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映画「FM89.3MHz」  監督:仰木豊

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組0










  新宿ヤクザの笑える喜劇です。
  任侠映画は好みませんが、これは大丈夫。
  新宿歌舞伎町のヤクザ大川組の工藤準次は、15年の服役を終えて新宿に帰って来た。組長の息子の敵討だった。工藤は、とにかく一本気な男。しかし、15年は永かった。新宿はあまりにも変わってしまっていた。

  組の新しい事務所に、出所挨拶に行って工藤が感じたこと。それは、兄弟分の川端が組を牛耳っていること。自分が厄介者扱いされていること。だが、そんななかで組長だけは、「お勤め、ご苦労だったな。」と工藤をていねいに迎えた。ほかに、知った顔がいない。こりゃ、工藤は歌舞伎町の浦島太郎。
  さらに工藤のこの先を左右したのは、服役中に成立した組長と川端の関係。映画後半で語られるが、川端は大川組ではご法度のはずのシャブの商いをしていた。これがバレて工藤が川端に詰め寄るが、川端はそしらぬ顔で言う。「組長もご存知ですよね。」  組長 「いや、俺は知らん。」 組の経営を組長は川端に丸投げ、川端は組長のメンツを最低限 保ちつつ、組織の実態を牛耳る。持ちつ持たれつ、腐れ縁。うーん、どの世界でもありがちな光景ですね。

33.png  さて、そんな訳で工藤が新たにあずかったたシマは、ミニFM局「FM89.3MHz」、これだけであった。
  「どうにかしてやりたいところだが、今は組のシマは全部、川端が仕切っていてな・・・。」 組長はすまなそうに弁解した。話はここから展開します。
  あっけにとられた工藤は考えた。かつての威勢を無くした組長、成り上がった川端、厄介者に成り下がった自分。だが気を取り直し、そのFM局とやらに挨拶に行ってみた。そして、このシマを返すつもりで組長に会った。しかし、さすが腐っても鯛、組長の方が一枚も二枚も上手であった。
  「ヤクザがラジオやるなんて、虎が玉乗りするようなもんですぜ。」
  「わっはっは、面白い事言うな。何ならお前がしゃべってみたらどうなんだ?」
  「勘弁してください。あのシマはお返しいたします。」
  「なんにもしてねえのに、サジを投げるとは、お前も男が下がったな。」
  「そういう事ですか?」
  「ラジオだろうが玉乗りだろうが、お前にしか、できねえことってあるだろう。四の五の言う前に、やるだけやってみろ。」
  横から「カッコ悪い」 と、その場にいた組長の孫娘に言われた。男・工藤、立つ瀬なく、引くにも引けぬ、やるしかない。

組000  さてさて、虎の玉乗り、ミニFM局を舞台に、歌舞伎町界隈と、新宿の各組のヤクザ達をも巻き込んで 工藤が繰り広げる 熱く突拍子もないストーリーはいかにっ!
  さらに、妻と15年の服役中に17歳になっていた娘と彼氏。この工藤の家庭事情も絡んで、話はぶっ飛んでいきます。工藤ならではの、結構やばいヤクザDJを楽しもう。

  かつて、信頼と尊敬の関係にあった組長と工藤が、15年のブランクの後、互いにその恩義を維持しつつも、互いに自分たちの立ち位置のズレを認識しながら、大人の対応をしている。工藤と川端の関係もこれに近い。この2人が屋上で会話する場面、2人だけの私的な場面だから、2人の会話が成り立つのである。こんな、大人だからの、少しもの悲しい関係を味わえると、この映画の厚みが理解できる。そうじゃないと、単なるアチャラカ映画にしか見えないだろう。  
  
監督:仰木豊|2006年|93分|
脚本:イケタニマサオ|撮影:岩丸恒|
出演:工藤準次:小沢仁志|鈴木太郎:松浦祐也(工藤の舎弟)|ゆかタン:浅川稚広(自称銀河系アイドル、ミニFMを一人で運営)|工藤桜:あじゃ(工藤の一人娘)|ナルシー:渋川清彦(桜の恋人、DJ志望)|タクシードライバー:山本浩司(FMのファン)|工藤澄子:伊佐山ひろ子(工藤の妻)|川端康徳:堀内正美(大川組若頭)|富岡和磨:堀田眞三(大川組組長)|



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