Category書評 1/1
“ 絵画は黙して語らず ” ‥‥「絵画の歴史 洞窟壁画からiPadまで」,「ギャラリーゲーム ピカソと画商の戦略」,「巨大アートビジネスの裏側 誰がムンクの「叫び」を96億円で落札したのか」 《最近読んだ本》

絵画は黙して語らずだが‥‥。 近頃、美術館の宣伝が、わざとらしいこと、はなはだしい。 同時に美術館の視野の偏狭さを感じる。 絵は、もっと自由な発想で楽しみたいものだ。 そんな思いで一冊目の「絵画の歴史」を読んだ。これは堅苦しい本ではないし古今東西の画集でもあります。 絵画は黙して語らずだが‥‥。 そもそも、美術館が所有するような価値が高いと言われる絵画は、王や貴族の持ち物だったし、今でも一握りの富...
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「カキフライが無いなら来なかった」, 「まさかジープで来るとは」 せきしろ, 又吉 直樹 (著) ・・最近読んだ本。

せきしろ, 又吉 直樹の両氏が詠んだ俳句の本。 俳句と聞いて、即スルーしないで欲しい。 例えば、本の題名、これがすでに俳句作品のひとつ。 こういうのを、五七五の形式をとらないから、自由律俳句というらしい。 どの句も、身の周りの断片を、普通の感覚ですくい上げている。 「カキフライが無いなら来なかった」と、この句はつぶやく。 すると何故か「ああ、そうだよね」と、思える。(話の前後の様子が分からないのに...
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高野文子(著)「田辺のつる」「アネサとオジ」「ふとん」, 大友克洋(著)「ヘンゼルとグレーテル」「童夢」, 松本大洋(著)「鉄コン筋クリート」・・最近読みかえした漫画

漫画を振り返る。 いま見ても、やはり、いいなぁ という作品を取り上げてみた。 今回は高野文子、大友克洋、松本大洋だ。 まずは高野文子の短編3作。【高野文子】・・・「田辺のつる」、「アネサとオジ」、「ふとん」 その昔、初めて出会った高野文子の作品が「田辺のつる」、漫画雑誌・漫金超創刊号に掲載されていた。他の掲載作品に比べ抜きんでて刺激的な漫画であった。 田辺家に、明治生まれのばあさんがいる。家族から...
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“かつて、「21世紀」は素敵な未来だった。” ・・・「過去カラ来タ未来」,「31世紀からふり返る未来の歴史」,「2050年の世界 - エコノミスト誌は予測する」,「シリコンバレーで起きている本当のこと」 最近読んだ本。

かつて、「21世紀」と言えば、素敵な夢の響きを持つ「未来」を指した。 少なくとも1960年代前半(昭和30年代)までは、そうだったように思う。 空を越えて ラララ 星のかなた ゆくぞ アトム ジェットの限り こころやさし ラララ 科学の子 十万馬力だ 鉄腕アトム (谷川俊太郎作詞) 小学生の子たちは、図画の時間に未来の生活や未来都市を思い思いに描いたりした。 東海道新幹線(0系)開業を心待ち...
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“ アメリカを、ちゃんと知ろうとは思わなかった ” ・・・「超・格差社会アメリカの真実」 ・ 「パーク・アベニュー - 格差社会アメリカ」 ・ 「階級「断絶」社会アメリカ - 新上流と新下流の出現」 ・ 写真集「The Americans」 ・ 「繁栄からこぼれ落ちたもうひとつのアメリカ - 果てしない貧困と闘う「ふつう」の人たちの30年の記録 」 ・・・最近読んだ本。

戦前は、いやペリー来航以後も、日本はアメリカを、本気で知ろうとはしなかったのでは、と思う。 1945年8月15日以後、これまでにない程のアメリカ人(進駐軍)が日本に押し寄せてきて、そして1952年に去って行った。 その頃から、日本はアメリカの豊かさに憧れはじめた。 豊かな食事、豊かな暮らし。冷蔵庫、テレビ、洗濯機、アメリカ車、アメリカ製ホームドラマ、ハリウッド映画、ディズニーアニメ。(物と映像でノックアウ...
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“ ひとつに括れない国、日本 ” ・・・「天ぷらにソースをかけますか? - ニッポン食文化の境界線 」、「くらべる東西」、「全国アホ・バカ分布考 - はるかなる言葉の旅路」・・・ 最近、読んだ本。

