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映画「老人の恋 紙の力士」  監督:石川均

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  いい映画、上級の喜劇です。R15+ 指定のハッピーエンドもの。
  ここは、茨城県結城市の近郊。住宅街のはずれ、そばには田んぼが広がり、竹やぶがある。
  石川省吾(ミッキー・カーチス)は妻に先立たれて、この一軒家で一人住まい。息子は結婚して、もっと市街に近い所に別居している。
  省吾は、解離性同一性障害(多重人格障害)らしい。家にいるはずが、意識がふっつり途切れて、外を歩いている。そして田んぼのあぜに倒れ込む。近所の人からの連絡で、長男夫婦が駆けつける。そんなことが度々ある。夫婦はイヤイヤながら同居を考えざるを得ないが、とりあえず住込みの老人介護ヘルパーを付けようということになった。話は、ここから始まる。 

  省吾の担当になったユミ(丸純子)がやって来た。本人曰く、老人好き。ツッケンドンな嫁に比べ、はるかにやさしく応対してくれる。息子夫婦にペルパーを押し付けられた事への反感と、「老人介護」そのものに嫌悪感があった省吾も、徐々にではあったがユミのふるまいに心が緩んでいく。そして、孤独感から解放され、実に久々に心が安らぐのであった。

  省吾は少年の頃、紙で作った力士で相撲とらせる紙相撲ゲームに熱中する、そんな一人遊びが好きな子供であった。そののち青年になり、少々努力して社会性を持ち、家庭を持ち、愚息ながらも独り立ちして、ま、そこそこの人生を送って来た。そして老後、やがて妻の死、一人住まい。彼はまた、ひとりで紙相撲ゲームに熱中するようになっていた。突如、居間に力士がぬっと現れて省吾と会話する、そんな幻視も見るようになった。だが、彼は、これはこれで嬉しかった。話相手がいるのだから。

  そんなことだから、省吾はユミを大切にした。いや、省吾も老人とは言え男であった。心が騒ぐこともある。だが見識はあった。しかし、ユミは、その一線を越えるか越えないかの微妙な態度をとるように、省吾には見えた。
  ユミは、実は介護する老人から金を巻き上げる犯行を、男に指示されて繰り返してきた女だった。「でも、じいちゃんを好きになったことは本当」だとユミは思っている。
  ある日、その男が省吾と面会する。ゆすりに来たのだ。省吾は、男が言い出した金額をはるかに超えた額を言った。不意を突かれて逆にあわてる男。「これで決着だ。ユミとは縁を切れ。ユミは養女として引き取る。」省吾は男とユミに言った。この武士のようなアッパレな態度に、例の幻視の力士も驚いて、竹やぶの影から省吾を褒めるのであった。 だが、息子夫婦が見守るなか、ユミは省吾にわざと汚い捨て台詞を吐いて、家を出て行った・・・。
  そして一年半のち、省吾がひとり庭いじりをしていると、ユミが笑顔で現れた。

  ミッキー・カーチスがいい味だしている。矢口史靖監督の映画「ロボジー」でも主演でした。 最後に、省吾が見る幻視のシーンを楽しもう。

下監督・脚本:石川均|2010年|70分|R15+ 指定|
撮影:下元哲|
出演:石川省吾(ミッキー・カーチス)|ユミ(丸純子)|マグロ海(勝矢: 大日本紙相撲協会横綱。省吾の妄想に登場)|ユミの背後にいる男(勝矢)|省吾の息子(奈良坂篤)|息子の妻( 井手規愛)|山田(吉田大蔵: 近所の老人)|物々交換屋の青年(加藤潤)|


映画ピックアップ ~ 一夜一話

2mm第2弾のテーマは、「やはり、大人の映画ってある。」 

  やっぱり、大人の映画ってある。
  もちろん、R-18指定みたいなことじゃない。
  お子ちゃまじゃ、映画が言ってるその奥が理解できない。仕方ない。
  偉そうに言うわけじゃない。 こちらからどうぞ。

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 日ごろのアクセス、本当にありがとうございます。気づけば、ブログを始めて8年目に入りました。一夜一話に掲載したい映画、まだまだあります。気の向くまま、その時の気分でやってます。遊び半分じゃなく、「全部遊び」です。

<一話一夜の方針かな>
 1)古今東西の映画を分け隔てなく並べて、気に入った映画を選びます。
     
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 3)「素」な気持ちで、「映画作品そのもの」に向き合うことが、私の遊びです。
 作品自体が語りかけてくること以外の額縁情報、つまり宣伝文句、その受け売り文章、受賞実績、監督発言、出演俳優がどうしたとか、そして映画評論本やらは、はなから無視して、自分の眼で観るようにしています。

 4)観て気に入らない映画、つまんない映画は、基本掲載しません。
 だから、観たけど掲載しない映画は多いです。巨匠の名作と言われる映画も、気に入らなければ掲載しません。また、名物にうまいモノなし、ということも実感します。

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 美術や音楽、書籍や温泉の記事も増やしたいと思っています。よろしく。  

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