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映画「立候補」    監督:藤岡利充  ドキュメンタリー映画

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  政見放送で言ってることが、なんだか分かんない候補者を見かけたことありませんか。
  このドキュメンタリー映画の登場人物は、そんな人々です。
  この映画を理解するには、手始めに次のことを知ってないと、何がなんだか分からなくなる。

  1. 立候補者は、選挙前に多額の金を納めなくてはならない。 
   選挙管理委員会に供託金を納めるのが決まり。その理由は、売名行為や選挙妨害を目的とした立候補の乱立を抑えるのが目的。政治家を志すなら、その覚悟の証として多額の金を納めなさい、とまあそういう事らしい。金額は、衆院選(小選挙区)、参院選(選挙区)、都道府県知事選挙それぞれの供託金は300万円。衆・参院選(比例代表区)はそれ以上だ。
  2. 得票数が少ないと、300万円は没収される。
   落選者には、踏んだり蹴ったりだ。例えば、衆院選(小選挙区)や都道府県知事選挙では、有効投票総数の10%の得票が無いと供託金は没収だ。10%以上の得票があれば落選しても返還される。
   選挙演説して、自らの志を世に問うんだから、その内容は少なくとも10%の賛同は得られるような、まともな主張内容であろう。そういうのが「ふつう」の候補者でしょ、と公職選挙法は言っている。裏返して言えば、10%の賛同も得られない候補者は、「ふつう」じゃない人、政治家に向かない人では?、と公職選挙法は言っている。
  3. 泡沫候補とは、当選する見込みが極めて薄い選挙候補者。
   立候補する前から、もう当選が「極めて」薄い人々。この映画の登場人物はみな、この泡沫候補者だ。泡のように消え行く立候補者の俗称。しかし、選挙になると、泡のようにまた現れる。

組080  映画には、数人の泡沫候補が登場する。その一人は、立候補の手続きをして供託金を払うが、家から一歩も出ない男。別の男は、家から出てタスキをかけ街頭に立つが、行きかう人々に「よろしく」だけを繰り返し演説は一切しない男。
  この男たちに比べれば、落選15回で日本記録の羽柴誠三秀吉氏、政見放送がYouTubeで150万回再生されたという外山恒一氏は普通だ。加えて、この映画の主人公、マック赤坂氏。この男は会員数ゼロの政治団体・スマイル党の総裁。白いロールスロイスで移動する。かつて企業家として金を蓄えたらしい。柴崎氏も現役の社長だ。

  映画は、こういう男たちを追ってカメラを回すが、自らモノを言わない。見たものをそのまま伝える、まるで報道映像のようだ。辛うじて、モノを言うのは、マック赤坂氏のご子息。インタビューというか、彼の告白のよう。日ごろ父をどう見ているのか・・・、また父親の演説時に立ち会うその時、彼はなにを感じどう行動するのか・・・、観てください。
  マック赤坂氏の秘書については、もう少しツッコんだ話を聞きたかった。

マック2  立候補する、ということは言わば300万円で非日常を手に入れる手段でもある。先のタスキの男は、街頭にいて偶然に同窓生にあって感激する。「選挙活動していると、通常じゃありえない出会いがある」と彼は言っている。大阪府知事選挙に立候補したマック氏は、大阪の地下街で音楽に合わせてマラカスやタンバリンを持って踊る(左写真)、ハタマタなぜか大阪を抜け母校京大正門前で演説したりと、その行動は神出鬼没、ゲリラ的。警官から注意を受けると、自分の行動は公職選挙法で守られていると言う。

  民意の多数決できめる選挙。政治家たちの多数決で決まる政治。
  だから政党集団は、傘下に議員を多く集めたい。だから組織的になり支持基盤をしっかり固めつつ、選挙においては政党が人選した候補者を立て、政党の力で選挙支援し当選させる。この対岸にいるのが、われら泡沫候補たち。そういえば、山本太郎がいた。ひとりでも選挙に勝てる。いや、彼には支持組織があった。

橋本  印象に残ったこと。松井一郎の演説の応援に駆けつけた橋下徹。その選挙カーの脇にいる、アクション映画に出てきそうな屈強ボディーガードが怖かった。ああいうのを雇うんだ橋下さんは。  
 
  笑っていい映画。 
  まずは、遠慮なく笑おうよ。 そうしないと次が始まらない。
  笑った後に、大きな問題を受け止めよう。観た者に選挙・政治のいろいろを考えさせる映画。ただし、泡沫候補への謎は深まるばかりだ。

選挙カーに乗った松井一郎、橋下徹らと道路を挟んで対峙する、
白いロールスロイスのマック赤崎。つまり互いに、選挙演説の場所の取り合い、異常接近アラームが鳴る!
橋下はマックに対し迷惑極まりない様子、かつ見下した態度をとる。(右上の写真)

下
監督:藤岡利充|2012年|100分|
撮影:木野内哲也|
出演:マック赤坂|そのご子息|羽柴誠三秀吉|外山恒一|橋下徹|松井一郎|安倍晋三|





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