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映画「土」  監督:内田吐夢  1939年

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  明治時代の小作農の家族を描く映画。
  母を亡くした一家は、父・勘次と長女のおつぎのふたりで働いている。家には、年老いた母方の祖父・卯平と幼い与吉がいる。貧しい。米はほとんど自分たちの口に入らない。
組1-1  勘次一家は、地主から耕地を借り入れる一方、河原の荒地にクワを入れ、木の根っこや石を取り除いて自作地を作ろうとしている。勘次は、義父・卯平が作ったという、借金を抱えている。だから前々から、勘次は卯平に冷たい。卯平は庭の隅に建てた小屋にひとり寝起きしている。村人たちは、親を大切にしないこの男に批判的だ。
  そんなギクシャクした雰囲気を何とかしようとしているのが、おつぎだ。ふたりの間に立って事を収めている。例えば、勘次が野良に出たあとに、おつぎは内緒で卯平と与吉にゆで卵を用意する。勘次は家人が卵を食うことを良しとしない。卵は、一家の大切な換金商品なのだ。
  だが、勘次は村一番の働き者だ。小作料として地主に納める何俵もの米俵を、その秋一番に地主に届けるのは毎年、この勘次だ。

火事  ある風の強い日、卯平の小屋から出火し、母屋も燃え出した。村人大勢が消火に駆けつけたが全焼してしまう。卯平と与吉が小屋にいる時に、与吉が捨てたマッチが原因だった。勘次はショックで途方に暮れ、我を失いふさぎ込んでしまう。卯平と与吉はやけどを負い、村人の家で手当てを受け、卯平は伏せっている。
  こんな状況の中でも、おつぎは努めて明るく振る舞い、一家を救おうとする村人たちと共に、勘次を奮い立たせようとする。
  一方、快復した卯平は、自責の念にかられ雪の中で自殺を試みる。運よく倒れている卯平をおつぎが見つけて助かった。この一件で、勘次は我に返った。そして卯平に対する態度を反省する。
  そして、春。勘次一家は、今年も田んぼに出、畑を耕すのであった。

祖父  1939年、昭和14年の映画。リアリティある映像と自然な人物表現。当時としては画期的だったのだろう。70年以上たった今、画期的であったことは普通になったが、カメラアングルや、卯平役の俳優・山本嘉一の存在感は注目すべきだろう。また、おつぎ役の女優・風見章子の可憐さは記憶に残る。

監督:内田吐夢|1939年|92分|
原作:長塚節|脚本:八木隆一郎、北村勉|撮影:碧川道夫|
出演:小杉勇:勘次|風見章子:おつぎ|ドングリ坊や:与吉|山本嘉一:卯平|
見明凡太郎:平造|山本礼三郎:兼博労|鈴木三右衛門:源さん|藤村昌子:たみさん|村田知栄子:地主の内儀|阪東三江紫:雇婆かつ|高真理:雇女かつ|沢狂介:野良番頭彦造|三井智恵:女房よしえ|桜美代子:その娘アヤ|米倉勇:作男熊吉|寺井郁男:作男作太郎|竹石喬介:作男芳一|長尾敏之助:駐在巡査|金子春吉:渡し船頭|潮万太郎:周旋人善公|美川かつみ:おひで|京町みち代:お梅|松平富美子:すみ子|西春彦:商人安五郎|加藤章:若者為治|井上敏正:若者助次郎|泉静治:若者善太|高野二郎:若者金次郎|吉井莞象:雨乞の神主|田中早苗:村の女房おとめ|小森鈴子:村の女房ひさ|菊池良一:村人八兵衛|高見寛:村人寅吉|伊達満:村人六蔵|河野憲治:村人広吉|冬木映彦:村人富七|堀江幹二:村人金次|鹿島はぎ子:村の娘|西川静子:村の娘よし子|戸田春子:老婆お筆|紅沢葉子:老婆おあさ|赤星瞭:村人徳市|飛田喜佐夫:たみさんの伜|


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 日ごろのアクセス、本当にありがとうございます。気づけば、ブログを始めて8年目に入りました。一夜一話に掲載したい映画、まだまだあります。気の向くまま、その時の気分でやってます。遊び半分じゃなく、「全部遊び」です。

<一話一夜の方針かな>
 1)古今東西の映画を分け隔てなく並べて、気に入った映画を選びます。
     
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 3)「素」な気持ちで、「映画作品そのもの」に向き合うことが、私の遊びです。
 作品自体が語りかけてくること以外の額縁情報、つまり宣伝文句、その受け売り文章、受賞実績、監督発言、出演俳優がどうしたとか、そして映画評論本やらは、はなから無視して、自分の眼で観るようにしています。

 4)観て気に入らない映画、つまんない映画は、基本掲載しません。
 だから、観たけど掲載しない映画は多いです。巨匠の名作と言われる映画も、気に入らなければ掲載しません。また、名物にうまいモノなし、ということも実感します。

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