映画「ドキュメント灰野敬二」  監督:白尾一博

トップ灰野
 
  脚色を排した、まったく素直なドキュメンタリーに仕上がっている。
  灰野敬二とは何ぞや、について、ていねいな映画。

  1952年5月生まれ。(昭和27年)
  灰野自身が出自をとつとつと語る。
  当時の写真が何枚も出てくる。まるで彼のうちでアルバムを見せてもらっている感じ。


  灰野敬二の音楽、実は今回初めて聴いた。
  ハード「コア」なハードロックで、前衛音楽。
  ギターとボーカル(灰野)に、ドラムとベースのバンド。
  爆音だが、濁りの無いきれいな音楽。そう聴こえる。

舞  抽象的だ。音楽は形として見えにくい。
  ひとりじゃ実現できないことを3人でやろうとすると、
  まずは面白そう!、と思わせないと人は寄って来ない。次に、すぐに面白がれることはすぐ飽きる。数段高いことができる場合は、リーダーがいて、こうやると面白いということを知っていて教える。やる。やると面白味が数段上がっていることを実感する。そういう共同創作は楽しい。ここにこだわる。
  この上昇スパイラルが灰野敬二。もちろん、他人には無い彼独自の「音やリズム」に対する視点や手法やピュアーな世界観があってのこと。こうやると面白いということを知っていて、と書いたが、本当は考えた末の試行錯誤。彼のコツコツ感に関心が行く。その元に彼特有の幼さが見え隠れする。
  一方、本当に深い所で共鳴しあえる相手が現れれば、リーダーが教えられる立場になるスパイラルもある。

照明  映画後半で、灰野がシンバルを叩きながら舞う。これに明暗/点滅×時間の照明がセッションする。同時にカメラもズーム/露出でセッションし、映像となる。シンバルから多種多様な音が生み出されるシーンを観ていると、灰野がイメージしているだろう世界を、打楽器メインのオーケストラ曲にできそうな気がした。



出自監督:白尾一博|2012年|ドキュメンタリー|95分|
音楽・出演:灰野敬二|
撮影監督:与那覇政之|撮影:冨永昌敬、須藤梨枝子、平岡香純|







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やまなか
Posted byやまなか

Comments 1

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kayo  

何年か前にライヴを観ました。お目当てが別のアーティストだったんですが(フリージャズの)、その時はじめて灰野敬二を見て、ワケわからんながらも、その圧倒的な存在感にぶっ飛びました。山中さんがおっしゃるように、独自のあのコツコツ感はスゴい。人間ひとりでは何もできない。結局は「(自分のイメージを)人にどう伝えるか」ということなんですよね。

2012/07/17 (Tue) 23:13

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