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映画「馬鹿が戦車でやって来る」  監督:山田洋次  (ばかがタンクでやってくる)

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  奇妙な村の奇妙なお話。少しビターな喜劇です。
  戦前、サブ(ハナ肇)の父親は小作だった。父親は、勤勉な働きぶりで地主の仁右衛門(東野英治郎)から一目置かれていた。また少年サブと仁右衛門の末娘・紀子(岩下志麻)とは、身分を越えて幼なじみだった。
  そして戦後、農地改革でサブの家は自分の土地を得た。兵隊から帰ったサブは父親を亡くしたが、耳の遠い老いた母親(飯田蝶子)と知的障がいの弟(犬塚弘)を養うべく、貧しくも勤勉に働いた。一方、農地改革によって不満を抱え込んだ地主の仁右衛門は、偏屈になって行った。これを嫌い、彼の子達は家を離れ、妻を亡くし、屋敷には末娘・紀子だけが残った。だが、その紀子は二年、病に伏せっている。
  今になって仁右衛門は、小作の土地となった元・自分の畑を少しでも取り返したい。そんなわけで、畑の境界線について仁右衛門とサブは犬猿の仲となっていた。
  周りの村人たちは、このふたりの動向に聞き耳をたてチュンチュンさえずる噂スズメ。サブは言いたいこと言う一風変わった男でケンカっ早い。多勢に馴染まない。なんで、地主や村会議員のおかげを享受する彼ら村人たちは、戦後、サブに冷たい。そんな村人と接するサブは、ことあるごとに、荒っぽくなる。
  やっと病から回復した紀子は、村の様子をみかねてサブの家を訪れる。だがサブは、嬉し恥ずかしモジモジするばかり。根は純情な男のようだ。

  ある日、とある事で、仁右衛門とサブの犬猿の仲がエスカレートする。サブは粗末な納屋に閉じこもって一向に姿をみせなくなってしまう。そんな1年が過ぎようとするその夜、何やら不穏な轟音が村に鳴り響いた。翌朝、不審に感じた村人たちは、あちこちで立ち話。ひとりの村人が、サブの納屋が家の前の道の真ん中まで押し出ているのを目撃。駐在所の警官はじめ村人がサブの家に集まった。その時、納屋が揺れだしうなり始め、中からなんと、戦車(タンク)が走り出てきた。驚く人々!! タンクから顔を出したのは、意気揚々なサブであった。
  翌日、サブはタンクに乗って村を走り回り、怨みの地主の屋敷に体当たり突入し、家を壊した。仁右衛門は猟銃で迎え撃ったが、さすがに腰が抜けた。仁右衛門との、その場のやりとりで、サブを激怒させた「とある事」の張本人は村会議員の市之進だと判明、続いてその屋敷に突入した。
  一方、この騒ぎのなか、サブの弟・兵六(犬塚弘)が火の見やぐらから落下して死亡してしまう。
  その後のある夜、村人たちはまたタンクが村を走行する音を聞いた。翌朝、人々が見たものは、タンクの走った跡が、畑を横切り丘をのぼり山を下っていた。不思議に思う村人3人が、タンクの行方を追うと、タンク跡は山を下り町を横切り海の方へ向かっていた。そして浜辺に出ると、その跡は、なぎさから海の中へと消えている。3人の村人は、呆然といつまでも海を眺めていた。そして・・・。
  
  俳優は、みなベテランばかりで、まったくもって危なげない。郵便配達夫の小沢昭一が、余計なことを言い出す余計な男を演じていて、うまい。この映画、ほかに無い荒唐無稽な話なので、観る者は何かの解釈を当てはめて、理解しやすくしたいところだが、それをやっちゃ、観る楽しみが半減します。すなおに観ましょう。
  なお、タイトル名「馬鹿が戦車でやって来る」の戦車は、タンクと読ませている。また、映画冒頭のタイトル表示では「ハナ肇の 馬鹿が戦車でやって来る」となっていて、「ハナ肇」が付いている。 

下監督・脚色:山田洋次|1964年|93分|
原案:団伊玖磨|撮影:高羽哲夫|
出演:サブ(ハナ肇)|兵六(犬塚弘)|とみ(飯田蝶子)|地主・仁右衛門(花澤徳衛)|村会議員・市之進(菅井一郎)|赤八(田武謙三)|たね(小桜京子)|九作(常田富士男)|茂十(天草四郎)|郵便配達夫(小沢昭一)|床屋の親爺(渡辺篤)|百田巡査(穂積隆信)|紀子(岩下志麻)|紀子の担当医・新吾(高橋幸治)|中年の釣り客(松村達雄)|若い釣り客(谷啓)|釣り船の船頭(東野英治郎)|


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 日ごろのアクセス、本当にありがとうございます。気づけば、ブログを始めて8年目に入りました。一夜一話に掲載したい映画、まだまだあります。気の向くまま、その時の気分でやってます。遊び半分じゃなく、「全部遊び」です。

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