私のように、関西から東京に出て来た者にとって、東西の物事の違いは気になるところです。 東西くらべの本はたくさん出ていて、それなりに面白いのですが、例えば蕎麦・うどんなど、引き合いに出され過ぎのモノは、もうさすがにつまらない。 さらには、物事は関東関西の違いだけじゃなく南北もあり、さらには違いはもっと複雑に入り組んで存在する。 ひとつに括れない国、日本。確かにそうだが、一方で均一化が急激に進んでい...
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“ ジャズはどこから来たのか ” ・・・「上海オーケストラ物語」、「日本のジャズ史 - 戦前戦後」、「スウィング・ジャパン - 日系米軍兵ジミー・アラキと占領の記憶」、「昭和のバンスキングたち - ジャズ・港・放蕩」・・・最近、読んだ本。

ジャズって、一体どこから日本にやって来たんだろうか? それは、ペリーの黒船が(太平洋横断じゃなく)西の海からやって来たように、実はジャズは上海からやって来た。 「上海オーケストラ物語 - 西洋人音楽家たちの夢」を読むと、かつて上海はヨーロッパ人の街だったことが分かる。イギリス人やフランス人は、ヨーロッパのライフスタイルのすべてを上海租界に持ち込んで、祖国にいるのと同様の暮らしを求めた。 だから、...
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最近、読んだ本。「わすれかけの街」、「モダン心斎橋コレクション」、「明治の迷宮都市 東京・大阪の遊楽空間」、「花街 異空間の都市史」

味のある街には蓄積された過去がある。それは例えば私鉄沿線の郊外駅駅前には求めようがない。 しかし、新地というように、街は隣接する土地を巻き込み増殖するし、街中の中心街の新陳代謝も激しい。 つまり書き込まれ続けた過去の蓄積と、一方で容赦なく消去されていく過去がある。 街に育った私は、繁華街が好きだ。クラスには商店の子が一定数いたし、アーケードの下を自転車で走り抜けて遊ぶこともよくあった。 だからか...
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最近読んだ本。 「二大政党制 批判論」、「日本人の境界」

アメリカ、イギリスなど欧米諸国や日本の政治を見ていて、一体どうなってんだと歯がゆく思う。 そもそも「政党って何よ?」 そう思いながら「二大政党制批判論」を読んだ。 歯がゆく思う、その理由が少し分かった気がした。 また一方、沖縄が抱える問題をちゃんと勉強したいと思う。 でも、沖縄についての言論は多々あるが、論ずる視野が狭いせいか、その論点は理解できても、「でも、そもそも沖縄問題って何?」という問い...
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最近読んだ本。「闇に消える美術品」・「美術品はなぜ盗まれるのか」

『闇に消える美術品 ~ 国際的窃盗団・文化財荒らし・ブラックマーケット』エマニュエル・ド・ルー、ロラン=ピエール・パランゴー (著) 東京書籍 (2003年) 我々一般が、うかがい知れない美術マーケットの裏側を教えてくれる本。筆者はフランス「ル・モンド」紙の記者。 大手オークションハウスの強力な販売方針で、美術品は富裕層の投機的な商品となった。もちろん、大手美術館も個人コレクターも収集に意欲的だ。 だから...
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“1970年代の日本のロック、フォークを振り返る”をテーマにして読んだ本。「70年代シティ・ポップ・クロニクル」「ライブハウス「ロフト」青春記」「ライブハウス文化論」

1970年代初頭に大きく台頭してきた、エポックメーキングな「’70年代の日本のロック、フォーク」。 思うに、あれは一種の祭りであった。あの祭りは、演奏者と熱心な観客とが一体化できた「場」であり、かつ暗黙のうちに、何らかの共同作業をした場であった。幻想だったろうか? 振り返ると、1970年代のロック・フォークは、あのバブルの頂点(峠)の向こう側。そして、1960年代からの政治の波が、足元で引いて行く浜辺にあっ...
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「東アジアと日本」をテーマに、東アジアの現在をちょっと俯瞰する。・・・最近読んだ本。「越える文化、交錯する境界」「アジア 力の世紀」「われ日本海の橋とならん」「アジアインフラ争奪」「日本と出会った難民たち」

