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映画「豚と軍艦」  監督:今村昌平  主演:長門裕之、吉村実子

上

港
  この映画の中に、「ここは東洋一の軍港だ。」と言うやくざのセリフがある。
  舞台は、神奈川県横須賀市にある軍港の街。アメリカ海軍第7艦隊が駐屯する横須賀海軍施設の、水兵相手の歓楽街だ。映画は1961年製作なので、60年安保闘争の時代、そして横須賀はまさにベトナム戦争さ中のアメリカの軍港。こんな中で話は展開するが、映画は歓楽街に生きる人々だけに注目し、時代に背を向けたまま終わってしまう。

組  街にはどぶ板通りという米兵向けの歓楽街の一区があって、ネオンサインは英語。呼び込みの店員は、拙い英語で道行く水兵たちに声をかける。たぶん、ここで遊ぶ兵隊は下級の位の軍人たちだろう。
  軍艦一隻にどれほどの水兵が搭乗しているのだろうか。艦隊が帰港すれば、街は大賑わいだ。一方、売春防止法(1956年)後の話だから、アンダーグラウンドで営む売春の店が路地裏にある。店は街のやくざ・日森組が仕切っている。表通りで客引きをしているのが、下っ端の若造・欣太(長門裕之)だ。この店の近所にある呑み屋に若い女が働いている。春子(吉村実子)だ。欣太と春子は相思相愛。欣太は春子とこの街で一緒になる事を考えている。一方、春子は欣太にヤクザをやめるように説得している。川崎に行って、貧しくてもまともな生活を始めよう、そう欣太に言っている。


  と、ここまでが「軍艦」の話だとすれば、「豚」とは・・・。
  海軍施設から多量の残飯が出る。この残飯を売ろうとする男がいる。収益構造を変えたい日森組は、この男の話に乗り、残飯の払下げで養豚場を始める計画。たくさんの豚を用意し、大きな豚小屋も海べりに完成した。あとは多額の金を用意しなければならない。つまり残飯払下げの前金だ。この支払いのため、日森組は組員総出で、街のあちこちから強引に金を集めた。だが、残飯の話を持ち出した男は、収めた金を抱えていつの間にか外国へ去ってしまった。
組20  さて、話は急展開。組が、組長一派と謀反一派に分裂。謀反一派は豚を盗んで金に換えようと、欣太を先に養豚場にやって豚をトラックに積ませていた。そこへ組長一派が現れ、欣太は捕まる。実は、組長一派も豚を確保しようとトラックを並べてやって来たのだ。殴られ気を失った欣太は豚と一緒に荷台に乗せられ走り出した。そこへ謀反一派のメンバーが数台のトラックに分乗してやって来た。クソッあの野郎! 横須賀の夜、トラックのカーチェイスが始まり、やがてネオン輝くどぶ板通りで幾台ものトラックが止まった。街は騒然としだす。警察も来た。見物人がどんどん増えだす。

  その間に目を覚ました欣太は、荷台に機関銃を見つける。 どぶ板通りのど真ん中で、組長一派と謀反一派がにらみ合いながらも、事を穏便にしようと大人の交渉をし始める。だが、一本気な欣太は、突っ走る。組長一派に機関銃を向ける。逃げ惑う両派の日森の組員たち、街の人々。そして機関銃が火を噴いた。撃たれる欣太。機関銃は街のネオンサインをバリバリと打ち壊していく。片や、無数の豚がトラックの荷台から飛び降り、街中に豚があふれだす。路地に逃げた欣太は、ついに息を引き取った。

  後日、欣太を失った春子は、颯爽と路地を抜け、ひとり横須賀を後にするのであった。

  敗戦後の1945年に日本を占領下に置いた連合国軍。横須賀の軍港は、連合国軍のアメリカ海軍に接収され、アメリカの軍港となる。占領終了後は、1952年発効の「旧・日米安保条約」の批准を受け、アメリカ海軍が引き続き軍港とし、今に至っている。

下監督:今村昌平|1961年|108分|
脚本:山内久|撮影:姫田真佐久|
出演:日森組・欣太:長門裕之|春子:吉村実子|
日森組の親分・日森:三島雅夫|日森組・病気持ちの兄貴・鉄次:丹波哲郎|日森組・星野:大坂志郎|日森組・大八:加藤武|日森組・軍治:小沢昭一|春子が働く店の女将・勝代:南田洋子|菊夫:佐藤英夫|欣太の父親・貫市:東野英治郎|残飯払下げの話を持ってきた男・崎山:山内明|春子の姉・弘美:中原早苗|春子の母ふみ:菅井きん|横須賀に帰って来たやくざ・春駒:加原武門|九郎:青木富夫|矢島:西村晃|妻つね:初井言栄|宮口医師:高原駿雄|ジョージ:神戸瓢介|増山:矢頭健男|陳:殿山泰司|王:城所英夫|エプロン婆さん:武智豊子|番外地の警官:河上信夫|築港の警官:玉村駿太郎|電工会社の女工:中川一二三|患者:福田文子|




映画ピックアップ ~ 一夜一話より

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 日ごろのアクセス、本当にありがとうございます。気づけば、ブログを始めて8年目に入りました。一夜一話に掲載したい映画、まだまだあります。気の向くまま、その時の気分でやってます。遊び半分じゃなく、「全部遊び」です。

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 作品自体が語りかけてくること以外の額縁情報、つまり宣伝文句、その受け売り文章、受賞実績、監督発言、出演俳優がどうしたとか、そして映画評論本やらは、はなから無視して、自分の眼で観るようにしています。

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