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映画「真夜中の虹」  監督:アキ・カウリスマキ

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ラストシーン
メキシコへ密航するため、夜、ボートに乗って、停泊中の貨物船に向かう。
バックに、オーバー・ザ・レインボーがオールドファッションに流れる。
  昔 話に聞いたことがある お伽の国
  そこへは大空の虹がつれていってくれる
  お伽の国では 天はいつも青く
  いつも夢が咲き 本当の私がいる
  いつか貴方を つれていきたい
  本当の私がいる 大空のお伽の国
  そこは悲しみも死ぬこともない
  すべてが美しく 輝いている



車
  いい映画だ。
  北国フィンランドのさらに北辺、ここは、寒々としたさびれ行く炭鉱街。
  主人公カスリネンとその父は、失業し無為の日々を過ごしていた。そんなある日、父は失望のあまり自殺した。残されたカスリネンは、この街を出ることを決める。
  出たところで、どこへ行こうが、どうなるわけではないことを知りつつも、カバンひとつと、家にある白いキャデラックのオープンカーで、ひとりめざす この国の南端ヘルシンキ。
港湾0  銀行で父が残した金をおろす。札束を鷲づかみにして、少し気が軽くなる。オープンカーに吹き込む寒風も、なんのその。 ロードサイドのハンバーガーショップに駐車した。見るからに田舎者のカスリネンを、二人組の男たちは見逃さなかった。まんまと金を強奪されてしまう。無一文の彼は、港湾で日雇いの列に並び、なんとか仕事にありつく。車持ちのカスリネンは日雇い仲間に遊んでもらう。
  そんな住所不定なある日、オープンカーを駐車していたカスリネンは、交通警察官のイルメリと出会う。その瞬間にお互い、恋に落ちた。警官の職にうんざりだったイルメリは、その場で職務を放棄し、車に乗り込んでふたりは走り去る。
  イルメリは子持ちで住宅ローンを抱えている。計3人の同居生活はバラ色だが、それなりに現実の世界に直面する。イルメリは昼と夜間、2つの仕事をこなす。カスリネンはというと、頼みの綱の、日雇い斡旋の男が逮捕され、もはや職は無い。往年のキャデラックを、ディーラーに二束三文で売った。

牢屋  偶然、カスリネンは、金を強奪した男を見つけた。追いかけ追い詰めたが、その瞬間、カスリネンは警官に囲まれ逮捕され、牢屋にぶち込まれた。強盗の現行犯とされたわけだ。さあ、ここから面白い。



男  牢屋は相部屋で、ミッコネン(マッティ・ペロンパー)と出会う。イルメリから、誕生日に手作りケーキと本の差し入れがあった。「誕生日?? 今日は俺の誕生日じゃない」 それを聞いたミッコネンは、すかさずケーキの中を探すが、無い。だが、本から金切ノコギリの刃が・・・。どこか南の国に行くんだ。
式  ふたりは脱獄し、まずディーラーからカスリネンのキャデラックを強奪する。イルメリと略式結婚式を挙げる。そしてミッコネン知り合いの偽造パスポート屋でパスポートを作る。その代金とメキシコ密航費工面のため、ふたりは銀行強盗を敢行する。がしかし、事はそうそう上手く行かない。ミッコネンは偽造パスポート屋に殺される。

u2_20130723235139.jpg  ミッコネンの死に悲しみながらも、カスリネンは、イルメリとその息子を乗せて、キャデラックを埠頭へと飛ばす。 さあ、ラスト。メキシコ行きの密航船へ向かう3人。そのシーンのバックグラウンドミュージックは、かのオーバー・ザ・レインボー。冒頭の写真が、これだ。

  このラストのシーン、陳腐と言えばそうだが、アキ・カウリスマキ監督の魔法をかけられた観客は、ホロリと来ること請け合い。いい映画だね。人生うまく立ち回れない者が遠くに見る夢、ここじゃない、どこかいい所、今の自分じゃない自分・・・。 大人が観る、ほろ苦い娯楽映画。


三人オリジナル・タイトル:Ariel
監督・脚本:アキ・カウリスマキ|フィンランド|1988年|74分|
撮影:ティモ・サルミネン|
出演:カスリネン:トゥロ・パヤラ|婦人警官のイルメリ:スサンナ・ハーヴィスト|ミッコネン:マッティ・ペロンパー|イルメリの一人息子リキ:エートゥ・ヒルモカ|





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 日ごろのアクセス、本当にありがとうございます。気づけば、ブログを始めて8年目に入りました。一夜一話に掲載したい映画、まだまだあります。気の向くまま、その時の気分でやってます。遊び半分じゃなく、「全部遊び」です。

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