「東アジアと日本」をテーマに、その現在を俯瞰してみようと試みました。 選べた本の内容は、各国の国境を勢いよく越境する大衆文化、中国・アメリカ両国の強力で巧みな外交戦略と日本、日中韓による東アジアのインフラ建設受注競争、最後に、内なるアジアとして日本国内のアジア難民の現状、以上の計5冊。(Kindle版含む) ◆「越える文化、交錯する境界 - トランス・アジアを翔るメディア文化」 (アジア理解講座) 岩渕 ...
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「人はなぜ逃げおくれるのか-災害の心理学」・「ニッポンの個人情報」・「紋切型社会-言葉で固まる現代を解きほぐす」 ・・・最近読んだ本。

最近読んだ本から3冊、とりあげてみました。◆「人はなぜ逃げおくれるのか-災害の心理学」 広瀬 弘忠 (著) 集英社新書 地震・洪水・土砂崩れ・噴火といった自然災害に加えて、火災・テロ・MERSやエボラ・原発事故・船の転覆など、世の中、危険は増すばかりだ。 ところが、我々の心は、予期せぬ異常や危険に対して、ある程度、鈍感に出来ているらしい。なぜなら、外界の変化に常に反...
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「環りの海 - 竹島と尖閣 国境地域からの問い」 「ハモの旅、メンタイの夢 - 日韓さかな交流史」 「海路としての〈尖閣諸島〉 - 航海技術史上の洋上風景」 ・・・最近読んだ本。

最近読んだ本から、竹島と尖閣の問題についての3冊をピックアップしてみました。 こういう問題は、ネットで情報をチェックする、他人の意見の切れ端を拾い読みする、といったことでは到底掴み取れるものではないし、早急に反応すべきものでもない。ことは多面的でかつ、問題のすそ野は思うより広い。◆「環りの海 ― 竹島と尖閣、国境地域からの問い」 琉球新報 (著)、山陰中央新報 (著) 発行:岩波書店 竹島...
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「色で読む中世ヨーロッパ」 「二つの戦後・ドイツと日本」 「戦後の「タブー」を清算するドイツ」 ・・・最近読んだ本。

最近読んだ本から、三冊ピックアップしてみました。◆ 色で読む中世ヨーロッパ (講談社選書メチエ) 徳井 淑子(著) 12世紀から15世紀ごろの、中世ヨーロッパの人々のこころを知ることができる本。 色彩に関する関心は12世紀になって一挙に強まったらしい。白、黒、赤、青、緑、黄。それぞれの色に意味と思いを込めた。 映画「マスク」のマスクがなぜ緑なのかも、理解できる。また、ユダヤ人のしるしとして、...
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「ルンタ」・「私の中の自由な美術」・「フェアな未来へ」 およびドキュメンタリー映像 「ラベルの裏側 ~ グローバル企業の生産現場」 ・・・最近読んだ本から、ピックアップ。

最近読んだ本から、三冊ピックアップしてみました。◆ 「ルンタ」 山下 澄人(著) 講談社 なかなか面白い小説。 繰り言のような語り口にリズムがあって丸く滑らか。そう思った途端に作者の術中にはまる。 気が付くと、主人公の「わたし」が語るその手元の仔細、それ以外が見えなくなる。読者は、まるで真っ白な濃霧にいるような物語世界を体験する。 周りが見えないなかで、登場人物や動物が、死んだ者が、...
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最近読んだ本から、ピックアップ。 「江戸の音」 「ナツコ 沖縄密貿易の女王」 「ハウス・オブ・ヤマナカ 東洋の至宝を欧米に売った美術商」

