一夜一話

Category映画 1/29

映画「サンドラの週末」 監督:ダルデンヌ兄弟

勤め先から、クビを宣告されようとしている女の孤軍奮闘する話。うつ病で休職しているサンドラ。人件費削減で経営維持を図る一方、従業員のやる気を引き出そうとする社長と、忖度する主任の思惑。この会社、従業員と期間雇用者も含め17名の会社だ。(郊外にある建屋も現場環境も綺麗な会社です)サンドラの休職中に、社長は、ひとり欠けた16名でも現場は問題なく回ることが分かったし、たぶんサンドラは職場復帰しないだろうと踏ん...

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映画「蜜月」 ATG映画 監督:橋浦方人

哲明とみつ子のラブストーリー。哲明は地方出身の早大生。築地市場や、新宿西口高層ビルの建設現場で働き、学費生活費を得ている。哲明の同期はもう社会に出てサラリーマン。だが、彼は小説家志望。早稲田文芸の編集室に出入りし作品を読んでもらっている。また、舞踏劇団の団員にもなりたくて稽古場へ通っている。一方、みつ子は、閑静な住宅街に建つ、風格ある大邸宅で育ったお嬢さん。(一人娘かもしれない)出会いは、編集室。...

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ホン・サンス監督の映画 《まとめ》

身近な題材を「平淡」に描く作風、「軽み」ある妙味。しかし題材は、いけない愛や親子の話など身近なテーマ。そんな、よくある題材の中に、新たな発見を促させ、なんとなく納得させられ、それをさらりとやる。また、軽みある作風は、撮影当日に台本が渡されるという、撮影時の即興性(演技の新鮮さ)が大いに寄与している。この作風では「川沿いのホテル」が一番いいにみえる。(次作新作ではどうなるかな?)‥‥「川沿いのホテル」...

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映画「タンジェリン」 監督:ショーン・ベイカー

 舞台はロサンゼルス。クリスマス・イヴその一日の物語。 アップテンポの展開に、つい乗せられ、ラストまで、あっという間のエンターテインメント! 活き活きとしたライブ感、巧い演出、いい映画。 しかし物語の中身は、な~んてことない、よくある色恋、三角関係の話なんだけど、話が進むにつれ、これぞ脚本の技! 登場人物たちにとっては深刻な様相へ、でも、私たちは笑えるトンデモナイ結末を迎えるのです。 クリスマス・...

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映画「ドリーム」(2017) 監督:セオドア・メルフィ

 実話をもとにしたエンターテイメント作品です。いいですよ。 時は1961年、話の舞台はNASA(アメリカ航空宇宙局)。 そのNASAは、焦っていた。人類初の有人宇宙飛行を、ソ連が先に成し遂げ、アメリカは出し抜かれたのだ。(1961年4月) そしてその翌月に、アメリカが有人宇宙飛行に成功。 この間のNASAの混乱と、成功へ導いたNASA内の計算課※に勤務の黒人女性3人の活躍を映画は描きます。 しかし彼女たちの前には、人種差別...

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映画「フェイ・グリム」 監督:ハル・ハートリー

 この映画は、ハル・ハートリー監督の前作「ヘンリー・フール」(1997)の、その後の物語。 今回は一転、派手に展開します! ただし、マジなスパイものサスペンスと思っちゃいけない。なにしろハル・ハートリーの映画ですから結構なドタバタの様相です。 そして、無茶苦茶な話の展開に乗り遅れないように。 ってことで、最初に予告編をどうぞ。https://www.youtube.com/watch?v=vAnsrD3kC58 まあ、本作単体だけを観ても、おも...

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映画「煙突の見える場所」 監督:五所平之助

 隆吉と妻の弘子の、他人の赤ちゃん(上の画像中央)を巡っての、ひと騒動。 時は終戦から、まだ8年しか経ってない昭和28年。 夫の隆吉(上原謙)は商店に勤める弱気な男。 特にこの頃、覇気がない、その上、被害妄想の気(け)が出てきた。 例えば、妻の弘子(田中絹代)が、内職よりましな、ちょっとしたアルバイトを始めた事。これを隆吉に言わなかったために、安月給のじくじたる思いの、歪んだ主人気取りの隆吉は、口を尖...

