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映画「寝ずの番」    監督:マキノ雅彦 (津川雅彦)  出演:長門裕之、中井貴一、笹野高史、木村佳乃、富司純子

上師匠の妻・志津子(富司純子) 通称「ねえさん」の 通夜 にて。
「ねえさん」 は、今里新地の一番人気の芸妓だった。
当時、ねえさんを競ったのは、師匠と、鉄工所の社長(堺正章・列の先頭)だったが、師匠が競り勝った。
卑猥なお座敷小唄の応酬のあと、列を組んで騒ぐ通夜のみんな。
ふと気づくと一瞬、嬉しそうに一緒になって騒ぐ故人たちが見えた・・・。
それは、亡くなった師匠や弟子の橋次(笹野高史)だ。
みんなに紛れて一緒に踊っている。見えるかな? 











                       ライトタッチなコメディ。 語り口がスピーディで小気味いい映画。
病床の師匠と妻・志津子(富司純子)、
そして一門がベッドサイドに。

師匠0  だがきっと、ライトに思えない向きもいるだろう。なぜなら・・・

  1. 主要登場人物は、木村佳乃・富司純子以外、おじさんばっか。
  2. ストーリーは、すべて通夜が舞台で、死んだ人の思い出話ばっか。それも故人の、隠されてきた失敗談を掘り起こして、あげつらって大笑い。
  3. 卑猥な下ネタ満載。猥談や、卑猥な歌詞のお座敷小唄の数々。
  4. 死んだ人の遺体を抱き上げて立たせて、カンカン踊りをする。

  だからヘビーで濃いコメディか・・・。なるほど。
  この一門の人たちは、言っちゃいけないこと、やっちゃいけないことを、体を張って堂々とやって、大はしゃぎ。コソコソやっても大はしゃぎ。根がアホじゃないとできない。上方落語の笑満亭橋鶴(長門裕之)一門は、師匠を除いて弟子はみな落語はへたくそだが、アホは一人前なのばかり。 こんな一門の芸風? は、師匠が率先垂範してきたからこそ。

組3 0  そんな師匠が死に際に、一番弟子の橋次(笹野高史)を手招きして、かすれた小さな声で言う。そばに妻の志津子ねえさん(富司純子)がいるのに、何ごと?
  「そ ・ が見たい。」 えっ? 「そ そ が見たい。」  さすがの橋次も一歩退いて、病室の壁際でしばらく考えた。そばで聞いていたねえさんも懇願する。
  橋次は、やおら、橋太(中井貴一)を呼んで、お前の妻・茂子(木村佳乃)を借りたいと言う。勝気な茂子は、事の次第を理解し、ベッドに上がり師匠をまたいでスカートを手繰りあげた。
組4 0  何ッ! 驚く師匠。まわりの弟子たちも驚いた。師匠は「そと が見たい。」と言ったのだった。これを最後に師匠は他界する。
  師匠の通夜は、故人を偲びながらも、師匠の失敗談をさかなにバカ笑いする弟子たちの「寝ずの番」であった。
  夜が更け、酒がすすむうちに、師匠の息子で落語家の笑満亭橋弥(岸部一徳)の、父に対する恨み辛みが爆発する。これがきっかけで、師匠のオハコであった落語「らくだ」にちなんで、師匠にカンカン踊りをさせることになる。踊りながら泣く弟子たち、踊りを見て泣くねえさんたち。

  時が経ち、今度は橋次(笹野高史)が他界する。
  案の定、寝ずの番は、橋次の隠された秘密話をねたにバカ笑いで終始した。
  みんなの話につられて、故人も自分の棺に腰かけて笑っている。

ねえさんの通夜  そして不幸は続いた。
  師匠の妻の志津子ねえさん(富司純子)の死であった。
  通夜の晩に、見知らぬ弔問客(堺正章)が隣室の角に黙って座っている。タクシー運転手の風情。一門の一人が訊ねた。「あんた、誰?」 
  「実は、私、もとは鉄工所の社長をしておりまして。その頃は、私、羽振りが良くて、今里新地で毎晩のように遊んでおりました。ある日、一人の女に惚れました。その人は師匠の奥さんの志津子はんです。当時、志津子はんは今里新地一番の芸妓で。師匠も志津子はんを好きになりまして。で、師匠とは恋敵になりました。がしかし、私は負けました。」
  この男、手向けにと、三味線を借りて、今里新地で遊んだ頃の唄をひとつ歌いだす。ここから、場に乗りが出て、橋太:中井貴一と、卑猥な歌詞のお座敷小唄で歌合戦が始まる。場にツヤが出てくる。茂子(木村佳乃)も三味線を持ち出して猥歌を歌いだす。木村佳乃が歌う猥歌をご賞味あれ。
  志津子ねえさんはもちろん、先に亡くなった師匠や橋次もさぞ、喜んでいるだろう。

  マキノ雅彦(津川雅彦)監督の、俳優に対する「乗せ上手さ」が、映画全編に溢れている。
  特に、こんなに演技が上手な中井貴一をみたことがない。
  総じて、優しく、繊細な映画だ。   
  
茂子の覚悟監督:マキノ雅彦 (津川雅彦)|2006年|110分|R-15指定|
原作:中島らも『寝ずの番』|脚色:大森寿美男|撮影:北信康|
出演:笑満亭橋鶴:長門裕之|橋太:中井貴一|橋次:笹野高史|橋弥:岸部一徳|橋枝:木下ほうか|橋七:田中章|
茂子:木村佳乃|志津子:富司純子|鉄工所の社長:堺正章|
多香子:土屋久美子|美紀:真由子|小田先生:石田太郎|田所(誰も知らない遠い親戚):蛭子能収|医者:角野卓造|漁師:玄海竜二|ガイドのミリアム:イーデス・ハンソン|橋本さん:梅津栄|吉野さん:浅利香津代|バーの女(味を出してます):高岡早紀|タクシーの運転手:春田純一|弔問客:六代目桂文枝、笑福亭鶴瓶、浅丘ルリ子、米倉涼子、十八代目中村勘三郎|




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 日ごろのアクセス、本当にありがとうございます。気づけば、ブログを始めて8年目に入りました。一夜一話に掲載したい映画、まだまだあります。気の向くまま、その時の気分でやってます。遊び半分じゃなく、「全部遊び」です。

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 1)古今東西の映画を分け隔てなく並べて、気に入った映画を選びます。
     
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 3)「素」な気持ちで、「映画作品そのもの」に向き合うことが、私の遊びです。
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