最近読んだ本から、三冊ピックアップしてみました。◆「江戸の音」 田中優子・著 河出文庫:1997年発行 (単行本:河出書房新社 1988年発行) 冒頭からパンチを食らった。雅楽のヨーロッパ公演の時、演奏が始まっているのに、西欧の観客はそれに気づかず、ざわついている。「音」と「音楽」の区分が、少なくとも西欧人には、はっきりしないのが雅楽であり江戸の音曲だ、という。 著者と武満徹との対談の中で、武...
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最近読んだ本から、ピックアップ。 「ジャーナリズム崩壊」 「報道の脳死」 「ショック・ドクトリン」

◆ 最近読んだ本から、3冊をピックアップしました。「ジャーナリズム崩壊」 上杉隆・著 幻冬舎新書089 2008年発行「報道の脳死」 烏賀陽弘道・著 新潮新書467 2012年発行 以前から既にそうかもしれないが、こと3.11以降や第2次安倍内閣になってからの、新聞・テレビの報道に、大いなる違和感を感じている方々にお勧めです。 なんだか日本のマスコミは、やばいと薄々感じていたが、この本...
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最近読んだ本から、ピックアップ。 「京都庶民生活史 1~3」 「海の道、川の道」 「ブリューゲルの子供の遊戯」

読んだ本からピックアップしてみました。 林屋辰三郎+加藤秀俊+CD I 編 講談社現代新書 1975年発行 「京都庶民生活史 1 京童から町衆へ」 「京都庶民生活史 2 町人から市民へ」 「京都庶民生活史 3 古都の近代百年」 古本です。 私は一応、京都を故郷と思う人間ですが、住んだ土地に関する史実が通史として読めることが嬉しい本。京都通史の内容に、こんなにも様々な分野のことが豊富にあ...
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「おいしいハンバーガーのこわい話」 草思社 / 「 食品の裏側 みんな大好きな食品添加物」 東洋経済新報社

毎日食ってる食い物について、じっくり考える余裕なんて、我々には無い! そこんところを狙われてしまった。 食う事を粗末に扱い過ぎたわけだ。 食う事の大切さよりも、食う事の怖さを先に知らねばならない時代。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 「おいしいハンバーガーのこわい話」 ...
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「きつねのはなし」 森見 登美彦・著

京都の街を舞台に、しっとり静かに怖い本です。何かが潜んでいることができる、深い闇がある街。それは京に住んださまざまな人々が、長い時間かけて紡いできたもの。京都が好きな人、どうぞ。<冒頭から引用>天城さんは鷺森神社の近くに住んでいた。長い坂の上にある古い屋敷で、裏手には常暗い竹林があり、葉の擦れる音が絶えず聞こえていた。芳蓮堂の使いで初めて天城さんの屋敷を訪ねたのは初秋の風が強い日で、夕闇に沈み始め...
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「鏡花・百物語集」 文豪怪談傑作選~特別編 ちくま文庫
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小説「謎のヴァイオリン 」 クリスティアン・ ミュラー著

ヴァイオリンに贋作(がんさく)があることを教えてくれた本。 名器ストラディバリウス以外に、グアルネリウスという名器があることも教えてくれた小説。 元捜査官でヴァイオリン鑑定家という都合が良すぎる主人公が、このグアルネリウスにまつわる贋作?について依頼を受け国際的に調査が始まる。 話は面白く展開し、その中でヴァイオリンのうんちくが披露される。ヴァイオリンは簡単に分解できて、例えば一挺の破損...
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小説「ふしぎな山からの香り」 ロバート・O・バトラー著

アメリカの白人が書いた短編小説集だが、小説の登場人物はみなベトナム人たち。それもアメリカに移住したベトナム人たちが主人公。 よってそれぞれの話は、ベトナムでの生活、移住後のアメリカでの生活が描かれている。 ベトナムですでに成功していた人、アメリカに来て成功した人、ベトナムで米国駐留軍と商売していた人、米兵相手のクラブで働いていたが米兵とアメリカに渡った来た女など、さまざま。 ベトナムが少...
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「食う。 百姓のエコロジー」 田中 佳宏 著

1996年の本だが、古くなっていない。思考が深い。著者は農業を営みながら歌人。農業について科学的にも良く学んでいらっしゃる。意見が異なる部分も多いが、共鳴できるところも多い。次に書き出した目次の行間を読んで欲しい。か、本を読んで。目次まえがき第一章 食うことで生きものは世界を作る 食うことで生き物は何をしているか 土の中のもうひとつの自然 植物は、生...
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「うくしすつてとのへ」って何よ?