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映画「自由が丘で」(旧題「自由が丘8丁目」) 監督:ホン・サンス

 どこか不思議な雰囲気に仕立てられた、男と女と、もう一人の女とのラブストーリーです。 その不思議、それは映画の各シーンを、時系列を無視して、順序不同に、つなぎ合わせて観せるから、かもしれません。 そのため、ファンタジーかと錯覚させ、だから不思議に感じるのかもしれません。  まずは話のお膳立て。 モリ(加瀬亮)とクォン(ソ・ヨンファ)は、韓国にある語学学校の同僚。ここでふたりは出会い、愛し合っていま...

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アキ・カウリスマキ監督の映画 《まとめ》

 「パラダイスの夕暮れ」辺りの、すっとぼけたユーモアある演出が、なんとも言えぬアキ・カウリスマキ監督の味で、これが全作品に通底している。 だから、マッティ・ペロンパー(1951- 1995)の死は残念だった。 この、すっとぼけたユーモア性を全開にしたのが、「愛しのタチアナ」で、大好きです。しかし、ユーモア性を絞った方向へ行くと、おもしろくないな。 以下は掲載済みの作品です。抜けてる作品は今後加えていきます。...

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映画「TOKYO!」 出演:香川照之, 蒼井優ほか 監督:ミシェル・ゴンドリー, レオス・カラックス, ポン・ジュノ

 フランス・日本・ドイツ・韓国の、4か国合作のオムニバス作品。 中身は、ちょっと不思議でコミカルな話が3つ。「インテリア・デザイン」、「メルド」、「シェイキング東京」。 このうち、ポン・ジュノ監督の「シェイキング東京」が一番いい出来。 出演者は、どの作品も、ほとんど日本人俳優、セリフも日本語。https://www.youtube.com/watch?v=8TUbDzB7m5Uシェイキング東京(ひきこもり)監督、脚本:ポン・ジュノ|フランス...

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映画「アクトレス〜女たちの舞台」 監督:オリヴィエ・アサイヤス

 著名な舞台女優マリア(ジュリエット・ビノシュ)が、ベテランが故に大きな壁に突き当たる話。 その昔、若きマリアが女優として日の目を見ることとなった「マローヤのヘビ」、この芝居を作った往年の劇作家ヴィルヘルム・メルヒオールが亡くなった。 これを機にヴィルヘルム追悼の意をもって、世界が注目する演出家クラウスが、「マローヤのヘビ」を手掛けようとして、マリアに出演の話を持ち込んだ。 この「マローヤのヘビ」...

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映画「オープニング・ナイト」 監督:ジョン・カサヴェテス

 著名な舞台女優マートル・ゴードン(ジーナ・ローランズ)が、ベテランが故に大きな壁に突き当たる話。 新たな芝居の舞台稽古で、老け役を演じることへのマートルの抵抗は、周囲を驚かせる。 台本に無い台詞を言うにとどまらず、身勝手な即興を演じようとする。 舞台監督、脚本家、製作者はもとより、共演者たちや舞台裏方までもが戸惑った。 監督や脚本家は、彼女をなだめ説得するが、効果なし。マートルは泥酔の中。 演技...

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映画「悲しみに、こんにちは」 スペイン映画 監督:カルラ・シモン

 バルセロナに住んでいたフリダという女の子の話。 すでに父親を亡くし、母子の家庭だったんだろう。その後、母親が難病で世を去り、フリダはひとりになる。 しかし祖母祖父は高齢で、彼女を引き取るには限界があった。(話はここら辺から始まる) そこで、親戚たちの相談の上、フリダは、若い叔父夫婦が住むカタルーニャの田舎へ引き取られた。 映画は、それからのフリダの心境を、フリダに寄り添いながら、ていねいに描いて...

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リン・ラムジー監督の映画 《まとめ》

 いい監督です。 この人の原点は、最初の作品「ボクと空と麦畑」にあると思う。 12歳の少年が友達と戯れていたが、ふとした拍子に相手が池に落ち、水死。 少年にとって事の事態が掌握しきれないまま、ただ呆然と霊柩車を見つめるばかり。 しかし日が経つにつれ、後ろ髪をひかれる思い、大きな不安を拭えない、自分があの子の背を押したかも‥、漠とした罪悪感の重圧。加えて、その事故現場を窓から見ていたという人の、疑いの...

