画の骨組みが読めてしまうが、これが嬉しい!大衆映画の醍醐味!
  芸達者な俳優が満載のぜいたく~ッな作品。
  事件は、たくさんの笑いを誘いながら、コミカルに誠実に展開する。
  <一夜一話の映画評全文は、こちらから。>


◆ 「猫と鰹節  ~ ある詐話師の物語」  監督:堀川弘通

詐話師  大阪を舞台に、こてこてに泥臭いお笑いコメディ。喜劇のプロたちの腕前を堪能しましょう。
  詐話師(さわし)とは、誠しやかな作り話で誘い、まとまった金銭を被害者の目の前でサラリと強奪する詐欺(さぎ)専門家。話に乗せられた被害者は、その直後に我に気付く、がもう遅い。カモに数人の詐話師が絡む場合は、「劇団型犯罪」というらしい。というわけで映画はご丁寧にも、カモに一人の詐話師の場合の犯罪例と、劇団型犯罪例を楽しく見せてくれる。
  新世界(通天閣)辺りじゃ顔の白神善六(森繁)が・・・。
  <一夜一話の映画評全文は、こちらから。>


◆ 「現代インチキ物語 騙し屋 (だましや)」  監督:増村保造

だまし屋  だまし屋。口達者。舌先三寸とは言え、これは、世事や俗事に疎いとやっていけぬ職業だ。
  世間を読んで、相手の心を見透かし、臨機応変、大胆に実行する。
  「泥棒とちゃうでぇ。 相手の納得ずくで金を払わせるんや。」
  ベテランの俳優たちの、実になめらかなセリフまわしが、映画の流れを作っている。
   <一夜一話の映画評全文は、こちらから。>



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 日ごろのアクセス、本当にありがとうございます。気づけば、ブログを始めて8年目に入りました。一夜一話に掲載したい映画、まだまだあります。気の向くまま、その時の気分でやってます。遊び半分じゃなく、「全部遊び」です。

<一話一夜の方針かな>
 1)古今東西の映画を分け隔てなく並べて、気に入った映画を選びます。
     
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 3)「素」な気持ちで、「映画作品そのもの」に向き合うことが、私の遊びです。
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