何だと思います?答え : 1人でできる、「人」文字。・・・・・・どうやれる?人の体で、ひらがなの50音を全部作ってみました、という絵本です。若干は小道具を使います。「うくしすつてとのへ」 以外の文字は、2人以上じゃないと、できない。そりゃ、そうだ。大人がまじめに取り組みました。日本は、「北斎漫画」があった国です。そして、さっきまで知りませんでしたが、「北斎漫画制作キット」というのがあるらしい。 fla...
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映画「ブック・オブ・デイズ」と「中世ヨーロッパの都市の生活」と。

映画 ブック・オブ・デイズ 監督:メレディス・モンク 14世紀らしい。ここはフランスの中部にある中世の城壁都市。 キリスト教徒はみな白装束。この都市ではユダヤ教徒は少数派であり、キリスト教徒に管理監督されている。 服装は黒装束で左肩には丸印をつける事、農業や交易の職には就けない、金細工、皮なめし、ガラス工など、また金貸し・両替商を営むこと、などが書かれた掲示が街の壁に貼られている。この棲み分け...
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江戸時代!江戸時代。 デジタル修復版「幕末太陽傳」を観る前に、「落語の国からのぞいてみれば」を読む。

未来は明るい、と思ったとしても、明日はどうなるのか分からない、一寸先は闇だ。じゃ、過去はどう? 例えば150年前や200年前は?その頃は江戸時代だと分かるけど、江戸のフツウの人は、どんなこと思って毎日生きてたのか? 忘れちゃった。江戸時代を知ってる人は、この世にいない。デジタル修復版 「幕末太陽傳」川島雄三監督、フランキー堺が居残り佐平次を演じる名作時代劇。(1957年)いくつかの落語のネタを組み合わせなが...
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「いのちと放射能」 柳澤桂子 著

みんなに、ぜひ読んでもらいたい本です。 遺伝子って何だっけ? 遺伝子が放射能で傷つくとは、どういうこと? 傷ついたら、どうなる? それは遺伝する? 妊娠中に被爆したら、どういうことになる? 110ページほどの薄い文庫本です。 内容は平易に書かれていて、中学生からでも理解できる。 チェルノブイリ後の1988年に執筆された本ですが、3.11後に書かれた本のよう。筆者の先見...
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近世文学研究 「江戸滑稽化物尽くし」 アダム・カバット (著)

アメリカに「プラスチックマン」というのがいた。漫画「スーパーマン」が漫画界に登場した3年後、1941年に「プラスチックマン」がデビュー。スーパーマンのように超能力を持ち正義にために闘ったヒーロー。当時人気はあったが、その後ほぼ忘れられてしまった漫画。孤児だった彼はギャング団に入っていた。追われる中、正体不明の薬液が入った水槽に転落、このせいで身体がゴムのようになる。著者は「ろくろ首」と同根だという。私...
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小説 「カレーソーセージをめぐるレーナの物語」 ウーヴェ・ティム著

第2次大戦末期、ドイツのハンブルグは空前絶後の大空襲を受けていた。しかしその街で人々は毎日を生きていた。その中の一人が主人公。 ドイツ側から、それもナチス党員/非党員の市民視点で、ハンブルグの大戦末期を知ることが出来ます。 主人公レーナ・ブリュッカーは戦火を生き、男を囲い、戦後を生き抜いていく。その過程で「カレーソーセージ」誕生の謎が解けていく。ただし誕生秘話を追いかけて読む本じゃないです...
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エッセイ 「ぼくは猟師になった」 千松信也

京大卒、33歳の猟師の、狩猟8年目のエッセイ。 虫好き動物好きが京大に進み在学中から狩猟を経験、運送会社に勤めながら猟師の免許を取得。出勤前の早朝に山に出かけ、ワナを点検。退社後は鹿の解体やワナの整備など。住まいは京都市内だが裏山から毎晩、庭先に鹿や猪やサルが普通に出没する。狩猟解禁期間、この裏山を中心にワナを仕掛ける。鉄砲は使わない。 獲って、さばいて、食べる。 猟師の視点から、食も語っ...
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ガロ20年史 木造モルタルの王国 青林堂 1984年発行