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映画「それから」,「クレアのカメラ」(2017)  韓国映画 監督:ホン・サンス

ホン・サンス監督の韓国映画を2作品とりあげます。どちらも、女優キム・ミニが印象的です。「それから」(2017)  就職が決まって初出勤のその日に、社長の不倫発覚に巻き込まれてしまった新入社員の、迷惑で不運な、そしてそのあとは‥な話。 アルム(キム・ミニ)は大学教授の紹介で、著名な文芸評論家ボンワン(クォン・ヘヒョ)が社長の小出版社に就職した。 社長はアルムの優秀さに喜び、アルムはボンワンのもとで仕事ができ...

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特集:淡島千景の映画 《まとめ》

淡島千景が出演の映画をここにまとめています。 こういう女優がいたことに日本映画は敬意を表しなきゃいけない。 その演技は、一見 、地味で、すなおで、飾り気ないように見えるかもしれないが、実はその芸域、至って広く豊か。 また、男性の相手役(相方)がいると、魅力は倍加する。 そして、着物姿は凛として、粋。 今後も、ここに彼女の出演映画を加えていきます。 以下、画像をタッチして記事をご覧ください。1953にご...

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映画「少年は残酷な弓を射る」 監督:リン・ラムジー

 リン・ラムジー監督は贔屓にする監督なのですが、本作については次を期待したい、そんな作品です。  「We Need to Talk About Kevin」という原題を、映画の中身を分かりやすくしちゃえって事で、「少年は残酷な弓を射る」と、こんな、ネタバレ風の邦題にしたんでしょうね。 あるいは、B 級スリラー/サスペンス作品として日本公開しようとしたのかもしれない。 原作小説は、英国の文学賞ベイリーズ賞受賞作品。だから、きっ...

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映画「きみの鳥はうたえる」(2018) 主演:石橋静河, 柄本佑, 染谷将太 監督:三宅唱

主人公の僕と佐知子とは恋人同士、僕と静雄はルームメイト。函館のクラブにて いいですね。 函館の街の、男と女と男のはなし。  佐知子(石橋静河)と、僕(柄本佑)とルームメイトの静雄(染谷将太)、 この三人の演技が実にいい。 ストーリーは、ま、誰もが予測できる、よくある三角関係になるのですが、しかし、そうなるまで、そうなり始める時、そうなってしまったあとも、全編通して、観客を引き付け続ける、三人の演技...

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映画「ポップ・アイ」 シンガポール・タイ映画 監督:カーステン・タン

 人生に成功したかに思われる初老の優しい男タナーと、年老いた象ポパイ(Popeye)との、ユーモラスなロードムービー。 タナーは、バンコクで著名な建築家だったが、所属する建築事務所の世代交代で今や窓際族になっていた。 また、私生活では富裕層ではあるが、妻とはまったくもって疎遠な関係になっていた。 そんな、タナーにとってヤケッパチな、ある日、バンコクの街中で一頭の大きな象に出会った。 その象とは、幼いころ...

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映画「アスファルト」 監督:サミュエル・ベンシェトリ

 いい映画です。 大人の喜劇。上質な静かな映画です。 登場人物がそれぞれに抱く悲しみを、コミカルなオブラートに包んで見せます。 ここは老朽化する団地。壊されつつある一棟もある。 そんなこの団地に住む、3組の人物たちの3つの物語。 こんな老朽化団地にひとり引っ越して来た、売れなくなった女優(イザベル・ユペール)と、同じ階で向かいに住む若い男との、世代違いのズレの可笑しさ、ちょっとした隣人愛、の話。 二...

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映画「モーヴァン」 監督:リン・ラムジー

 この娘がモーヴァン。 スーパーで働いている。ごく普通の女の子。 クリスマス・イヴの日、何の前触れもなく、独り住まいの彼氏が自殺した。 彼の遺体を見つけたモーヴァンは、しばらく彼の傍らにいて彼の手を握っていた。 そのうち何やら醒めた様子で一点を見つめている。 薄暗い部屋。モーヴァンは彼に背を向けた。その時、つけっぱなしの彼氏のパソコンが、ふっと目に入った。 パソコン画面には、大きくREAD ME と書いて...

