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映画「ハックル」  監督:パールフィ・ジョルジ  ハンガリー映画

  いい映画ですね。
  ハンガリーの小さな農村、そこで進行する複数の毒殺サスペンス。
  ただし、この映画の趣向は、普通のサスペンス娯楽作品とはだいぶ異なります。

組0  映画は、村人達の極々普通の日常生活の仔細や、村に生きる動植物の生態を、ミクロの視点で複眼的にドキュメンタリー風に描いています。かつ村人や動植物の生態シーンはたくさんあって、それぞれは短い。その各シーンは、大した関係性なくパッチワークされて次々に映し出されます。

  そして映画は観客に要求します。村外の人、とりわけ都会の人や外国人が、この田舎を理解しようとする時、他の受け売り情報の助けをかりるのではなく、観客自身の眼で村の様子を観察するよう、映画は観客を誘います。
  そのため、カメラワークやらは、なかなか凝って作られています。セリフは無くバックグラウンド音楽も無い。ただし、老人のしゃっくり音や、自転車の車輪のスポークが何かに触れて出す音や、鳥・虫・カエルの鳴き声を、ミニマル・ミュージックに仕立てています。(パターン化した音やフレーズの反復)
  映画が進むうちに観客はさまざまなシーンの中で、ある事件に気が付き始めます。毒殺サスペンス。しかし気付かない方は、残念ながらつまらんドキュメンタリーにしか見えないでしょう。ただしラストで謎解きがあります。

  さらに映画の終りのほうのシーンで、村の小川にかかる小橋の下を、一機の軍用ジェット戦闘機が超低空飛行で潜り抜けます。その爆音で村全体は地震のごとく揺れます。不思議な作りのサスペンスを観て来た観客に、これまでとは全く異なるメッセージを、映画はジェット機を使って、いきなり観客に投げつけてきます。
  地面の下のモグラ、池の底の魚、地上の人と動物、関連するこれらのなかでの弱肉強食。
下  そんな環境に住む人間だけの世界で、女たちが密かに進める毒殺サスペンス。要らない夫、要らない年老いた父親。毒入りだと知らずになめる子猫、幼い女の子。そんな様子を、高い煙突の上からコウノトリが眺めています。そして、その上、一段上のレイヤーで繰り広げらているのは国家戦略、戦争・・・。
  一度で二度味わう映画です。
  2000年製作のフランス映画、ミヒャエル・ハネケ監督の「コード・アンノウン」も、「ハックル」と同種の、断片化された映像パッチワークの手法だった。ご興味あるかたは、どうぞこちらから。

原題:Hukkle (意味:しゃっくり)
監督・脚本:パールフィ・ジョルジ|ハンガリー|2002年|75分|
撮影:ポハールノク・ゲルゲイ|
出演:バンディ・フェレンツ:Cseklik bacsi|ラーツ・ヨージェフネー:Baba|ファルカシュ・ヨーゼフ:Randor|ナジ・フェレンツ:Mehesz|ヴィラーグ・フェレンツレー:Amehesz felesege|


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