~ガロ20年史刊行委員会~ 作品の選択にあたっては次のような基準を考えた。 1)ガロ主要執筆者の作品を一作は載せる。 2)時代を象徴し、いかにもその当時のガロらしい作品は極力載せる。 3)長編作品は物理的に収録不可能である。カムイ伝、鬼太郎夜話、赤色エレジーなどは割愛せざるを得なかった。 4)著名な作品でも単行本で入手しやすい作品は割愛し、同じ作家の別の作品を載せた。 5)マンガ以外に...
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「字幕屋は銀幕の片隅で日本語が変だと叫ぶ」 太田直子著 光文社新書

「字幕は映画理解のための補助輪」、だから存在を主張してはならない、らしい。空気のように水のように、あって当たり前、でも無いと困る字幕。(大変お世話になっております) (著者いわく)、読んでいることを意識させない字幕、目の端で読んでいるのだが「外国語のせりふがわかる気持ち」にさせてくれる字幕、理想は「透明の字幕」らしい。 1秒間に字幕・4文字(4文字/秒)が、観客が読める速さとなっているのだそうだ...
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漫画雑誌「漫金超」 創刊号 1980・春

こういう漫画雑誌があった。00年代、90年代の向こう河岸に80年代があった。季刊「漫金超」 まんがゴールデン・スーパーデラックス 【目次】大友克洋| サン・バーグズヒルの想い出川崎ゆきお| 猟奇のパラドックス雑賀陽平| 3193より2316さべあのま| I LOVE MY HOME高野文子| 田辺のつるいしいひさいち| 絶望的前衛の巻ひさうちみちお| ヨセフ赤星ジュン| 香港猫【ごあいさつ】冨岡雄一 (裏表紙か...
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転がる香港に苔は生えない 星野博美 著 2000年発行

安定ほど不安定なものはない、と思う。ドボンな雰囲気の日本は、本当は何もしたくない、海外からも時代からも取り残されていく、と諦めているふしがある、そういう安定期なのだ。この本を読めば、香港の、普通の人々の生きざまから勇気をもらえる。ドボンな雰囲気に安住している自分は、アンタ何やってんの!と背中を押される感じ。そして著者の、人間への好奇心・探究心の強さに感心する。香港の奥深くにどんどん入っていく。だか...
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小説 おっぱいとトラクター マリーナ・レヴィツカ著

面白い映画ができそうな小説ですね。<引用>母さんが死んで2年が過ぎた頃、父さんはウクライナ生まれのバツイチ金髪美女に入れあげた。84歳の父さんに対して、相手は36歳。たとえるなら、ちゃらちゃらしたピンクずくめの手榴弾がいきなり我が家に飛び込んできたようなもの。これが炸裂してあたりに泥水を撥ね散らかしたばかりか、記憶のぬかるみに沈んでいた家族の歴史を引きずり出し、なんと先祖の霊に背後から一発、蹴りを...
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東京に暮す キャサリン・サンソム著

英国外交官の夫の赴任に伴い、来日した著者キャサリン(1883-1981)が、昭和初期の東京の街や人々の暮らしをリアルに描いた、おだやかな日本滞在印象記。(1928年~1936年つまり昭和3年~11年まで滞在)当時の日本人は、どんな風だったんだろうか? 現代人がタイムスリップして昭和3年に行けば、その見る眼は外人キャサリンと近いだろう。そう考えると面白い本です。昭和12年発行。著者は、銀座や下町、バスや電車、百貨店や街の...
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妖怪の本 1926年発行

趣味研究 動物妖怪譚「ゲゲゲの鬼太郎」の水木しげる氏が4歳の時に出版された、妖怪本。妖怪が好きな、農学士、日野巌という方が執筆し、東京帝国大学 名誉教授2名が監修している。とても「和風」な妖怪本で、面白い!!東京養賢堂 大正15年発行(1926年) 農学士 日野巌 著 東京帝国大学 名誉教授 理学博士 白井光太郎 閲 ...
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KYOのお言葉 入江敦彦 著