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映画「ローガン・ラッキー」 監督:スティーヴン・ソダーバーグ

 16万の観客席数を誇るカーレース競技場、シャーロット・モーター・スピードウェイから、大金をまんまと強奪するお話。喜劇です。 いきなりですが、予告編をどうぞ!https://bd-dvd.sonypictures.jp/loganlucky/ いいですね、こういう映画。気に入りました。 まったくといって運のないローガン兄弟の、人生一発逆転。 金庫破りのプロで、刑務所にいるジョー・バングを、その一時だけ、脱獄させるには‥の手法も面白い。 登場...

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アニメ「レゴバットマン ザ・ムービー」 監督:クリス・マッケイ

 おもろい! タイトルの通り、「LEGO」で出来たキャラクターが画面狭しと暴れまわるが、大人も楽しめる趣向。 バットマンの、一匹狼の心の内をていねいに描きます。 本作ではないですが、そんなバットマンとスーパーマンとの、感情の葛藤を描いた作品もありました。これもイケてます。 本作の予告編の、あちら版と吹き替え版を並べてみました。 予告編の映像は同じですが、受ける印象はだいぶ違います。見比べてみてください...

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エミール・クストリッツァ監督の映画 《まとめ》

 いよいよ、エミール・クストリッツァ監督の特集! この監督、好きです。 初めて観た作品は、たしか「黒猫・白猫」だったと思う。 破天荒な人物たちの描写、その疾走感のダイナミックスさ、ワクワクするミュージック、最高です! これからも、お付き合いしたい監督です。 「ライフ・イズ・ミラクル」は観たはずなのに、掲載し忘れてたことに今回 気が付いた。気が向けば、もう一回観てから書いてみます。 ちょっと記事にす...

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映画「女は二度決断する」  監督:ファティ・アキン

 ドイツ、ハンブルクの街中で、爆弾テロがあった。 それは、クルド系トルコ人である夫・ヌーリが営む店先での爆破事件で、ドイツ人の妻・カティヤは、一瞬で夫と一人息子を失った。 警察は、カティヤの夫がクルド系である、つまり移民であることで移民間の争いか、または、ヌーリがかつて麻薬にかかわっていたことでのトラブルか、に注目し捜査を開始した。 一方、悲しみのどん底のカティヤはバスルームで自殺を図る、その消え...

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映画「盗まれた欲情」  監督:今村昌平

 てんやわんやの喜劇です。そんな中の、男と女と女の話。群像劇でもあります。 時は昭和の30年代初めごろ、街々の小劇場を巡業する旅芝居劇団と違って、芝居小屋の柱 骨組み 天幕やらの仮設の資材、大道具小道具、風呂桶 鍋など家財道具をトラックに積み、一座の座長や役者たちも荷台に乗って旅興行する一座があった。 この一座が大阪・通天閣の下、新世界の仮設小屋で興行を終えたのち、興行主から見放されてしまう。 長らく...

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映画「ビューティフル・デイ」 監督:リン・ラムジー

 いい映画です。 スリラー、サスペンスの領域を軽やかに超えるこの作品は、苦い、大人のファンタジーへと向かおうとしている。 そのベクトルの力がこの映画の見どころです。 荒々しい残忍さ、悪への怒り、もしくは正義、悲惨な体験と精神的苦悩、そして沈黙の幻想的な美しさ、昇華する孤独、共鳴し合い始めた二人の心、ジョーとニーナ。 リン・ラムジー監督の映画は、心をヒリヒリさせる。 ジョーとニーナのラストシーンが素...

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映画「宇宙飛行士の医者」 監督:アレクセイ・ゲルマン・ジュニア

医師ダニエル。辺境の地の基地にて。あたりは見渡す限り一面、ぬかるむ荒涼たる大地だ。 いい映画ですね。 1961年、人類初の有人衛星、ソビエト連邦の宇宙船が、飛行士1名を乗せ地球一周に成功する。これに至るまでの物語です。 ただしこの映画は、科学技術の進歩や未知への挑戦、あるいは飛行士の選ばれし使命感を、うたい上げるものではありません。また、ロケット全様も発射台などの基地建屋も、人類初の宇宙飛行士ガガーリ...

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特集 : 高峰秀子の映画 《まとめ》

 ここでは、高峰秀子出演の映画をまとめています。 この方、どんな役でも、女優としての表情にプラスして、彼女の知的さ、あるいは素の地の表情が現れるように思います。そこが見どころでしょうか。 今後もここに、高峰秀子の映画を集めていきます。 以前に観た「秀子の車掌さん」はいい映画でしたが、ブログ記事にするためもう一度観ようと思ってますが、見逃しています。 以下、タッチして記事ページへお進みください。 な...

