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映画「キッチン・ストーリー」  監督:ベント・ハーメル

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  北欧の、とても地味でスローな喜劇映画。
  凛とした空気のなかで紡ぎ出される細やかな情景と、歳を重ねた男の「不都合な友情」が描かれている。

  理想のダイニングキッチンのあり方を研究する、スウェーデンの家庭研究所という団体が映画の背景。調査のため、この研究所から一般家庭へ派遣された男と、調査対象になった男との交流が、奇妙な喜劇仕立てになっている。
  同時に、家庭研究所という団体の進み過ぎた官僚化や、調査を実施すること自体が目的化している様子や、統計分析の崇拝を、映画はあざ笑っている。さらに、研究所で働く中間管理職とその部下の男たちの、実直なればこその悲哀を描きながら、これに対比して、調査対象になった独居独身男性の貧しくも自由な精神を描いている。

  時は1950年代。ダイニングキッチンでの調理・食事の行動調査が、ノルウェーの独身男性宅を対象に行われていた。調査元はスウェーデンの家庭研究所というお堅い組織で、調査員を多数雇い各地の独身者の家へ派遣していた。主人公の調査員・フォルケの調査対象は、一軒家に住むイザックという年配であった。
  調査は長期間に渡るため、牽引してきたキャンピング・トレーラーを調査対象の家のそばに置いて、その中に住み込んで実施されている。また、対象者に関与する事を調査員には厳しく禁止している。禁を侵すと即刻、クビ。何がダメかと言えば、調査対象者に話しかけること禁止、一緒に食事すること禁止など。つまり、調査員は、いわば透明人間にならなければならない訳。これが映画の笑いどころ。かわいそうに調査員は一人、小さなトレーラーハウスの中で、瓶詰、缶詰、ソーセージなどを寒そうに食べている。
  なにしろ、ここは北欧。調査対象の家は、一面雪景色の辺鄙な片田舎にある一軒家が多い。厳しい仕事。こんな仕事だからか、いろんな事情を抱えている男が多そうだ。映画は詳しく語らないが、調査員・フォルケも、独身で何かを抱え込んでいるのだろう。

下00  さてさて、フォルケとイザック、ふたりの友情が結ばれるまでの奇妙ないきさつと終焉をご覧ください。
  ただし、話の奥行きに手が届かないと、意味不明な映画になる可能性があります。
  この映画も大人だから分かる「大人の映画」だと思う。

監督:ベント・ハーメル|ノルウェー、スウェーデン|2002年|95分|
脚本:ベント・ハーメル、ヨルゲン・ベリマルク|撮影:フィリップ・オガールド|
出演:ヨアキム・カルメイヤー(イザック)|トマス・ノールシュトローム(フォルケ)|ビョルン・フローバルグ(グラント)|

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2mm第2弾のテーマは、「やはり、大人の映画ってある。」 

  やっぱり、大人の映画ってある。
  もちろん、R-18指定みたいなことじゃない。
  お子ちゃまじゃ、映画が言ってるその奥が理解できない。仕方ない。
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