京都な話ことば映画ではあんな格好したはりますけど、素顔はとてもきれいなお方はんどした。ごはんは食べはらへんかったけど、エビの天ぷらはお好きやったです。ベッドはあらしまへんし、ふとんを三枚敷いたんどす。それ見て「日本のベッドは落っこちてもけがしないからいいですね」と笑わさはったんをよう覚えてます。京都老舗旅館の女将の、チャップリンが1936年に宿泊した時の思い出。(1978年ごろの取材か)京都新聞社編 京都...
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A good day for Soup スープに良い日 JEANNETTE FERRARY & LOUISE FISZER著

いつかそのうち料理を始めるんじゃないか、そういう予感を以前からもっている。テレビの料理番組をぼんやり見ていることもある。こんな延長線上にあるとしたら、こんな本かな。気まぐれにページをめくってながめる時もある。なんと142種類のスープ・レシピ集、でも固苦しくなく、お気楽な本。そして日本人のスープに対する、少々狭い視野をグーンと広げてくれる。本のエディトリアルデザインがいい、料理写真が一点もない、いさ...
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浅草博徒一代 ~アウトローが見た日本の闇 佐賀純一著

ボブ・ディランが、この本の文章から一部を引用し歌詞にした。浅草一帯に勢力があった博徒、伊地知栄治という男の一代記。この英訳本からディランは引用し「ラヴ・アンド・セフト」の歌詞を作ったらしい。2003年当時、このニュースはウォールストリートジャーナル紙や日本のマスコミを賑わしたとのこと。「若い頃、少々無茶をやりましてね、この年になるまで好き勝手なことをやってきたんです」伊地知栄治(1906~1979)宇都宮に生...
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『過去カラ来タ未来』 アイザック・アシモフ著

1899年に100年後の西暦2000年を夢想したフランス人のイラスト集。これにアイザック・アシモフ(1920~1992)が1986年に注釈を加えた本。アシモフが、後世に手渡したイラストを、25年後に見る2010年の私たち。(アイザック・アシモフとは? Wikipediaへ)表紙のイラストは「街角のエアーターミナル」イラストの左端のエアーターミナルには、羽根を折り曲げて出発を待つ飛行物体が2機。右の1機はどこかから帰って来てターミナルに...
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ミイラにダンスを踊らせて―メトロポリタン美術館の内幕

かつてこの美術館の館長になった人間が書いた。ホーヴィング,トマス【著】〈Hoving,Thomas〉白水社世界レベルの美術館間同士の競争が前提で欲しい美術品をどうして手に入れるか?競合美術館に勝て。サザビーのオークションでの駆け引きや、持ち主個人から直接入手する交渉やら、ミステリーサスペンスです。事実は小説より奇なり、そのもの。そしていつもついて回る「贋作」(がんさく)また、入手の資金調達。財界政...
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書籍 『チェンジング・ブルー 気候変動の謎に迫る 』 大河内直彦著

久々の充足感。帯タイトル:本質を理解したい人へ ~第一線の研究者による、信頼すべき正確な解説書。 しかし、これは同時に第一級の科学ノンフィクションだ。~その通り、地球自然環境について、ああだこうだといろいろな書籍や、マスコミが表面的な、あるいは一部分だけからの視点で述べているものが多い。全体感のなかでそれも現在、学問的に分かっていることを紡いで本質を素人に伝えてくれる、この...
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漫画雑誌「ガロ」 「つげ義春特集」 昭和43年6月号

この6月号は「つげ義春特集」なんですね。今日の朝日新聞読書欄で、筒井康隆が、この6月号のことをつげの漫画は、小説ではとても表現できないすばらしい作品だと、1200字ほどで書いている。で、この6月号、1週間前に、近くの古本屋で見つけて買っていた(200円)ひょっとしたら、既に この号を持っていて、ダブりかもとも思ったのですが200円ですから買っちゃった。このつげ特集号の巻末には、2人のつげ評論が掲載されている。...
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