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映画「フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法」  監督:ショーン・ベイカー

 いい映画ですね。 フロリダの青い空の下、ウォルト・ディズニー・ワールド・リゾートの近くに住む、ホームレス母子家庭、母ヘイリー、娘ムーニー6歳。 だが、住む、とは言っても彼女たちは格安モーテルに長期滞在してる。が、毎日の宿泊費、食費に事欠く日々。 映画は、路上生活一歩手前のシングルファミリーの日常を、元気いっぱいのムーニーの、無邪気な視点で描きます。その効果は、悲惨な現実を和らげています。(回避し...

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映画「花の兄弟」(1961) 主演:市川雷蔵, 橋幸夫 監督:池広一夫

 市川雷蔵、橋幸夫共演の、池広一夫監督による喜劇仕立ての時代劇。 青山市之進(市川雷蔵)が、父の仇、相坂伊織を探し求めて諸国を巡る旅の途中で、離れ離れになっていた実弟・青山新次郎(橋幸夫)に出会ったことから始まる物語。 ある宿場の宿で、父の仇とおぼしき男が、このあたりのヤクザの用心棒になったという、10年前にあった話を聞いた市之進は、ここらに三つあるヤクザのうち、大津勘右衛門の一家にわらじを脱いだ。...

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映画「三人の夫」(2018) 監督:フルーツ・チャン

 ムイを演ずる女優クロエ・マーヤンの捨て身の熱演がすごい作品。 かつて香港の港には、水上生活者たちの船がぎっしりと停泊していた。しかし今、その数は極々わずか。 この映画は、そのうちの一隻を住処とする老人と、一緒に住む主人公ムイという若い女の話。 彼女は娼婦。停泊する船上が仕事場。埠頭には多くの男たちがその順番を待っている。 老人はヒモであり売春を斡旋して金を稼いでいる。 そんな客の一人の青年がムイ...

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映画「その前夜」~山中貞雄に捧ぐ(1939) 監督:萩原遼|原案:山中貞雄|出演:高峰秀子,山田五十鈴

 「その前夜」とは、幕末に起きた池田屋事件の「前夜」のこと。元治元年6月5日(1864年7月8日) 映画は、この事件を、池田屋近くで同じく宿を営む大原屋の家族5人の目線、庶民の目線で描きます。(本作は好戦的な娯楽作品じゃありません、原案が山中貞雄ですから) ちなみに、この家族の向こう(奥)に見えるのが、その池田屋。(池田屋も大原屋も祇園祭の飾り付けをしている) 上の画像(大原屋の店先)の右端に座るのは、大...

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アレクセイ・ゲルマン監督の映画 《まとめ》  + アレクセイ・ゲルマン・ジュニア

 ロシアの映画監督、アレクセイ・ゲルマン(1938 - 2013)の作品です。 私が初めて観た作は「フルスタリョフ、車を!」、いきなりノックアウトでした。監督が放つ独特のオーラに取りつかれると、もう、虜(とりこ)。 「神々のたそがれ」製作中に惜しくもお亡くなりになりました。 ここにプラスして、監督のご子息、アレクセイ・ゲルマン・ジュニア監督の作品を併記します。「宇宙飛行士の医者」です。作風が父親ゆずりなんで...

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映画「浴室」(1988) フランス映画 監督:ジョン・ルヴォフ  

 浴室のバスタブを安住の地とする彼。※     ※     ※ 他人に理解されにくい、引きこもり系の若い男の、言われなくても分かってんだけどね‥の状況から、引きこもり脱却への自助努力と、彼女との愛を描く。 押し殺したユーモアを全編に にじませた一作。静かな静かな映画です。 彼のまわりには彼女や母親がいて、優しいし、身の回りの世話も焼いてもらっているが、彼はそれに甘えつつも、その時々で引きこもりの度合い...

