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映画「事件記者」  監督:山崎徳次郎

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  例えば 「男はつらいよ」 だったり 「サザエさん」 のように、お話の舞台/背景の基本設計や、常連の登場人物像の設定が完成してしまうと、その設定を駆使してストーリーを何話も量産できる。観客は、まるで中毒患者のように何話観ても飽きないし、必ず次作を求める。つまりは、大きな「金鉱」を掘り当てたのだ。この「事件記者」シリーズもそうだ。
桜田  「事件記者」は元々、島田一男の原作、NHKの製作で1958年から1966年にかけてTV放映された、高視聴率のテレビドラマだった。この映画版(日活版)の「事件記者」シリーズは10話あり、本作が第一作目。俳優陣はテレビ版とほぼ同じらしい。 
  「事件記者」とは、一言で言えば、他紙をすっぱ抜く特ダネを追い求めて、危ない事件現場を潜り抜け、他紙よりいち早く記事や写真を獲得しようとする新聞記者たちの、エネルギッシュな群像劇だ。

  「事件記者」の舞台
  警視庁内の長い廊下の先に「桜田記者クラブ」という一室があり、新聞社各社の記者たちがたむろしている。
  主役は東京日報という新聞社の記者たちだが、ほかに大都新報、共盟通信、毎朝新聞、新日本タイムス、中央日々、の計6社がこの記者クラブに常駐し事件発生を待ち、特ダネを競っている。
  記者クラブの室内は、ブースで仕切られる6社の個別スペース(右写真の左側)と、応接セットがある共有スペース(右手前)からなりたっている。

記事すっぱ抜く

  各社は、それぞれの本社デスクからの指示を受けるキャップと、記者数名をここに常駐させていて、事件が起きれば飛び出して行く。このクラブ内で徹夜することもある。また別室にふとん部屋なる仮眠場所がある。
  記者はブース内で記事原稿を書き、電話で本社に送る。
  各社チームは、それぞれ他紙5紙の朝刊を早朝に見て、他紙のすっぱ抜きがあったかをチェックする。

朝刊  「麻薬欲しさの犯行と自供 ~船十親分射撃事件解決!  二人組喫茶店で捕まる 六方組とは関係なし・・・」
  このように本作で他紙は、東京日報にマンマと特ダネをすっぱ抜かれた。
  その呆然としたありさまは、こんな感じ。 各社が手にする新聞は、東京日報の朝刊(早刷り)だ。




組1  本作のあらすじ
  さて、本作の話を始めよう。
  新宿のやくざ組織・船十という組の親分、船木十太郎は、品川で列車を下車、プラットホームから地下連絡通路に降りる階段を降り切ったところで、見知らぬ男に至近距離で腹を撃たれた。と同時に所持していたヘロインが入ったカバンを盗まれる。実行犯は、藤本(宍戸錠)と小倉(野呂圭介)という、どの組にも属さないハグレの二人組だったが、肝心のカバンを手に入れられなかった。この上前をはねたのは、鮫洲の安アパートに住む、安というしがないチンピラであった。
  がしかし警察は、この事件をやくざの勢力争いで起きた事件とみた。そして即座に相手は六方組だろうと読む。もちろん、各社の事件記者たちは、警察の読みを先取りして、記事ネタを街で丹念に拾っていた。船十親分射撃事件が、「六方組との勢力争い」として報道されるラジオを聴いた六方組の親分はじめ組員は、身に覚えが無い報道に面食らうが、船十の殴り込みを警戒して、組をあげて襲撃の支度を始めた。
  さて、勢力争いからの事件じゃない事をいち早く嗅ぎ付け、記事にした東京日報の、イナちゃんこと伊那は、何を見、どう行動したのだろうか・・・は、観てのお楽しみ。

組2  撮影がすばらしい
  シーンは、セットはほぼ桜田記者クラブ内だけ、事件シーンはロケがほとんど。
  このロケ撮影が、すばらしい。当時の街の情景、臨場感がたっぷり。そして車の写し方が、かっこいい。好きです。




  東京日報の面々

キャップの相沢(永井智雄)            今回の功労者、伊那(滝田裕介)                                  
                            犯人逮捕のその瞬間に、犯人にポーズを要求!

組3
八田(大森義夫)ハッタさん、           ブースの中は、これでいっぱい。
八田老人とも呼ばれるクラブ最古参。
そして新人の菅(沢本忠雄)
彼らの行き付け呑み屋「ひさご」にて


各社一同、仲良くテレビ観戦。ボクシング試合の生中継を見る。
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監督:山崎徳次郎|1959年|54分|
原作:島田一男|脚色:西島大、山口純一郎、若林一郎|撮影:松橋梅夫|
出演:永井智雄:相沢(東京日報)|大森義夫:八田(東京日報)|原保美:長谷部(東京日報)|滝田裕介:伊那(東京日報)|園井啓介:山崎(東京日報)|綾川香:浅野(東京日報)|沢本忠雄:菅(東京日報)|高城淳一:浦瀬(中央日々)|相原巨典:桑原(中央日々)|山田吾一:岩見(中央日々)|外野村晋:熊田(新日本)|内田良平:荒木(新日本)|森島富美子:光子|清水将夫:西郷|久松晃:松本|二本柳寛:捜査一課長|宮坂将嘉:村田部長刑事|深水吉衛:梅原部長刑事|相馬千恵子:お近|丘野美子:やす子|宍戸錠:藤本|野呂圭介:小倉|深見泰三:船木十太郎|広岡三栄子:お貞|深江章喜:立見|

映画「事件記者」シリーズ
  この映画はシリーズ化されていました。
  映画「事件記者 真昼の恐怖」、「事件記者 仮面の脅威」、「事件記者 姿なき狙撃者」は、こちらからご覧ください。
  どれも60分の尺です。二本立て上映の際、脇役でしたが、1959~60年にかけて10本上映されました。
  一夜一話で未掲載の「深夜の目撃者」「狙われた十代」「影なき男」「影なき侵入者」「拳銃貸します」「時限爆弾」は気が向いたら掲載します。
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 日ごろのアクセス、本当にありがとうございます。気づけば、ブログを始めて8年目に入りました。一夜一話に掲載したい映画、まだまだあります。気の向くまま、その時の気分でやってます。遊び半分じゃなく、「全部遊び」です。

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 1)古今東西の映画を分け隔てなく並べて、気に入った映画を選びます。
     
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 3)「素」な気持ちで、「映画作品そのもの」に向き合うことが、私の遊びです。
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