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映画「僕は天使ぢゃないよ」 & 「あがた森魚」のコンサートに行ってきた。

  あがた森魚が監督した「僕は天使ぢゃないよ」という映画と、関連して、あがた森魚のコンサートのご報告です。


  映画 「僕は天使ぢゃないよ」
上  実にマニアックな映画だ。
  1974年のこの映画を表わすに、「昭和」や「フォーク」だ、などという形容詞を言うのは、やめてくれ。
  ・「昭和」と一口に言うが、昭和は64年もあって、戦後の昭和は45年もある。少なくとも1970年代と言ってくれ。 加えて、1970年代前半の、政治経済的背景や同時代的空気を知って、とりわけ音楽・漫画などの文化の魅力を楽しんでから言ってもらいたい。
  ・「フォーク」と一口に言うのは、やめてくれ。
  あがた森魚という男がフォークギター1本で歌うのは、さだまさしや吉田拓郎と同じだ。また、若くて貧しい男女を暗く歌う、この頃のあがた森魚の歌は、「神田川」のかぐや姫(南こうせつ)と似ている。
  だが、この程度の認識でこの映画を観ても、よくわからないだろう。
  そう、つまり、次に言うが基本的に違うんだ。

組1-0  まず、この映画の原作、林静一の漫画を見て欲しい。 そして漫画雑誌「ガロ」(1964-2002年・青林堂)を楽しんでほしい。それからこの映画を観ても遅くはない。(蛇足だが、青林堂創業者の長井勝一氏が、この映画に出演している。)

  次に、この映画の音楽を「フォーク」と一口と言わないで欲しい。
  「僕は天使ぢゃないよ」の背景にあるのは、日本のミュージック・シーンにおけるロックの台頭だ。最初期、まずは、フォーク歌手(シンガー・ソングライター)のバックバンドとして、ロックがステージに上がる。そして次第に、そのロックバンドが、自分たちで曲や歌詞を自作自演しだした。例えばサザンオールスターズって感じかな。
  実のところ、フォーク歌手は、オリジナル曲は作れたが自分じゃできない「ロック」のサウンドが欲しかった。片や、ロックバンドは、外国のかっこいいサウンドはコピー再現できたが、当初「自分たちの曲」は作れなかった。表現者と演奏者、それぞれの出自が違った。つまり、フォークとロックが互いに刺激し合い、その音楽性が急成長した時期を背景に、この映画があった。

  さて、この映画の音楽バックグラウンドを、下記の<映画データ>にある「音楽」という項目を見て確かめて欲しい。松本隆、大瀧詠一、・・・とたくさんの名が並んでいる。彼らの音楽を楽しんでから、この映画を観ても遅くはない。
  とりわけ、「はちみつぱい」と「ティンパウン・アレイ」というロックバンドに注目。一言で言えば、「はちみつぱい」とは、「ムーンライダーズ」の前身、「ティンパウン・アレイ」とは、元「はっぴいえんど」の細野晴臣、鈴木茂がいる。その「はっぴいえんど」には、「僕は天使ぢゃないよ」に参加している松本隆、大瀧詠一もいた。細野晴臣はのちにYMOの一員になって時代を継いでいく。
  当時、ミュージシャンの横のつながりは強かった。例えば、あがた森魚はロック人脈をはじめ、プラス映画や漫画の人脈にも通じていたようだ。そんなジャンルの総体が当時、何となく文化らしきものの部分を作っていたのかもしれない。

  その上で、その上でだ。この映画、つまらない。でも、関心ある方には、観て欲しい。
  当時は、音楽や漫画、そして紅テント・黒テントなどの芝居等々の文化は、今じゃ考えられないほどに凄い活気があった。 そんな残り香を楽しもう。
  
<映画データ>
監督・脚本:あがた森魚|1974年|86分|
原作:林静一「赤色エレジー」|撮影:宮崎哲郎|
音楽:あがた森魚、松本隆、大瀧詠一、矢野誠、西岡恭蔵、友部正人、はちみつぱい鈴木慶一、武川雅寛、岡田徹、駒沢裕城、本多信介)、ティンパウン・アレイ細野晴臣、鈴木茂、林達夫)|
出演:あがた森魚:一郎|斉藤沙稚子:幸子|緑魔子:倖子、一郎の母|桃井かおり:悠紀|横尾忠則:荒川|大瀧詠一:大滝|鈴木慶一|友部正人|西岡恭蔵|泉谷しげる|三上寛|井上堯之|山本コウタロー|下田逸郎|中川五郎|渡辺勝(元・はちみつぱいメンバー)|岡本喜八|長井勝一|
  言い残したことを、この辺に書いとく。
  フォークとロックの話。Bob DylanとThe Bandの関係、ザ・バンドの名前がまさにフォークとロックの関係を言ってるかもしれない。


  ライブコンサート あがた森魚  ~神奈川県・座間ハーモニーホール
131117.jpg  ほんとに久々にロックのコンサートに行ってきた。
  正直なところ、主役のあがた森魚には関心はなく、そのバックバンドを聴きたかった。

  彼らのサウンド、いいいい、実に巧い、味がある演奏、ほとんどが還暦過ぎた人達。
  このメンバーのうち、上記の映画「僕は天使ぢゃないよ」には、次の人が関係していた。元・はっぴいえんどの鈴木茂、元・はちみつぱいの武川雅寛、駒沢裕城。そして矢野誠の計4人。
  あわせて、元・はちみつぱい、現・ムーンライダーズの鈴木慶一の弟で、ムーンライダーズ創設時からの鈴木博文、後から加入の白井良明、そしてドラムの矢部浩志の計3人。以上7名で構成されたバックバンドだった。
  演奏された曲のうち、いくつかは、はちみつぱい/ムーンライダーズの持ち歌だ。特に「大寒町」(作詞・作曲:鈴木博文)が涙! 鈴木博文もあがたと一緒に歌った。メドレー曲はアレンジがいい。さすがムーンライダーズ。
  あと、武川雅寛のトランペットが良かった。ニューオリンズ・ジャズ風のオールドタイミーな音色に加えて、チンドン風な陰り、さらにはソウル・サウンドのブラス隊的なフレーズ。
  おっと、忘れちゃいけない鈴木茂。しっかし、変わんないな、この男! 駒沢裕城も。以上。

組3-0  出演:あがた森魚(Vo., A.G.)|駒沢裕城(Pedal Steel G.)|白井良明(G.)|鈴木茂(G.)|鈴木博文(B.)|武川雅寛(Vn.,Tp)|矢野誠(Pf., Key.)|矢部浩志(Dr.)|


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Comments: 1

やまなか URL 2013-12-03 Tue 07:34:49

いやいや、実にそうですね。


> おおっ、懐かしい。あがた森魚、好きです。やまなかさんが仰るように、この映画はつまらない。かなり小っ恥ずかしい。でも、「こういう風景」をとどめたという意味で、とても印象に残っています。わたしは楽曲「赤色エレジー」〜林静一の漫画というプロセスでした。あがた森魚がA児へ、はちみつぱいがムーンライダースへとそのスタイルを変化させていった過程も時代を反映させていました。

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