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アピチャートポン・ウィーラセータクン監督の映画 《まとめ》

 これまでに取り上げたタイの映画監督、アピチャートポン・ウィーラセータクンの作品です。以下の画像をクリックして記事ページをご覧ください。 はじめて観た作品は「ブンミおじさんの森」でした。 人と自然、人と獣、人と霊、そして愛、越境、過去、医療などをテーマした映画です。我々アジア人に通底する根源的な感覚が、とても身近に感じられます。 残念ながら、「アイアン・プッシーの大冒険」 (2003年)、「メコンホテ...

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映画「希望の灯り」(2018) 監督:トーマス・ステューバー

 クリスティアンとマリオン いい映画です。 陰のある無口な独身男と、夫の家庭内暴力(DV)に悩む女との、ゆっくり静かに進むラブストーリー。 ここは、アウトバーンが近くを走るライプツィヒ郊外、何も無い殺伐とした風景の中にポツンと建つ巨大店舗の会員制スーパー。 小売業と倉庫業を組み合わせた店内(ウォルマート流 在庫管理方式)。来店客の脇をフォークリフトが走り回る。 土木作業をしていたという男クリスティア...

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映画「田園に死す」 監督:寺山修司

 寺山修司の自己の短歌歌集をベースに、作劇する寺山の舞台劇の設定空間と、その向こうに見えるイメージを結集し映像化した作品。 恐山近くの村に生まれた少年の、性への目覚めを軸に、故郷を捨て美しい人妻(八千草薫)との駆け落ちを夢想する話をガイドラインとし、寺山の少年時代の経験と感受性からのエピソード群を彩りにして話は進む。 くわえて、その少年がのちに成人し、東京で映画監督・脚本家になって、監督自身の少年時...

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韓国映画「波高」, イラン映画「牛」 ~第20回東京フィルメックス2019

このページでは、2本の映画を併記しています。波高(はこう)  Height of the Wave (東京フィルメックス・コンペティション作品) 今年のフィルメックスで観たうち、これもいい映画だった。 韓国の離れ小島で起きた事件を描きます。 いくつもの話を内包しながらも、ひとつのストーリーにぎゅっと凝縮させた風、なかなかの脚本です。 話は、幼児のころに両親を海で亡くし、その後一人住まいで生きてきた貧しい20歳の島の女と...

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カンボジア映画「昨夜、あなたが微笑んでいた」, ポルトガル映画「ヴィタリナ(仮題)」監督:ペドロ・コスタ ~第20回東京フィルメックス2019

このページでは、2本の映画を併記しています。昨夜、あなたが微笑んでいた Last Night I Saw You Smiling (東京フィルメックス・コンペティション作品) カンボジアの、プノンペンの街中にある市営アパートが取り壊されるにあたって、多くの住民たちが立ち退きせざるを得なくなった様子を描くドキュメンタリー映画です。監督はここで育ち、ご両親が住んでいます。(画像は父親) そのアパート「ホワイト・ビルディング」は、...

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映画「静かな雨」 監督:中川龍太郎 ~第20回東京フィルメックス2019

静かな雨 Silent Rain (東京フィルメックス・コンペティション作品) 繊細な話です。 映画は、恋の芽生えから、深い愛へと進む話を、「芽生えたかな」の時点で愛への進行を遮断してしまいます。 それは彼女(こよみ)が事故に会い、過去の記憶はあるのですが、直近の記憶がすぐ消えてしまうからなのです。 退院後、一人住まいの彼(行助)の家の一室に、こよみを転居させ同居が始まるのですが、こよみは朝、起きると「ここ...

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気になる映画 74 《これから上映の映画》

画像をクリックし、下記作品の公式サイトの情報ページへお進みください。ブルーアワーにぶっ飛ばすジャック&ベティ,横浜シネマ 11/30~ 石井輝男特集キングオブオカルトの猛襲ラピュタ阿佐ヶ谷11/24-1/25 わたしは光をにぎっている新宿武蔵野館ほか全国公開11/15~ サイゴン・クチュール新宿K's cinema12/21~ パラサイト 半地下の家族ポン・ジュノ監督1月~ キム・ギヨン監督特集生誕100年記念 異端の天...

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フィリピン映画「評決」、中国映画「シャドウプレイ」 ~第20回東京フィルメックス2019

このページでは、2本の映画を併記しています。評 決 Verdict (東京フィルメックス・コンペティション作品) いい映画です。 これが長編第一作目だというから驚く。 夫の家庭内暴力(DV)に苦しむ妻が、警察の補助機関として活動する、DV被害に対する支援組織の助けを得て、夫を訴えて裁判に持ち込む話。 映画は、DVについての夫婦の関係これまでを物語るのではなく、フィリピンの裁判の実態と、原告/被告の人間ドラマを...

