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映画「フィッシュ・タンク」  監督:アンドレア・アーノルド

上2


上3  女性監督の感性がきらりと光る映画。
  映像はカラーコーディネートされていて気持ち良い。
  ストーリーはさらりとしていて、後でジンワリ系。

ベランダのミア
ミア  主人公ミア15歳は、若い母と妹の三人暮らし。郊外のアパートに住んでいる。郊外と言ってもローカルな駅があるだけの田舎だ。周辺は雑草が生える荒涼とした空き地が多い。空と風が寂しい。アパートの住人の所得はだいぶ低そう。

母  母は昼間からソファで酒を呑み、家のことなどせず無為な時間を過ごしている。親としての、娘たちへの関心はとうに失せてるようだ。母の楽しみは、自宅にアパートの人たちを呼んでのダンスパーティ。部屋の隅では男女が身体を絡ませている、そんなパーティ。ただ、娘たちにはパーティ中は出て来るなとしかる母。だから娘たちは自室に閉じこもる。二人とも久しく学校へは行っていない。時折り、児童保護の人間が訪問するらしい。

ダンス  ミアはダンスが得意。アパートにある空き室に入り込む。ここがミアの秘密のレッスンスタジオ。ひとり、ヒップホップやソウルで踊る練習をしている。ミアにとって一番充実した時間だ。
  ミアは窓から外をぼんやり眺めることが多い。こんな詰まらないところで、いつまでもツッパッていてもしようがない。自分の、この先を探している。

男  ある日、ミアが家に帰ると見知らぬ男がいた。上半身裸でキッチンにいる。今までセックスしてましたという事がすぐわかる。パーティで母と出会ったらい。こうした母の行動は娘たちにしてみれば、初めての事じゃない。だがコナーは毎日のように来て母とベッドを共にする。だから娘たちはこの男によく出くわす。 

組0  コナーはミアに対して優しい。ダンスをほめてくれる。ミアは、異性というより、コナーにちょっと父親を感じはじめた。
  で、しかし、まあ、その。母が酔いつぶれて寝てしまった夜に、ミアとコナーは一回だけの関係を持ってしまう。

  ミアはコナーに会いに彼の自宅に行った。ミアの住むアパートからだいぶ遠い。新興住宅地にある小ぎれいな家。留守で誰もいなかった、ミアは窓から家に侵入した。部屋を巡った。きれいに整頓された部屋、笑う妻子の写真、中産階級の空気。
  急いで窓から這い出した。ミアの心に、何か激しくこみ上げてくるものがある。彼女にとって、こんな感情は初めてで、わけ分からずにうろたえるミア。彼女はとっさにとんでもない行動に出た。目の前にいた近所の幼い女の子を、草深い広い空き地に連れ出した。女の子が怖がって逃げた。追いかけるミア。女の子が池にはまって、ミアは我に返る。そして女の子を家に帰してやった。

岐路  家へ帰る途中、夜が更けて来た。  
  何をしても、その後に自分の心に帰ってくる、この寂しさからは、やはり抜け出せないのだろうか。帰りの夜道、ミアはそんな思いと同時に、ある種の勇気を自身の心に感じるのであった。

馬  ミアは近所の空き地につながれた白い馬を見た。なぜか気になって馬のところに通った。だが、ある日、馬がいない。この空き地に住む若い男が言った。「あの馬は病気だった。16歳だった。」 15歳のミアにとって16歳で死んだ馬の事が心に残った。
  ミアは、いつしか、この若い男と気持ちが通じあえた。彼はジプシーだ。廃車された車をコツコツと修理して、動かそうとしていた。
  そして、ふたりはこの車で、この地を去ることにした。

別れ  旅立つ当日、母はひとり部屋でミアのCDに合わせて踊っていた。「そのCD、あげる。」と言うミア。無言の母。ミアは、その場を去ろうとしたが戻って、母と踊った。妹もあわせて踊った。みな無言だ。
  数分経って曲の途中で、ミアは家を出た。
  追いかけてくる妹は言った。「彼、ジプシーでしょ。」
  その言葉に返事せず、ミアはわずかな荷物を持って彼と旅立って行った。


下原題:Fish Tank

監督・脚本:アンドレア・アーノルド|イギリス、オランダ|2009年|123分|
撮影:ロビー・ライアン|
出演:ケイティ・ジャーヴィス:ミア|マイケル・ファスベンダー:コナー|カーストン・ウェアリング:ジョアン|ハリー・トレッダウェイ:ビリー|レベッカ・グリフィス:タイラー|





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