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ハル・ハートリー監督の映画 《まとめ》

 これまでに取り上げたハル・ハートリー監督作品です。以下の画像をクリックして記事ページをご覧ください。 この監督の作品は、一度ハマるとクセになる魅力があります。いい監督です。 その魅力とは、奇妙な言い方になりますが、登場人物をストーリーの流れの中に埋没させず、結果、ちょっとユーモラスな人物描写が浮き彫りになって見えるところ。この軽み!がいい。 つまり、物語そのものよりも人物描写に比重がある語り口、...

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映画「人魚姫」 監督:チャウ・シンチー

リウとルオランの間に、突如、プールからシャンシャンが出現!*       *       * 人魚と人間のラブストーリー。 香港郊外、海に面した自然豊かな場所を、リゾート地にする計画が進んでいました。 ただし、イルカも生息する海の自然破壊が問題となり、これを避けるため、最新のソナー技術で、イルカをはじめとする邪魔な海洋生物を追い払おうとしていました。 そこで、これに立ち向かうべく立ち上がったのが、...

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ファティ・アキン監督の映画 《まとめ》

 これまでに取り上げたファティ・アキン監督の作品をまとめました。 監督はトルコ系ドイツ人(トルコ移民の二世)だからでしょう、その出自をベースとしながら、ドイツとトルコ、あるいはその東方を結ぶベクトルを感じる作品を作っています。 かつて、「太陽に恋して」を観て、私好みの監督になりました。 今後、「女は二度決断する」「消えた声が、その名を呼ぶ」など、気が向けば他の作品を追加していきます。 以下、画像を...

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去年の11月は、こんな映画を観てました。

 あれま、もう11月。去年の11月は、こんな映画を観てました。これをクリックしてお進みください。 邦画は、今村昌平の「にっぽん昆虫記」に、横浜聡子の「ジャーマン+雨」の2本でした。 洋画は、アイルランド映画「オンディーヌ 海辺の恋人」と、アメリカ映画「イン・ハー・シューズ」。 それと、第19回東京フィルメックスという映画祭で上映された作品、ロシア映画「アイカ」、中国映画「轢き殺された羊」そして、韓国映画「...

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映画「サバイビング・デザイア」 監督:ハル・ハートリー +短編2作「セオリー・オブ・アチーヴメント」,「アンビション」

 ハル・ハートリー監督の57分の映画。 文学部の学生ソフィと、講師のジュードとのラブコメディ。あるいは、ソフィ役の女優メアリー・ウォードを愛でる映画。  登場人物が手にした小説随筆の一節を読み上げるセリフと、日常会話のセリフとを馴染ませる演出は、文学部の人々を描く話なので、違和感を感じさせない。よって、監督の狙い通り、書物から引き出された意味ありげな格言ごときが、シーンのあちこちに散らばっている。 ...

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映画「50年後のボクたちは」 監督:ファティ・アキン

マイクと、チョビ髭はやしてるのがチック。髭は黒のテープ製。※      ※      ※ これは、14歳のマイクとチックの、やっちゃいけないロードムービー。 マイクのうちは、地域の自然環境を壊した所にポツンと建つ一軒、この分譲地を開発したのがマイクの父親。 母親は重度のドランカーで依存症克服のため施設へ、その隙に父親は若い愛人と旅へ‥。 とにかく、マイクの夏休みはひとりで始まった。 (家はプールもあるリ...

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映画「東京おにぎり娘」 主演:若尾文子  監督:田中重雄

 銀座のお隣、新橋の駅前、烏森の商店街をちょっと入ったあたりに、テーラー直江がある。 この店はここで30年営む、戦前からの紳士服の仕立て屋で、昔は偉いお方の注文が多かった。 この映画は、そのあるじで、自称大阪生まれの江戸っ子、直江鶴吉(中村鴈治郎)、そのひとり娘まり子(若尾文子)の父子のお話。 時は昭和36年ごろ、頑固で昔気質で職人気質の鶴吉の店は、いまや閑古鳥が鳴く。 一方、そろそろ嫁に行く年ごろの...

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